日経メッセ > リテールテックJAPAN > 連載コラム > 顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント > 第9回「現場アクション支援のインナーサイト」

連載コラム

第9回「現場アクション支援のインナーサイト」

[ 2009年9月14日 ]

今回のテーマ「現場支援のインナーサイト」

 今回は、市場縮小時代を突破する顧客育成/CRMを推進する店舗マネジメントの「現場アクション支援のインナーサイト」についてご紹介します。店舗をマネジメントするにあたって、インナーサイトは、現場のマーケティング支援にあたって、大きな役割を担います。

現場支援のインナーサイトの現状

 顧客育成/CRM導入後、本部は、販促マニュアルのリニューアル、販促ツールの継続提供、インナー向けニュースレターの発行等を通じて、現場に情報を提供しています。その媒体は、印刷物が中心となっている場合が多いのです。印刷物の方が良い場合もありますが、コスト面、情報伝達のスピード・質等、不都合なこともあります。
 そこで重要になってくるのが、顧客育成/CRMを推進する企業が開設しているインナーサイトのリニューアルです。インナーサイトが印刷物より優れている点として挙げられるのが、情報検索機能、情報蓄積機能、臨場感伝達機能です。この機能を最大限に活かしたリニューアルを行うことが重要になります。現場支援のインナーサイトの現状は、単に本部の情報掲示板になっていることが多いのです。
 今回は、現場支援のインナーサイトの問題点、その改善点についてお話します。まだ開設していない企業の方々は、開設する際の注意点として、把握していただきたいと思います。

3つの問題点と改善点

問題点1. 顧客育成/CRMノウハウがただ並んでいる
→改善点:一つ一つのノウハウを「顧客層×アクションカテゴリー」に収納する

 多くの現場支援のインナーサイトでは、顧客育成/CRMのノウハウを提供しています。そこでは単に「基礎」「実践」といったメニューの中に、一つ一つの顧客育成/CRMノウハウが収納されている場合が多いのですが、それでは顧客育成を推進する現場にとって使い勝手が悪くなります。
 大切なことは、一つ一つの顧客育成/CRMノウハウの位置づけを明確にすることです。一つ一つのノウハウが、どの顧客層(見込客・新規来店客・新規購入客・再購入客・固定客・スペシャル顧客)に向けたものなのか、アクションカテゴリー(接客・イベント・販促ツール・売場づくり)のどこにあたるのか、インナーサイト上で明確にします。
 このように位置づけられると、現場は使いやすいのはもちろん、問題点をヒアリングし、どの顧客層に向けたマーケティングが問題になっているか把握するだけで、サイトから今伝えるべき最適な顧客育成/CRMノウハウが分かります。
 さらに、現場がいくつかの質問に答えていくと、実施すべき顧客育成/CRMノウハウが表示されたり、数値(売上・売上数量・客単価・顧客数等)をインポートすると、優良店との違いが明確に表示され、ここでも実施すべき顧客育成/CRMノウハウが表示される仕組みもできるでしょう。このレベルまでいくと、現場の現状と顧客育成/CRMノウハウがサイト上で直結することになります。


問題点2.デザイン違いの販促ツールダウンロード
→改善点:One to One販促ツールのダウンロード

 現場支援のインナーサイトに必ずあるのが、販促ツールのダウンロードサービスです。多くの場合、デザイン違いのDM・ポスター・ハガキ・POP等のツールがダウンロードできます。マスマーケティングを推進する企業のインナーサイトであれば問題ないのですが、顧客育成/CRMを推進する企業のサイトとしては、役不足です。
 顧客育成/CRMでは顧客1人ひとりとの関係を大切にすることから、固定客・スペシャル顧客といった優良顧客に送付する販促ツールには、One to One対応を感じさせるオリジナル文章が必須になります。
 従って、例えば「商品購入のお礼ハガキ」には、オリジナル文章を自由に入力できる機能がダウンロードサービスに最低限必要になります。便宜的にこれをレベル1としましょう。
 しかし、毎回、スタッフがコメントを考えるのは、販売現場において現実的ではありません。そこで、まずはデザインを数種類から選び、続いて(1)購入商品を選ぶ、(2)時期・天候を選ぶと、オリジナル文章が自動的に出来上がる機能が必要になります。これはレベル2でしょう。
 さらに、精度を高めると、(1)購入商品を選んでから、A.商品メンテナンス情報、B.商品素材、C.商品デザインからもオリジナル文章を選べる機能が追加されます。これにより、顧客との会話の中で把握した、顧客に喜ばれる内容を選ぶことができます(ex.素材を気に入って商品を購入した顧客には、素材についてのオリジナル文章を入れる)。また、A.堅い挨拶、B.通常レベルの挨拶、C.フレンドリーな挨拶からもオリジナル文章を選べます。これはレベル3です。

crm_09091401_01.jpg

 リニューアルにあたって、レベル2の機能は、是非組み入れて欲しい所です。

 オリジナル文章は、手書きで良いのではという声が聞こえてきそうですが、字がキレイな現場スタッフは問題ありませんが、自信のないスタッフの場合、手書きで文字を書くことに抵抗を覚え、「商品購入のお礼ハガキ」の送付率が下がってしまいます。これでは、顧客との関係が深まりません。手書きの活用は、最後に一言加える等、あくまでも最後の味付けであって、基本は文字入力にすべきでしょう。


問題点3.文字(テキスト)中心の情報伝達
→改善点:動画を中心とした臨場感のある情報伝達

 インナーサイトは、現場の教育と捉えることもできます。教育に最も適している情報媒体は、セミナー・講義等のライブです。その次にDVD・ビデオ等の動画、最後にテキスト・マニュアル本等の文字です。 
 現在、現場のインナーサイトの情報媒体は、文字(テキスト)情報が中心になっています。動画を活用することで、教育の質を上げることができます。マーケティングノウハウはもちろん、成功店の取材等は、動画で配信するべきでしょう。臨場感を持った動画情報は、現場の方々の五感に訴求することができ、強く印象に残ります。

最後に

 今後は、インターネットを日常で活用していた層が、増え続けることは間違いありません。今、現在の現場の方々を思い浮かべて、インナーサイトの充実を考える必要があるか疑問を持つ方もいるかも知れませんが、今後はインナーサイトが現場支援の中心になるでしょう。PCからモバイルへの流れも進んでいきます。
 今の内からノウハウを着々と蓄積することが重要です。

 次回は、「分析と対策の未来」の中から、「店舗の評価基準、分析手法」についてご紹介します。
 次回も楽しみに。最後まで読んでいただき、有り難うございました。


齋藤孝太

顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント
執筆者:齋藤 孝太

株式会社 SIS(ストラテジックインテリジェントシステム) 代表取締役 カスタマーリレーショナルマーケター
企画・マーケティング会社にて、大手化粧品メーカー(資生堂)・大手石油会社(現新日本石油)等のマーケティング計画策定・現場マニュアル作成をサポート。その後、株式会社企画塾にて、中小零細企業の販売現場の売上アップを図るマーケティングに携わる。現在は、店舗ビジネス(小売業・サービス業・SC等)において顧客との関係を深め、継続的な売上拡大を目指す企業を対象に、「顧客育成/CRMの教育・研修・セミナー」を通じた人材育成を行っている。
著書に、「なぜ、CRMは店舗の売上アップに繋がらないのか?」(日刊工業新聞社)「衝動買いさせる21の法則」(クロスメディア・パブリッシング)、「増販増客実例集2005」(企画塾出版)がある。

バックナンバー

PAGE TOP