日経メッセ > NFC & Smart WORLD > ニュース > 未成年の子供がネットでカード無断使用(弁護士さん相談です)

日経の紙面から

未成年の子供がネットでカード無断使用(弁護士さん相談です)

[ 2009年1月17日 / 日経プラスワン ]

Q高額請求支払い義務は A名義人中心に家族責任

 大学生の息子が父親のクレジットカードを勝手に使って携帯サイトの有料サービスを利用していた。カード会社からの高額請求で利用者を確認したところ、サイトへの接続に使われた携帯電話の番号から息子が利用したことが判明した。だが息子は十九歳で未成年。カードを不正使用された親としての責任は感じるが、全額支払わなければならないのだろうか。

妻「あなたがカードを貸したの?」

夫「財布から抜き取られたことに気づかなかった」

 国民生活センターによると、クレジットカードに関する相談のうち、子供が親のカードを使うなど未成年者が契約の当事者だった相談件数は二〇〇四―〇五年度の三百件台から、〇六―〇七年度は四百件台に増加している。

 相談の中には「娘が懸賞金サイトを利用し、手続き費用一万円を請求された」「息子がインターネットの有料ゲームを利用、三万円を請求された」など携帯電話やインターネットを利用した例も少なくない。店頭での対面販売と異なり、年齢や本人確認が難しく、未成年者が有料のサービスを利用しやすいことも背景にあるようだ。

 カードの利用代金として二百万円の請求書が届いた父親はカード会社に問い合わせたところ、海外のアダルトサイトの利用料だったことが判明。接続に使われた携帯電話は大学生の息子が使っていた。息子は父親のカードを財布から抜き取り、カード番号と有効期限を書き取ってすぐ戻しており、全く気づかなかった。高額請求に驚いた父親は弁護士に相談した。

夫「息子は未成年なのですが……」

弁護士「成人と偽っていれば契約取り消しは難しい」

 民法では、二十歳以上を成人と規定しており、未成年者が契約など法律行為をする場合は法定代理人の同意が必要としている。未成年による契約は取り消すことができる。ただ成人であるようにだました場合は、取り消しを認めていない。

 今回のケースでは、携帯電話は未成年の息子名義だったが、有料の出会い系サイトへの接続ではカードを利用するため父親名義だった。消費者契約に詳しい石井逸郎弁護士は「だましていれば未成年を理由とした契約の取り消しは難しい」とする。さらに、十九歳という年齢ならば「息子自身に支払い義務が生じる可能性が高い」(石井弁護士)。

 多くのカード会社は会員規約で「家族が不正使用した場合、名義人に責任がある」としている。そのため石井弁護士は「支払い能力がない息子が自己破産しても、カードの名義人である父親が支払い義務を負う可能性がある」と指摘する。

夫「暗証番号も不要で使えるとは思わなかった」

弁護士「本人確認の方法が不十分ならば、減額や支払わなくてよい可能性もあります」

 子供が親になりすました場合でも、石井弁護士は「年齢や本人確認が十分でなかったならば、カード会社側の過失を指摘し、支払額を減額できる余地がある」とする。

 父親のカード番号と有効期限を知った未成年の息子が海外の有料アダルトサイトを利用、約二百八十万円を請求されたケースで、長崎地裁佐世保支部は昨年四月、「カード番号、有効期限など識別情報はカード表面に記載されている。署名の際に提示したり、売上伝票に印字されたりするなど、本来的に本人のみが知る秘匿情報ではない」と指摘。そのうえで「暗証番号などで本人確認をするなど、不正使用を排除する方法ではなかった」として、カード会社が訴えた父親に対する支払い請求を退けた。佐々木幸孝弁護士は「カード会社側に対しても不正利用を防ぐ対策を求めた意義のある判決」と評価する。

 ただカード会社側は息子に対しても代金の支払いを求める訴えを起こしていた。このため控訴審では父親らの代理人は「(カード会社をだましていた)息子の責任は否定しがたい」と認め、息子が遅延損害金(年一四・六%)を含め計約三百七十万円をカード会社に支払うことで和解が成立。カード会社は息子に対する訴えを取り下げた。

 佐々木弁護士は「未成年者が親のカードを不正使用した場合、例えカード会社側の過失が認められても、家族を含めて支払い義務がないケースは少ない。カードの所有者はカード情報や暗証番号の管理を厳重にする必要がある」と注意喚起している。(前村聡)

豆知識

不正使用防ぐセキュリティーコード

 クレジットカードの不正使用を防ぐための工夫の一つで、通常はカード裏面の署名欄近くに記載されている一番右側の3ケタの数字。カードを使った際、売上伝票などを通じてカード番号や有効期限が知られても、裏面のためカードが手元にないと分からない。

 カードの磁気テープには記録されていないため、テープを不正に読み取る行為(スキミング)にも対抗できる。電子マネーを入金したり、インターネット上でチケットなど商品を購入したりする場合など、オンラインで処理する際に利用が広がっている。

【図・写真】カード会社は不正使用の監視を強化している

ニュースの最新記事

PAGE TOP