連載コラム

第6回「店長の育成/指導」

[ 2009年6月16日 ]

今回のテーマ「店長の育成/指導」

 今回は、市場縮小時代を突破する顧客育成/CRMを推進する店舗マネジメントの「教育・研修の未来」から、「店長の育成/指導」についてご紹介します。店舗をマネジメントするにあたって、教育・研修は、大きな役割を担います。現場から受け入れられる教育・研修は、モチベーションアップに直結するからです。
 店長の育成/指導をするために、現在も様々な教育・研修が実施されていますが、今回は、3つの問題点を挙げ、その解決策について考えていきます。

問題点1.スタッフ向けマーケティングとマネジメントばかりの教育
→解決方向 店長向けマーケティング分野の教育強化、計画的実施が重要

 現在、実施されている研修は、マーケティング分野においては、主にスタッフを対象にした研修(笑顔研修・マナー研修等)が多く、店長向けは、マネジメント分野の研修(コーチング研修・コミュニケーション研修、クレーム対応研修等)が重点的に実施されています。
 市場の縮小で、売上維持・ダウンが続く店舗が多い中、今最も求められているのは、店長を対象としたマーケティング研修です。多くの企業では、店長のマーケティング研修は、計画的に実施されておらず、店長になった時に受けるスタートアップ研修、年1〜2回に著名な講師の講議を受ける程度で、計画的ではなく、断片的な教育・研修に終始しています。
 今後は、売上アップに直接つながる、店長向けのマーケティング研修を計画的・継続的に実施するべきです。 現場に知恵・ノウハウを与えず、精神論を中心とした掛け声だけで、目標達成ができる時代ではありません。現場の教育は、現場の現実の課題に対して、正面から取り組むべきです。

問題点2.企業の目指すマーケティングと教育内容がバラバラ
→解決方向 顧客育成/CRMの現場教育が重要

 問題点1で、店長向けマーケティング分野の教育強化が重要であるというお話をしましたが、では、具体的にどんな目的を持って、マーケティングの教育を考えていくべきなのでしょうか。当たり前のことですが、企業が理想として掲げるマーケティングを現場に落とし込む目的で実施されるべきです。
 しかし、多くの企業では、市場拡大を前提としたマスマーケティングから、ゼロ・マイナス成長を前提とした顧客育成/CRMに改革しようと理想を掲げているものの、相変わらず、マスマーケティング時代の教育が行われています。
 マスマーケティング時代にお店に求めていることは、主にお客様に不満をあたえないことでした。そのためには、接客7代用語、お礼の仕方、電話応対等のマナー系の教育が行われます。
 最近、店舗のマーケティング分野で人気のある調査に、ミステリーショッパー(=調査員が消費者を装ってお店を訪れ、お店の状態を評価する調査)があります。この調査の結果をベースに、研修が行われるケースがよくあるのですが、ミステリーショッパーの調査項目の多くは、マスマーケティングの視点です。結局、主にマナー系の基本ができているかを確認することになり、「リサーチの結果、できていない基本項目をもう一度研修で鍛えましょう」という結論になります。ミステリーショッパーでは、調査員がはじめてその店舗に来店するために、顧客育成/CRMで重要な「既存顧客への対応」の調査が事実上、できません。
 もちろん、マナー系の教育も、ミステリーショッパーも実施した方が良いのですが、ゼロ・マイナス成長を前提とした顧客育成/CRMの推進には、繋がりません。マスマーケティングの精度を高めているだけです。
 今、販売現場で実施すべき教育は、顧客育成/CRMの教育です。 顧客育成/CRMの教育は、お客様の顧客育成度(新規来店客・新規顧客・再購入客・固定客・スペシャル顧客)とアクション場面(接客・イベント・販促ツール・売場づくり)のマトリックス発想を基本に、プログラムを組み立てることがポイントになります。

問題点3.教育が「研修のやりっ放し」で終わっている
→解決方向 学びの本来の姿を研修においても追い求める

 教育の本質である「学び」の本来の姿とは、「新しい知識を得る(ステップ1)」、「現場で実践する(ステップ2)」、「結果を振り返る(ステップ3)」ことで、新しい知識が腑に落ちることです。
 企業教育で頻繁に実施される研修は、果たしてそうなっているでしょうか。企業で実施されている研修は、「新しい知識を得る(ステップ1)」で終わっている企業が6割、「実践する(ステップ2)」で終わっている企業が2割、「結果を振り返る(ステップ3)」まで実施している企業は2割というのが、私の実感です。
 ステップ1、ステップ2で終わっている8割の企業は、研修について考え直すことが必要です。ぞくに言う、やりっ放し状態です。販売現場のマーケティング分野の研修において、3ステップの考え方は特に重要になります。
 なぜなら、マーケティングは、知識レベルでは大した意味がなく、体感することが重要になるからです。さらに、店舗のビジネスは、エリアによって・立地・お客様の属性が大きく異なるのが普通なので、一店一店でまず実践し、振り返り、創意工夫が施されることが成果を上げるために不可欠だからです。


次回は、同じく「教育・研修の未来」から、「ベテランスタッフの育成/指導」についてご紹介します。

次回も楽しみに。最後まで読んでいただき、有り難うございました。


齋藤孝太

顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント
執筆者:齋藤 孝太

株式会社 SIS(ストラテジックインテリジェントシステム) 代表取締役 カスタマーリレーショナルマーケター
企画・マーケティング会社にて、大手化粧品メーカー(資生堂)・大手石油会社(現新日本石油)等のマーケティング計画策定・現場マニュアル作成をサポート。その後、株式会社企画塾にて、中小零細企業の販売現場の売上アップを図るマーケティングに携わる。現在は、店舗ビジネス(小売業・サービス業・SC等)において顧客との関係を深め、継続的な売上拡大を目指す企業を対象に、「顧客育成/CRMの教育・研修・セミナー」を通じた人材育成を行っている。
著書に、「なぜ、CRMは店舗の売上アップに繋がらないのか?」(日刊工業新聞社)「衝動買いさせる21の法則」(クロスメディア・パブリッシング)、「増販増客実例集2005」(企画塾出版)がある。

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