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連載コラム

第5回「ITツールとアナログツールの融合・具体的内容」

[ 2009年5月12日 ]

今回のテーマ「ITツールとアナログツールの融合・具体的内容」

 今回は、市場縮小時代を突破する店舗マネジメントの「ツール支援の未来」として、「ITツールとアナログツールの融合」、そして、「具体的なツール内容」についてご紹介します。

アナログツールとITツールの融合・バランスが大切

 本部から提供するツールで、最近、重要度が増している視点は、「アナログツールとITツールの融合」という考え方です。私の経験上、アナログツールに偏った企業・店舗、ITツールに偏った企業・店舗に分かれます。
 アナログツールに偏った企業・店舗は、スタッフ・顧客のITリテラシーに、疑問を持っているのですが、多くの場合、その懸念は、あてはまりません。今や、団塊世代でも携帯メールを操るのが普通だからです。一方、ITツールに偏った企業・店舗は、アナログの良さに目をつむりがちで、ITツールの優位性に過大な評価をしています。
 アナログツールもITツールも、顧客に様々な情報を伝えるという点では違いがありません。顧客育成/CRMを推進するために、どちらが望ましいのか、フラットな状態で考え、検討していくことが大切です。

具体的な場面で、アナログツールとITツールの選択

 具体的には、来店誘引・売場・接客・会計・フォローの各場面において、活用するツールを選んでいきます。

  • 来店誘引場面
    アナログツールでは、新聞の折込チラシ、ポスティング、エリア誌、メッセージボード、店舗の看板等があります。ITツールでは、来店客計画システム、ホームページ、行動ターゲティング広告、SNS、顔認証システム、モバイルGPS等の手段があります。その中で実際にどのツールを選択するのか、しないのか、検討します。
  • 売場場面
    アナログツールでは、店舗の什器、ディスプレイ、POP等があります。ITツールでは、デジPOP(液晶TVを活用したPOP)、買い物カゴ設置ICタグ(来店動線調査)、スポットキャスティング(モバイル動画配信)、中心商品貼付ICタグ、ICタグユーコード等があります。
  • フォロー場面
    アナログツールでは、ニュースレター、季節のご挨拶ハガキ、商品購入御礼状、来店御礼状、お伺いTEL、ご訪問フォロー等があります。ITツールでは、顧客DB・FSP(顧客抽出・検索・分析)、メルマガ配信システム(動画メルマガ・私信型・one to oneメルマガ)、クーポン付モバイルメルマガ、DMラベル出力システム、デジタルプレミアム、メルアドギフト、コールセンター、RSS機能等があります。

詳しくは、以下図解をご覧ください

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ツールの具体的な内容について

 アナログツール・ITツールにしても、その内容が重要になります。顧客育成/CRMを推進している企業・店舗においても、顧客との継続的な関係作りのデザイン・文章になっていることが大切になります。
 以下、その指針となるべく、「企業・店舗と顧客が関係を深める販促ツール」の基本方向についてお話していきます。

基本方向(1) 顧客育成段階に応じて、異なったツールを活用する

 多くの企業・店舗のツールは、顧客育成毎にツールが作成されておらず、一種類の販促ツールを活用しています。その結果、企業・店舗への貢献度が高い、大切な固定客に送付するDM・ハガキ・メールが、新規顧客に送付するものと全く同じ文面・デザインになっています。新規顧客はそれでいいのですが、固定客が不満に感じるのは当然でしょう。固定客は企業・店舗に貢献していることを知っており、'それなりの対応'を期待しているからです。
 固定客に向けた販促ツールは、「大切に扱ってくれる」「配慮してくれる」「特別扱いしてくれる」と感じてもらう、顧客の琴線に触れることが重要です。その手段として、顧客の名前を入れたり、顧客毎にお勧め商品を変えるバリアブル印刷が実施されていますが、それだけでは、「顧客育成/CRM」は実現できないのが現実です。

基本方向(2) 顧客が楽しめる内容を7割にする

 ツールは、販促ツールと呼ばれることがあります。その名の通り「販売を促進するためのツール」です。但し、それは最終目的であって、まず重要なことは、顧客に読んでもらうことです。最終目的のみを考えて販促ツールを作成すると、新製品・季節商品の案内等、'販売促進=売り'に直接関係する内容ばかりになってしまいます。顧客が楽しめる内容をツールに組み入れることで、ツールの購読率を上げることが必要です。顧客が楽しめる内容7割、販促情報3割が最適のバランスです。

基本方向(3) ツールの活用タイミング、トークに至るまで明確にする

 ツールは、本部から現場にただ提供するだけでは不十分です。どんなタイミングで、どんなトークを添えて顧客に配布するのか等、現場に明確に説明できなければ活用されません。
 例えば、アンケート実施するとします。どのタイミングでアンケートを行うのか、現場に伝えることが重要です。小売店では会計が終わった後、飲食店では注文を聞き終わった後か、デザートの後に実施するのが基本になります。そこまで考えると、どの程度の質問項目がいいのか、どの程度の用紙の大きさがいいのか、自然と決まってくるので、現場を見据えた質の高いツールを制作できることも見逃せません。
 「このような細かい実施事項は、本部が提示するのではなく、現場側が考えて実施すればいいのでは...」という声が聞こえてきそうですが、現場は毎日の日常業務が忙しく、しっかり考えて実施することを期待できません(自ら考えて実施できるのは、上位2割程度の店舗でしょう)。やはり、販促ツールを作成した本部が、自らの意図を整理して、伝えるべきでしょう。


次回は、「教育・研修の未来」から、「店長の育成/指導」についてご紹介します。

次回も楽しみに。最後まで読んでいただき、有り難うございました。


齋藤孝太

顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント
執筆者:齋藤 孝太

株式会社 SIS(ストラテジックインテリジェントシステム) 代表取締役 カスタマーリレーショナルマーケター
企画・マーケティング会社にて、大手化粧品メーカー(資生堂)・大手石油会社(現新日本石油)等のマーケティング計画策定・現場マニュアル作成をサポート。その後、株式会社企画塾にて、中小零細企業の販売現場の売上アップを図るマーケティングに携わる。現在は、店舗ビジネス(小売業・サービス業・SC等)において顧客との関係を深め、継続的な売上拡大を目指す企業を対象に、「顧客育成/CRMの教育・研修・セミナー」を通じた人材育成を行っている。
著書に、「なぜ、CRMは店舗の売上アップに繋がらないのか?」(日刊工業新聞社)「衝動買いさせる21の法則」(クロスメディア・パブリッシング)、「増販増客実例集2005」(企画塾出版)がある。

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