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連載コラム

第17回【ノートシリーズ1】小売店頭論の最高峰――流通経済研究所編『インストア・マーチャンダイジング 製配販コラボレーションによる売場作り』を解剖する(6)

[ 2009年6月2日 ]

前回よりつづく)

 つぎつぎ生まれてくる、多種多様なインストア・プロモーションをいかに駆使するか、これが、次スッテプでの新たな課題となる。この局面に至ったとき、重要になるのが「プロモーションの目的を、明確にし、これらの多様な手法のなかから、目的に応じて効果が期待できるインストア・プロモーション手法を選択すること」である。

 前回は、インストア・マーチャンダイジングの2大柱のひとつ、インストア・プロモーションを学んだ。これには、価格主導型と非価格主導型の2タイプあったが、先月は価格主導型を勉強したあと、非価格主導型の途中までノートしている。今回はそのつづきから。

 チラシについては、サイトで展開するウェブチラシと、メールを駆使するメールチラシ・携帯チラシが普及してきたこと、また、他の販促と連動するためチラシを過大評価しないことなどを教示したあと、こうつけ加える。

長期的に見れば、消費者はチラシ全体のイメージと実際に来店した売場の関係から、店全体のイメージを形成していると考えられます。そのため、チラシを利用する場合には、「何の商品を載せるか」よりも、「どんなテーマにするか」が重要です。来店意欲を高め、単品がチラシに連動している売場作りをすることが重要になりつつあります(p129)

 POP(Point of Purchase)とは「購買時点で直接お客様に働きかける広告手法」を指し、価格POPと商品紹介型POPとがある(p129)。ここにも注目すべきアドバイスが見られる。

商品紹介型のPOPは、消費者に広告を想起させ、商品の価値を消費者に伝え、ブランド・ロイヤルティーを高める効果があると考えられます。過去にアイカメラを用いておこなった調査では、商品に視線を当てたお客様のほとんどがPOPにも視線を向けていることが分かっています。ただし、その視線時間は非常に短く、POPに注意を向けさせて情報として処理させる上では、短時間で認識できる程度の情報量にする必要があります(同)

 このなかでの「商品に視線を当てたお客様のほとんどがPOPにも視線を向けている」という指摘は、あまり知られていない事実ではないだろうか。いわれてみれば自分もそうしていた、と思い起こされる。
 デモンストレーション販売(デモ販)については、通常と比べ「数倍の販売個数の伸びが観測」されると言及。ただし「新製品導入時のトライアル購買の促進や、新しい提案に基づく関連購買の促進に効果的」だが、リピート購買にはつながりにくいとのこと。ある程度、満足すれば、義理で買ってしまうからだ。うーん、体験上、同感せざるを得ない。したがって「デモ販は試用購買者の開拓を中心目的として商品を選択すべきであり、ライフサイクルが成熟期に至った商品のデモ販はあまり効果が期待できない(p130)」という。納得の一節である。

 プレミアムとは景品、ノベルティのことで「商品にプレミアムの魅力を付加することにより購買を促進(p131)」するものである。店頭で商品につけて提供したり、購入の証明シールや商品ケースのバーコードを郵送するタイプにわかれる。ビールを買うとグラスがおまけといった〝連動型〟、キャラクターグッズを利用しての〝ファン誘導型〟、またそのキャラクターグッズの種類を増やしての〝継続型〟なども増大中とか。

 懸賞とは「クイズの正解者などに対して賞金や賞品を抽選で提供するプロモーション(p131)のこと。商品の購入が条件の場合をクローズド懸賞、条件にしないときをオープン懸賞という。以下は短文だが示唆が多い。

クローズド懸賞の場合は規定以上の商品を購入する場合が多く、商品の購買そのものやリピート購買を促進する効果が期待されます。また、多くの懸賞はマス広告と連動する場合が多く、マス広告と店頭での特別陳列やPOPと連動させることで、店頭における広告想起を促進する機能も期待されます(p131~132)。

 「マス広告と連動」という部分をマークしておきたい。
 ダイレクト・メールは「特定の顧客に対して手紙や冊子を郵送し、情報提供を通じてお店や商品の魅力を訴求するプロモーション活動(p132)」である。その特長は「チラシと異なり、ターゲットとしたい顧客、自社にとっての優良顧客、購買が見込まれる顧客を特定し、その顧客に合った情報提供を実施できる点(同)」にある。問題点は、これが過剰に届くため開封率が低下している点だが、この対策として、配布先の絞り込みがこう提案されている。

