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日経の紙面から

東芝ライテック社長に聞く、LED照明首位狙う、中国工場・ODMも活用。

[ 2010年6月23日 / 日経産業新聞 ]

国内生産にこだわらず 中国工場・ODMも活用

 東芝が発光ダイオード(LED)照明事業で攻勢をかけている。国内では3月に一般白熱電球の生産を停止してLEDに急速にシフト。欧米や中国に進出するなど海外展開も本格的に始めた。新規参入が相次ぐなか、老舗としてどう迎え撃つのか。照明子会社、東芝ライテックの社長に4月に就任した福田正巳氏に今後の戦略などを聞いた。

 ――照明業界を担当するのは初めてだが、現状をどうみる。

 「これまでは装置産業で参入障壁が高かった。流通の仕組みも(ほかの家電と)違う。いまは組み立て型であるLED照明の登場で開発や生産、販売などあらゆる面でデジタル家電に近づいている。競争環境の変化が激しくスピードも速い。当社も仕事のやり方を変えていかなければいけない」

 ――異業種からの新規参入が増えている。

 「デジタル家電に近づいていると言ったが、人が感じ取るアナログの部分も残っている。単に高性能でも受け入れられない。光の色や空間の作り方などにはこれまで培ったノウハウがあり、この財産を生かして他社と差異化していく」

 ――今後の照明市場はLEDに一気に切り替わるとみているのか。

 「LEDに移行する流れは間違いないが、普及度合いは見極める必要がある。欧州の環境規制『RoHS(ローズ)指令』が蛍光灯まで踏み込めば日本にも影響が出る可能性がある。LEDに押されて蛍光灯の価格も下がっており、両社の価格差がいつ近づくかも読みにくい。政策の影響も大きい」

 「LED電球の2009年度の国内出荷は400万個だったが、10年度は2000万個と5倍以上に増えるというのが照明業界の見方だ。ただエコポイントを使えば実質半額で買える制度が4月から始まったが、まだ浸透しきっていない。足元の勢いをみれば2000万個には届かないかもしれない」

 ――10年度の経営目標は。

 「国内のLED照明市場でシェア首位だ。(パナソニックが首位に君臨してきた)業界が大きく動く好機だ。最大限の経営資源をLEDに投入し、次々と新製品を発売する。数量ベースで半数以上をとりたい」

 ――具体的な戦略は。

 「まず最上位機種では業界最高効率の製品を投入するなど技術で他社よりも先行する。普及機種ではすべてのラインアップをそろえる。BtoB(企業向け)では東芝グループと連携し、省エネの切り口で攻める。照明だけではなく店舗や施設全体の消費電力を減らす『ソリューション(問題解決)』提案を進める」

 ――価格競争で消耗戦に陥る恐れがある。

 「まだデジタル家電ほどのボロボロになるような状況にはなっていない。各社が様子見しながら価格を設定している段階だ。当社も値下げ競争に安易に追随しない。機種ごとに競合の状況を見ながら細かく対応する」

 ――海外展開は。

 「新しい照明の登場は海外に打って出る好機でもある。中国で現地専用モデルを今春から発売しており、今年度はほかの新興国へ進出する。コスト削減のため中国の工場やODM(相手先ブランドによる設計・生産)も活用する。国内工場にこだわらず柔軟に対応して価格競争力を高める」

 ――アジア勢などが手掛ける直管型LED照明への対応は。

 「オフィスに求められる製品ではあるが、安全基準がない段階では参入しない。(日本照明器具工業会の会長として)今年度中、できれば秋口には安全基準をつくって周知したい。直管型への参入はそれからだ。国際標準化も働き掛ける構えだ」

記者の目

成長市場で乱戦 スピード勝負に

 日本の照明業界は大手の寡占が続いてきた。ところがLED照明の登場で雰囲気はがらりと変わり、成長市場を巡って乱戦が繰り広げられている。「もっとスピードを上げないと」。東芝で携帯電話事業を歩んできた福田社長に白羽の矢が立ったのは業界特有ののんびりとした風土の改革を期待してのことだろう。

 業界構造の変化は逆転の好機でもあるが、逆に失墜する危険もはらむ。新社長の物腰は柔らかいが、経営目標を話すときだけは目の色が変わった。照明業界では久方ぶりとなる"真剣勝負"の行方に注目したい。(鳳山太成)

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