連載コラム

第7回「ベテランスタッフの育成/指導」

[ 2009年7月13日 ]

今回のテーマ「店長の育成/指導」

 今回は、市場縮小時代を突破する顧客育成/CRMを推進する店舗マネジメントの「教育・研修の未来」から、「ベテランスタッフの育成/指導」についてご紹介します。店舗をマネジメントするにあたって、教育・研修は、大きな役割を担います。現場から受け入れられる教育・研修は、モチベーションアップに直結するからです。
 ベテランスタッフの育成/指導をするにあたって、いくつかポイントがありますが、その中でも最も有効な他業界・他業界のノウハウ活用についてお話します。

日本のマーケティング界の現場ノウハウ

 これは、私が日頃から感じていることなのですが、日本のマーケティング界の現場ノウハウ(接客・イベント・売場づくり・販促ツール等)・現場の成功事例は、同業界・同業種の枠中で、学ぶことが殆どです(経営理念・戦略といった上位概念では、他業種・他業界を参考にしています)。研修においても、同業界・同業種の経験者が講師に選ばれるケースが目立ちます。そのノウハウは当然、同業界・同業種のノウハウです。

他業界・他業界のノウハウ活用

 そこで、ご提案したいのが、「他業種・他業界で実施されているノウハウを学んで、自社のマーケティングにアレンジして活用する」という発想です。世の中で新しいマーケティングは、その殆どが、他業界・他業種では当たり前に取り組んでいることです。
 特に、ベテランスタッフには、他業界・他業種のノウハウ・成功事例を切り口に教育・研修を実施すると、効果の高いものになります。これは、私がよく実施しているので実感として言えます。
 その理由は、他業界・他業種のお話は、自分がお客様の立場になって冷静に話しを聞くことができるからです。それに比べて、同業界・同業種・競合企業の事例は、お客様の立場になって聞くことが難しいのです。「自分のお店では、人が少ないのでできない...」「あの会社は、ウチとは違う...」という具合に、企業・お店の立場で聞いてしまいます。教育・研修を受けて、「お客様の気持ちになって、新しい取り組みを考える」ことができない状況が生まれてしまうのです。

競合店の一歩先をいくには...

 今後のマーケティング教育・研修では、「他業界・他業種に想いを馳せ、新しいマーケティングを考え出す=業種・業界を横断する発想」を参加者に提供することが重要になってくるでしょう。それが、競合店の一歩先をいくお店を育てることに繋がります。
 今や、業界トップ企業のノウハウ、業界のカリスマ販売員のノウハウといった同業界・同業種のノウハウを学ぶだけでは、現場の問題解決は、難しいものになっています。もしできるのであれば、すでに多くの問題は解決済みのはずです。

他業種・他業界のノウハウを活用している事例

 業界内で新しいマーケティングで、成功している店舗・企業は、決して世の中になかった方法を行ったのではなく、他業種・他業界の手法をアレンジして、自社に取り入れています。

(1)座席指定&ポイントカード実施の「シネマコンプレックス」

 座席指定は、コンサートでは当たり前、ポイントカードはスーパーでは当たり前に行われている。しかし、10年前の映画館ではあまり行われていなかった。今人気の小型映画館が集まったシネマコンプレックスでは、座席指定ができ、ポイントカードでお得になるマーケティング手法を当然のごとく採用している。

(2)「シューケアセミナー」を開催している「紳士靴店」

 啓蒙型の集客営業は、ノウハウ提供型の業界「コンサルティング会社」「PCソフト会社」「FC本部」では常識であるが、紳士靴のような分かりやすい商品は、通常セール(割引販売)で集客することが多い。
 しかし、この手法は通常時に商品が売れなくなり、利益率が下がってしまうケースが多い。今回のような啓蒙型の集客営業は、その心配もなく、さらに、消費者に対して専門店としての位置付けを明確に訴求できる。

(3)無料で直してくれる「美容院」」

 小売チェーン・通販では返品可能が常識。しかし、美容室のようなサービス業では、サービスが気に入らなくても料金を払わなくてはいけないが、10日間以内で髪型が気に入らなければ無料で直してもらえるチェーンが出てきた。これは一種の返品サービスである。

(4)季節の催事販売に力を入れる「コンビニエンスストア」

 地域に根をはり、売上を上げているブティック・呉服店・寝具店は、季節の催事に合わせた販売促進が常識。しかし、コンビニエンスストアでは、定番商品の品揃え強化に重点的に力を注いできた。最近は売上のプラスオンのために、ひな祭りのケーキ販売、お中元、お歳暮等、季節の催事に合わせた販売促進に力を入れており、年々その幅を広げている。


次回は、「教育・研修の未来」から、「新人スタッフの育成/指導」についてご紹介します。

次回も楽しみに。最後まで読んでいただき、有り難うございました。


齋藤孝太

顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント
執筆者:齋藤 孝太

株式会社 SIS(ストラテジックインテリジェントシステム) 代表取締役 カスタマーリレーショナルマーケター
企画・マーケティング会社にて、大手化粧品メーカー(資生堂)・大手石油会社(現新日本石油)等のマーケティング計画策定・現場マニュアル作成をサポート。その後、株式会社企画塾にて、中小零細企業の販売現場の売上アップを図るマーケティングに携わる。現在は、店舗ビジネス(小売業・サービス業・SC等)において顧客との関係を深め、継続的な売上拡大を目指す企業を対象に、「顧客育成/CRMの教育・研修・セミナー」を通じた人材育成を行っている。
著書に、「なぜ、CRMは店舗の売上アップに繋がらないのか?」(日刊工業新聞社)「衝動買いさせる21の法則」(クロスメディア・パブリッシング)、「増販増客実例集2005」(企画塾出版)がある。

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