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スマホ三国志(4)新規の3割は「格安」(迫真)終

[ 2014年11月15日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 10月末のビックカメラ有楽町店(東京・千代田)1階の格安スマートフォン(スマホ)売り場。通信会社を自由に選べるSIMフリーのスマホが並ぶ前で東京都内に住む30代半ばの会社員は「安い! スマホの通信料がなんと900円」の文字に目を止めた。「本当にそんなに安いの。条件次第で使ってみようかな」と店員に声をかけた。

 格安スマホはインターネットイニシアティブ(IIJ)やNTTコミュニケーションズなど仮想移動体通信事業者(MVNO)が、NTTドコモなどの携帯大手から回線を借りて4〜7割ほど安く通信サービスを提供する。4月以降、イオンやビックカメラなどの家電量販店が、こうしたサービスと手ごろな価格のSIMフリー端末を組み合わせて販売し一気に広がった。

 「携帯大手の(2年単位の契約で解約しにくい)『2年縛り』が解けた利用者がきている。狙い通りだ」。10月28日朝、東京都千代田区の本社でIIJ社長の勝栄二郎(64)は格安スマホ向け通信サービスの契約者数が10月単月で3万件増えたと報告を受けた。春の3倍の勢いだ。

 MVNOの契約数は回線を提供する携帯大手の数字に含まれる。いずれもドコモの回線を使う上位5社の4〜9月の一般向け契約数は約37万件増えた。この間のドコモの契約純増数は大手3社で最多の119万件で、単純計算ではこの3割強をMVNOが占める。自らの顧客を奪いかねない格安スマホに新規獲得を支えられる皮肉な構図だ。

 中国メーカーは端末供給で格安スマホ拡大を担う。「例の端末もっと早く発表しませんか」。10月28日夕、中国・華為技術(ファーウェイ)日本法人副社長の呉波(36)に家電量販店から問い合わせが相次いだ。同日、台湾の華碩電脳(エイスース)がSIMフリー端末の2万6800円での販売を表明したからだ。呉は予定より約1カ月早い11月7日、実勢2万2千円の新機種を公開。高速通信「LTE」対応で機能と安さを両立、「ファッション感覚で半年ごとに買い替えてもお得」と笑う。

 NTTレゾナントに中興通訊(ZTE)、イオンには中国家電大手TCL集団が端末を納める。日本の携帯大手はこれまで端末と通信サービス、販売網まで一貫して掌握してきた。通信サービスと端末を切り離す中国の格安スマホの台頭は、日本の携帯電話の事業モデルも変える可能性を秘める。 (敬称略)

 山田周平、蓬田宏樹、高槻芳、山下和成、小倉健太郎、太田順尚、星正道が担当しました。

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