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消費増税法案が衆院可決、JR東のスイカ、IC乗車券、改修に1年。

[ 2012年6月27日 / 日経産業新聞 ]

費用も前回上回る懸念 相互連携、システムが複雑

 消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連8法案が26日に衆議院本会議で可決された。大半の社会システムは2014年4月からの増税に迅速に対応できそうだが、東日本旅客鉄道(JR東日本)のIC乗車券「Suica(スイカ)」など鉄道系のシステムで改修に1年超かかるとの懸念が浮上している。複数の他社とIC乗車券を相互連携し、駅以外でも活用され、システムが複雑化しているためだ。

 JR東では消費増税で運賃を引き上げた場合、5月末現在で約3968万枚発行しているスイカのシステム改修が必要となる。改修の具体的な検討は「運賃の引き上げ自体が決まっていない」(JR東)ため始めていないが、「システム改修の計画作りや乗客への周知期間も含めると1年数カ月かかるだろう」(同)と話す。スイカを導入していなかった1997年の消費増税ではシステム改修に30億〜40億円の費用と3カ月程度の期間がかかった。巨大化したスイカシステムの再起動時のシステムダウンや運賃の計算ミスを避けるため、改修には費用、期間とも前回を上回るとの指摘もある。

 改修が手間なのは「スイカのシステムは一部のプログラムに消費税をそのまま書き込んでいるため」と関係者は明かす。例えば「値段=製品価格×5%」といった具合だ。膨大な本数のプログラムから消費税関連の記述を見つけ出し、適切な値に直すだけで大変な時間と労力が必要だ。

 スイカは2001年の発行以来、西日本旅客鉄道(JR西日本)の「ICOCA(イコカ)」などJR各社のIC乗車券のほか、首都圏の私鉄・バスが加盟するIC乗券「PASMO(パスモ)」と相互乗り入れをしている。運賃変更をした場合、私鉄とJR間などを乗り継いで正しく運賃計算されるか確かめる必要がある。その数はスイカとパスモの連携だけでも約12億3千万通りと膨大な作業が必要となる。

 またIC乗車券の電子マネー機能は駅以外の小売店など12万7000店舗以上に利用が広がり配慮が必要になる。パスモなど他の交通機関系のIC乗車券もシステム改修などに時間がかかる可能性もある。

 一方、他のシステムでは大きな改修は必要ない見通しだ。小売店のレジで使われるPOS(販売時点情報管理)レジスターなど機器の多くも「前回の消費税導入時に今後消費税が上がっても一部の数値をいじるだけで済むように改修を終えている」(NEC)。1997年の前回の消費増税時に大規模なシステム改修が相次ぎ“特需”とも呼べる状況となったが、「多くのシステムでは内部の消費税率変更とその後の動作確認作業が発生するが作業は比較的に簡単だ」(日本IBM)という。(林英樹)

 ▼スイカ JR東日本などが導入している非接触型ICカード方式の共通乗車カード・電子マネー。パスモなど他の交通機関との相互利用も可能である。2001年から徐々に導入され、データ処理回数は1日当たり2400万件と、大手銀行の勘定系システムに匹敵する規模になっている。

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