日経メッセ > リテールテックJAPAN > 連載コラム > 顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント > 第2回「店舗レベルのマーケティングプランニング」

連載コラム

第2回「店舗レベルのマーケティングプランニング」

[ 2009年2月16日 ]

今回のテーマ「店舗レベルのマーケティングプランニング」

 前回の第1回目では、市場縮小時代を突破する、店舗マネジメントの新しい仕組みとしての「顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント」の必要性について、お話させていただきました。今回は、店舗マネジメントの一つであるマーケティング支援の中から、「店舗レベルのマーケティングプランニング」をご紹介します。

現場マーケティングの現状と3つの問題点

 全国一律的なマスマーケティングの店舗に与える効果(現場の売上アップ)が少なくなっています。例えば、あるチェーンでTV-CMを集中的に実施したとします。家から一番近いそのチェーン店の接客・売場に対して悪い印象を持っていたら、顧客は果たして来店するでしょうか。中々難しいでしょう。
消費者の目が厳しくなっている今、店舗は最大の顧客接点であり、最も重要な場所です。そのように重要な店舗は、各店舗によって立地・客 層が違うので、店舗ごとに異なるマーケティングを実施する必要があります。特に、顧客一人ひとりへの対応強化を図る顧客育成/CRMを推進する上で、その重要性は言うまでもありません。
 では、それを実施するのは誰なのでしょうか。答えは一つです。店舗の顧客について最も詳しい、店長自らがマーケティングプランを考えるしかありません。しかし、店長がマーケティングをプランニングするにあたって、主に以下3つの問題点があります。

  • 問題点1.レベルの不統一
    各店長によって、プランニングのレベルにバラツキがあり、同じ店長でも、その時々の状況でレベルが異なる。
  • 問題点2.少ない現場メソッド
    知っている顧客育成/CRMのマーケティングメソッドの量が少なく、その中から選ぶので、中々レベルが高くならない。
  • 問題点3.時間的制約
    店長は店舗全体に責任を持っているので、プランニングにかける時間的な余裕が少ない。

3つの問題点の解決方向

 3つの問題点を解決するために、以下3つの条件が新しい方法に必要になります。

  • 条件1.常にマーケティングのレベルが一定以上になること
  • 条件2.数多くの現場メソッドの中から自由に選べること
  • 条件3.短時間できること

 そこでご提案したいのが、「マーケティング・ブロック」という新しい方法です。
「マーケティング・ブロック」とは、どんな方法かというと、まず、本部で、店舗マーケティングの標準プロセス(EX. 接客であれば、挨拶(集客)→コミュニケーション→商品紹介→クロージング→会計→フォロー、イベントであれば、事前告知→本格告知→当日対応→フォロー→次回イベント告知)を設計します。さらに、多数の現場メソッド=マーケティングパーツ(EX.ニュースレター・購入後のフォロー接客、御礼カード、ヒューマンPOP)を本部が準備します。  
 店長は、標準プロセスにしたがって、自分で現場メソッド=マーケティングパーツを選ぶだけで、マーケティングプランを完成させることができます。

「マーケティング・ブロック」の実施ステップ

  • STEP1.店長プランニングシートの作成=フォーマット化
    マーケティング標準プロセスを整理・設計し、店長プランニングシートを作成します。
    これにより、モレが少ない、バランスが良いマーケティングが完成します。
  • STEP 2.豊富なマーケティングパーツの準備
    現場マーケティングのメソッドを細分化し、マーケティングパーツとして、一つ一つパッケージに落とし込みます。マーケティングパーツは、定期的に追加・リニューアルを図ります。例えば、挨拶場面、コミュニケーション場面、商品紹介場面といった、マーケティングの場面それぞれに複数のマーケティングパーツを用意します。店長プランニングシートに、最適なマーケティングパーツを1つ1つプロットできる状況をつくります。
    精度の高いパーツを組み合わせることで、一定レベル以上のプランが完成します。
  • 店長プランニングシート STEP 3.店長がプランニングする
    マーケティングパーツを店長プランニングシートにプロットしていく方法を、店長に正しく伝え、現場でプランニングを実行してもらいます。店長プランニングシートにパーツを組み合わせるだけでプランが完成するので、30分もあればできます。その他の時間を実践/アクションに廻すことができます。

マーケティング・ブロック発想の原点

 マーケティング・ブロック発想の原点になったのが、「レゴブロック(子供の遊具)」です。例えば、飛行機を作るとします。これをもし、素材(粘土で作ろうか、プラッシックで作ろうか、アクリルで作ろうか等)から、飛行機を創るとしたら膨大な手間と時間がかかり、出来がりのレベルも想像がつきません。
 しかし、レゴブロックによって、標準化された仕組みがあり、各ブロックがあれば、あっという間に、飛行機ができます。それも一定以上の完成度になります。
 現場マーケティングのプランニングは、未だに素材一つ一つから作り上げていることが多いのではないでしょうか。
「マーケティング・ブロック」は、「店長がマーケティングプランを考えるたびに学び続ける仕組みを持った方法であり、創造力を身につける方法であり、さらに、プランニングすること自体が楽しい方法」なのです。

異分野・異業種からの発想

 皆さまも様々な分野で、様々なお悩みを抱えていると思います。既存の解決策では、どうにもならないことが今、様々な世界で起こっているのではないでしょうか。
 新しい解決策を考える際に、自社内・同業界の中からではなく、全く畑違いの異分野・異業種から、ヒントを得ることをお勧めします。新しい解決策が思い浮かぶ可能性が、数段高まるからです。

次回は、今回と同じく店舗マネジメントの一つであるマーケティング支援の中から、「現場コミュニケーションチェック」ついてご紹介します。

次回も楽しみに。コラムを最後まで読んでいただき、有り難うございました。

齋藤孝太

顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント
執筆者:齋藤 孝太

株式会社 SIS(ストラテジックインテリジェントシステム) 代表取締役 カスタマーリレーショナルマーケター
企画・マーケティング会社にて、大手化粧品メーカー(資生堂)・大手石油会社(現新日本石油)等のマーケティング計画策定・現場マニュアル作成をサポート。その後、株式会社企画塾にて、中小零細企業の販売現場の売上アップを図るマーケティングに携わる。現在は、店舗ビジネス(小売業・サービス業・SC等)において顧客との関係を深め、継続的な売上拡大を目指す企業を対象に、「顧客育成/CRMの教育・研修・セミナー」を通じた人材育成を行っている。
著書に、「なぜ、CRMは店舗の売上アップに繋がらないのか?」(日刊工業新聞社)「衝動買いさせる21の法則」(クロスメディア・パブリッシング)、「増販増客実例集2005」(企画塾出版)がある。

バックナンバー

PAGE TOP