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連載コラム

第4回「店舗レベルの成功事例の蓄積・整理整頓・共有化」

[ 2009年4月20日 ]

今回のテーマ「店舗レベルの成功事例の蓄積・整理整頓・共有化」

今回は、市場縮小時代を突破する店舗マネジメントの「マーケティング支援」の中から、「店舗レベルの成功事例の蓄積・整理整頓・共有化」についてご紹介します。

成功事例の共有化の根本的な問題点

「成功事例の共有化」は、中小企業・大手企業を問わず、多くの企業で取り組まれています。しかし、その実態は、成功事例を集めるだけ集めますが、その後、販売現場で思った程に活用されません。
その原因は、成功事例の収集を一定期間実施すると、その量がありすぎて、結局どの成功事例が、「自分の店舗の今の課題」に活用できるのか分からず、結果として販売現場で活用されないからです。
いくら成功事例がたくさんあっても、望んでいる情報(ex.新規来店のお客様がスムーズに商品購入してくれる接客って何かないかな?固定客の来店頻度をあげるイベントって何かないかな?)がすぐに引き出せる状況になっていないと、販売現場では活用されません。

問題点を解決する3つのSTEP

  • STEP1:成功事例のパッケージ化
    まずは、販売現場の成功事例を、統一パッケージでまとめます。統一パッケージとは、時期・実施店・アクション内容・成果等から、構成されます。売上が上がっている店舗に行くと、4つ、5つと出てくる可能性があります。
  • STEP2:成功パッケージの整理整頓
    次は、成功パッケージを、特定の軸を持ったマトリックス表に整理・整頓していきます。これが極めて重要です。その軸は、企業によって異なりますが、顧客育成を推進する企業・店舗では、マーケティングストーリー軸×顧客育成軸で行います。 例えば、ある成功パッケージがあったとします。この成功パッケージは、来店誘引段階で成果が上がったのか、挨拶段階なのか、商品紹介段階なのか、クロージング段階なのか、直後フォロー段階か、継続フォロー段階なのか、場面を特定にします(マーケティングストーリー軸)。それが固定客に向けて実施したのか、新規顧客に向けて実施したのか、まだ1回も来ていない見込客に向けて実施したのかを特定します(顧客育成軸)。 そうすると、「マーケティングストーリー軸×顧客育成軸」のマトリックス表に、一つ一つの成功パッケージをプロットでき、整理整頓できます。
  • STEP3:真の成功事例の共有化
    このような状況ができあがると、ある店長が特定の課題を抱えているとします。その課題解決の参考になる成功事例がすぐに見つかります。それではじめて、成功事例が販売現場で活用されるのです。 情報はその量が重要なのではなく、すぐ使える環境をいかに作ることができるのかが大切です。ただ成功事例を集めるだけでは情報収集はできていますが、共有化には至りません。

「現場レベルの成功事例の共有化」の先に見えるもの

成功事例の収集・蓄積・整理整頓の延長戦上には、現場教育のベースとなる、「未来の新しいマニュアルづくり」が見えてきます。「現場発の実践的マニュアル」という姿です。
従来の多くのマニュアルは、新しいスタッフが入った時に基本を学ぶという意味では重要ですが、新しいマーケティングへの取り組みを手助けするマニュアルにはなっていません。
これからのマニュアルは、成功事例を蓄積・活用した「現場発の実践的マニュアル」に進化を遂げる必要があります。そうしないと、いつまで経っても、属人的な要素に頼ったマーケティングとなり、組織としての販売現場のレベルアップに繋がりません。

「成功事例の共有化」の具体的な場面

成功事例の共有を、1つの場でしか実施しないのは、あまりにも勿体ないので、その場を数多く工夫を是非、実施してもらいたいと思います。ここでは、成功事例を共有するための場を3つご紹介します。

  • いつでも確認できる「店舗向けWEBサイト」
    WEBサイトは、以下の点で印刷物より優れています。情報検索機能(ノウハウがすぐに探せる)、情報蓄積機能(数多くのノウハウを収納できる)、臨場感伝達機能(ノウハウを動画で配信できる)です。この機能を最大限に活かして、成功事例の共有化をWEB上で行います。
  • リアルな場でのノウハウ共有「店長会議」
    定期的に成功事例を共有化する場として、店長会議等を定期的に開催します。 実践した店長に成功の要因を発表してもらうことで、より実感が込もった成功事例の共有化が実現します。店長をある種、ちょっとしたタレント扱いにし、良い気分を味わってもらいます。他の店長も「私も・・・」という気分にさせ、モチベーションアップを図ります。
  • 現場からの情報収集「プチサクセスメモ」
    成功事例は、顧客と企業が直接接触する販売の現場で出現します。本部は、その成功事例を収集し、素早く現場に届けるために、「プチサクセスメモ」を各店舗に提供し、定期的に収集し、現場に返します。

次回は、「ツール支援の未来」から、「ITツールとアナログツールの提供と管理」についてご紹介します。

次回も楽しみに。最後まで読んでいただき、有り難うございました。


齋藤孝太

顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント
執筆者:齋藤 孝太

株式会社 SIS(ストラテジックインテリジェントシステム) 代表取締役 カスタマーリレーショナルマーケター
企画・マーケティング会社にて、大手化粧品メーカー(資生堂)・大手石油会社(現新日本石油)等のマーケティング計画策定・現場マニュアル作成をサポート。その後、株式会社企画塾にて、中小零細企業の販売現場の売上アップを図るマーケティングに携わる。現在は、店舗ビジネス(小売業・サービス業・SC等)において顧客との関係を深め、継続的な売上拡大を目指す企業を対象に、「顧客育成/CRMの教育・研修・セミナー」を通じた人材育成を行っている。
著書に、「なぜ、CRMは店舗の売上アップに繋がらないのか?」(日刊工業新聞社)「衝動買いさせる21の法則」(クロスメディア・パブリッシング)、「増販増客実例集2005」(企画塾出版)がある。

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