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オムニチャネル、投資競争呼ぶ――店舗・ネット融合、大再編へ(奔流eビジネス)

[ 2014年11月14日 / 日経MJ(流通新聞) ]

藤元健太郎

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)とファーストリテイリングが相次いで大型の物流投資を発表した。

 セブン&アイは埼玉県久喜市に大型物流拠点を稼働、2015年中には首都圏の7000店のコンビニでイトーヨーカ堂、そごう、西武百貨店、ロフトなどグループ各社の商品300万品目の商品を扱う。午前7時までに注文すれば午後7時には店舗で受け取れる即日受け取りサービスを始める。

 同様にファーストリテイリングも東京・有明に物流拠点を16年までに整備し、都心ではネットでの即日配送を実現すると発表した。どちらも単なる物流拠点の整備ではなく、顧客が欲しい商品を欲しい時に、欲しい方法で受け取れる「オムニチャネル」を実現するための取り組みだ。

 現在、米アマゾン・ドット・コムが世界展開の勢いをますます加速させている。米国で展開している倉庫ロボットによる自動化や生鮮食品の宅配などの事業も、まもなく日本で展開されると予想される。そのあくなき効率の追求と規模の拡大は日本の小売り各社にとってまさに脅威だ。その危機感が日本の各社に多くの投資を促す動機になっているのは間違いない。

 消費者にとってアマゾンが便利なのは、欲しい商品がいつ届くのか、ある程度は明確だからだ。欲しい商品を検索し、購入を決めて当日お急ぎ便を使えば、その日のうちに入手も可能だ。一方、普通の小売店はどうか。店に行くまで自分の欲しい商品が売っているか分からない。以前に訪れた時に商品があっても、今もその商品の在庫があるかは定かでない。

 その店がネット販売を展開していて在庫があったとしても、ネット上のEC(電子商取引)の在庫である場合がほとんどで、店舗に在庫があるかは分からない。それなら自宅でアマゾンで注文した方が確実に届く。ECは簡単で安いのがメリットと言われるが、アマゾンは「入手の確実性」が大きな長所といえる。

 小売り各社がアマゾンに勝つには、価格だけでなく、この「入手の確実性」を構築することが必要だ。商品在庫を店舗・ネットの区別なく把握でき、そして顧客が望む方法で届けることを実現する必要がある。もしアマゾンで注文して夜届くより、今から電車で30分移動すれば店で確実に買えると分かればどうか。電車賃がかかっても店で買う、と考える消費者も増えるだろう。

 メーカーからすればアマゾンという販売チャネルが増えて歓迎しているだろうが、アマゾンだけに依存するのも怖い。選択肢は多い方がいい。実店舗を持つ小売りはオムニチャネルを実現する物流とIT(情報技術)投資を真剣に考えるべき時期を迎えている。

 ただ、すべての小売業者が巨額投資を実施できるものではない。投資が可能なセブン&アイやファーストリテイリングのような企業は今後、アマゾンに対抗する物流とITを備えるプラットフォーマーになっていくと予想される。多くの企業がそのプラットフォームに集約され、買収されたり提携したりと協業が進むに違いない。

 さらに、そのプラットフォーム上に集まる行動データが新たな価値を生み出すため、データを先行して蓄積すれば競争優位も生まれる。オムニチャネルによって流通業は大再編時代の幕が開く。(D4DR社長)

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