よく実施されるパターンとしては、テスト・マーケティングとして小規模なダイレクト・メール配送を実施し、その反応結果を分析して、効果が期待できる顧客送付先を絞り込んで配送を実施するものがあります(p133)。

 さらにダイレクト・メールが、電子メールや携帯メールに代替されつつある現状から「配布を望む顧客に送付先を絞る、また効果が期待できる顧客のみに送付を絞るといった工夫が必要(同)」という助言もなされる。
 触れられなかった他の施策については、ぜひとも本書をご参照いただきたい。

(4) インストア・プロモーションの目的

 つぎつぎ生まれてくる、多種多様なインストア・プロモーションをいかに駆使するか、これが、次スッテプでの新たな課題となる。この局面に至ったとき、重要になるのが「プロモーションの目的を、明確にし、これらの多様な手法のなかから、目的に応じて効果が期待できるインストア・プロモーション手法を選択すること(p133)」にほかならない。
 
 で各手法と目的の関係が、135ページにフロー化されている。この図表は非常に見やすくわかりやすい。ここでは、カテゴリー売上を上げるため、というのが最終目的とされる。その売上は、カテゴリー客数とカテゴリー客単価に分かれる。
 このうち前者のカテゴリー客数は、来店客数とカテゴリー購買率に、さらにこのうち来店客数は、①店舗利用世帯数と②来店頻度に、カテゴリー購買率は、③カテゴリー利用世帯率と④カテゴリー購買頻度に枝分かれする。一方、後者のカテゴリー客単価は、⑤カテゴリー購買点数と⑥カテゴリー商品単価に分離できる。
 少しわかりにくいので、一つひとつについて例を示したい。

カテゴリー客数を上げるために

① 店舗利用世帯数→チラシ 
② 来店頻度→ポイント・キャッシュバック
③ カテゴリー利用世帯率→サンプリング
④ カテゴリー購買頻度→クーポン、懸賞・プレミアム

カテゴリー客単価を高めるために

⑤ カテゴリー購買点数→価格プロモーション、バンドル販売
⑥ カテゴリー商品単価→POP、特別陳列(価値訴求型)

 各々の施策は、なぜそのような効果を持つのだろうか? 
 たとえば(1)のチラシが店舗利用世帯数を増やすことについては「店舗未利用者に対して、自店舗の存在や特徴についてチラシを通じて告知することにより、来店のきっかけを作ることができます(p134)」とある。他の件も、134ページから135ページに、詳しい教示があるので、目的の全体像をとらえる意味でも、当たっておいてほしい。
 この辺の説明方法は、これまでの2冊(『インストア・マーチャンダイジング』『インストア・マーチャンダイジングがわかる→できる 流通情報化と小売経営革新』いずれもビジネス社刊行)と比べ、いちだんと理解しやすくなっている。
 今回は、インストア・プロモーションの様々を学習した。次回は、この活用法に進みたい。

(次号につづく)


新・お店のバイブル
執筆者:青田 恵一

福島県出身。中央大学法学部法律学科卒業。中小企業診断士。
長年、小売店(八重洲ブックセンター、ブックストア談などの書店)に勤め、店長、営業企画課長、事業推進部長などを歴任。数々の出店と店舗指導に関わる。
現在、コンサルタンティング会社「株式会社 青田コーポレーション」代表取締役。
経営コンサルティング、店舗診断・提案、研修、出版、執筆などに従事。書店中心に商品レイアウト変更や販売促進を得意テーマとする。
2001年 日本エディタースクール「編集コース」終了。
2003年 『よみがえれ 書店——V字回復へのヒント』(青田コーポレーション出版部発行、八潮出版社発売)を刊行。
2004年 『書店ルネッサンス——進化・視察・出版営業・未来・電子ペーパー』(同)を刊行。書店進化論や、電子ペーパー報告などを収録。
2005年9月には「たたかう書店—メガブックセンター・責任販売・万引き戦争・ジャンル別マネジメント・新古書店対策—」(同)を刊行、「よみがえれ 書店」シリーズ完結編として注目を集めている。同書は日本図書館協会選定図書にも選ばれた。

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