日経メッセ > リテールテックJAPAN > 連載コラム > 新・お店のバイブル > 第18回【ノートシリーズ1】小売店頭論の最高峰――流通経済研究所編『インストア・マーチャンダイジング 製配販コラボレーションによる売場作り』を解剖する(7)

連載コラム

第18回【ノートシリーズ1】小売店頭論の最高峰――流通経済研究所編『インストア・マーチャンダイジング 製配販コラボレーションによる売場作り』を解剖する(7)

[ 2009年6月30日 ]

前回よりつづく)

前回と前々回で、インストア・プロモーションの様々を学習した。あまたあるインストア・プロモーションの手法を、あなたならどう活用するだろうか。多彩な手法を知っているだけでは、なんの意味もない。今回はその活用法に入りたい。
                            

(5) インストア・プロモーションの活用法

 さてあまたあるインストア・プロモーションの手法を、あなたならどう活用するだろうか。本書のこの箇所では、プロモーションの目的に沿った活用を促し、その方法を指南している。ここも最大事のひとつとなる。多彩な手法を知っているだけでは、なんの意味もないからだ。その答は4つの観点から語られる。

① 単発販促からPDCAサイクルへ
② カテゴリー動向の把握
③ 実績・トレンド・売価反応などのブランドの現状分析
④ 販促による売上の伸びを示す販促効果計数(価格弾力性、エンド効果計数・チラシ効果計数など)

について専門的な言及がなされるのだ。この辺は、腰を据えて勉強したいところである(p136~150)。
 まずは「単発販促からPDCAサイクルへ」。最初に、POSデータの公開により、プロモーション計画の仕方が根本的に変化している、と注意が促される。

経験や勘に頼ってなされてきたこれまでの計画立案から、小売業POSデータに基づく客観的な事実を踏まえた計画立案が求められるようになりつつあります。特に、インストア・プロモーションは、従来の『単発の企画提案・実施』というスタイルから『PDCAサイクルの回転』というスタイルを取るようになりつつあります(p136)。

 PDCAサイクルとは、いうまでもなく、「販売計画の立案(Plan)、売場での販促施策の実行(Do)、実行後の評価(Check)、次回計画に向けた改善(Action)というマネジメントサイクル(同)」のことである。以下、この一つひとつに説明が施される。
 計画の立案に当たっては、当然ながら「状況把握と課題発見のための現状分析」をせねばならない。分析の結果は、良いか良くないかのふたつしかない。良くないとき、つまり「課題が発見された場合は、改善点を整理し、計画に反映します。また、現状が良好であれば、成功要因をより強化する形で計画を立案(同)」するという運びになっていく。ついで計画を立案するに当たっては、8つの要素―――6W2Hを軸にすることが記される。それはなにか? というと以下の8項目である。

① When(いつ) タイミング、時期
② Where(どこで) 店のタイプ、店内の位置
③ Who(誰が) 実行者、責任者
④ Whom(誰に対して) ターゲット
⑤ What(なにを) 実施商品
⑥ Why(どうして) 実施理由
⑦ How(どのように) 陳列方法、売価設定
⑧ How much(どのくらい) 予算と時間

 立案では、これらの要素を具体的に決定する。
 つぎに、施策の実行に触れたあと、評価と検証に移る。評価では、POSデータを用いることを前提に、実績だけでなく、販促がしっかりおこなわれているかという「店頭実施率」も対象とする。成果が悪いときは、計画通りに実施されたか、方法に問題がなかったかなどを確認する。
 実績評価では――本部なりメーカーにとってであろうが――ふたつのポイントが示される。評価そのものは目標と実際の比較になるが、実際の数値は「実施対象店舗合計の数値ではなく、適切に販促が実施されたことが確認された店舗の実績でおこなう(p139)」こと。また販促が実施されなかった店については「適切に販促が実施された店舗における売上の伸びに基づき、実施されなかった店舗における機会損失を試算(同)」しておくこと。当然かもしれないが、なかなか、ここまで徹底しにくいのが現実だから、納得してしまう。
 最後の改善は、次回へのフィードバックになる大事なステップだ。そのためには「実施事例のデータベース化」が欠かせない。その理由は

評価結果を共有し次のプロモーション計画に活かしていくことが肝要です。これらの情報は、次回の販促計画時の現状分析とともに重要な計画策定の材料となります(同)。

という文章に現れている。
ここで、先ほど述べた現状分析について詳記される。分析はカテゴリーとブランドの2面からおこなわれるが、最初のカテゴリーについては、状況をつかむための売上増減、課題を抽出するための需要期の把握が調べられる。売上は、どこが落ち増えているかを見て、マイナスには打つべきインストア・プロモーションを検討し、プラスにはその実施頻度を増加することになる。
 カテゴリー需要期については

市場全体の売上の推移を示す市場データ、もしくは小売業POSデータの52週の売上トレンドを比較することで把握します。この52週の売上トレンドと過去の販促実施時期とを比較し、需要期と販促実施時期のズレによる売り逃しなどの課題を抽出します。これらのデータ分析を通じて需要期を逃さない販促計画を立案することが可能となります(p140)。

と記す。この例としてアイス類が取り上げられる。
 

同じアイスクリームであっても、プレミアムアイスとファミリーアイスでは需要期が異なっています。たとえばプレミアムアイスの需要期のピークは、夏期ではなく年末期です(同)。

でこう結ばれる。

それぞれのカテゴリーに合った販促実施ができているかどうかをチェックし、需要期と異なるタイミングで販促が実施されている場合は改める必要があります(同)。

ブランドの分析に入るとここでは

主に「売価と販売実績の関係」「エンド効果・チラシ効果」「ブランドごとの顧客浸透率や顧客内シェア(ロイヤルティ)」などについて状況を確認します(p141)。

と述べられる。
このうち「売価と販売実績の関係」については、事例をあげて解説される。そのステップは、

売上がいいのかどうかを評価する販売実績評価

売価と売上の推移から動向の原因を考察するトレンド分析

「売価変動に対する売上の変動を確認する」売価反応分析

 の3つになる。このプロセスが、ひとつのアイテムの動向グラフを通して、わかりやすく説かれているのでご参照いただきたい(p141~144)。

次回は、インストア・プロモーション活用法の後半。販促効果係数などを学ぶ。

(次号につづく)

新・お店のバイブル
執筆者:青田 恵一

福島県出身。中央大学法学部法律学科卒業。中小企業診断士。
長年、小売店(八重洲ブックセンター、ブックストア談などの書店)に勤め、店長、営業企画課長、事業推進部長などを歴任。数々の出店と店舗指導に関わる。
現在、コンサルタンティング会社「株式会社 青田コーポレーション」代表取締役。
経営コンサルティング、店舗診断・提案、研修、出版、執筆などに従事。書店中心に商品レイアウト変更や販売促進を得意テーマとする。
2001年 日本エディタースクール「編集コース」終了。
2003年 『よみがえれ 書店——V字回復へのヒント』(青田コーポレーション出版部発行、八潮出版社発売)を刊行。
2004年 『書店ルネッサンス——進化・視察・出版営業・未来・電子ペーパー』(同)を刊行。書店進化論や、電子ペーパー報告などを収録。
2005年9月には「たたかう書店—メガブックセンター・責任販売・万引き戦争・ジャンル別マネジメント・新古書店対策—」(同)を刊行、「よみがえれ 書店」シリーズ完結編として注目を集めている。同書は日本図書館協会選定図書にも選ばれた。

バックナンバー

PAGE TOP