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連載コラム

NFC標準搭載スマホGALAXYシリーズは世界の売れ行きNo1

[ 2012年9月13日 ]

文・山本 正行(山本国際コンサルタンツ 代表)

 韓国サムスン電子のスマートフォン「GALAXY(ギャラクシー)」シリーズにはNFCが搭載される機種が多く、海外でGALAXYといえばNFCが標準搭載という状況になりつつあります。GALAXYシリーズは数あるアンドロイド搭載機種の中 でも人気が高く、現在スマホのシェアはGALAXYが iPhoneを大きく引き離す状況です。NFCが搭載され たGALAXYシリーズの拡販は、そのままNFCの普及に つながるので、今後の動向に期待が高まります。

GALAXYのサムスンがアップルに訴えられる

 スマートフォン(スマホ)やタブレットは、基本ソフトにiOSを搭載するiPhone、iPadと、アンドロイドを搭載する各モデル(GALAXYなど)に二分されますが、デザインや使用感はどうしても似たものになりがちで、各製品の特長を出しにくいという問題があります。その類似したデザインや操作性をめぐっては、サムスンがiPhoneやiPadのデザインや操作性を真似たとして、アップルが世界各地で特許侵害の訴訟を起こしています。既にオーストラリア、アメリカなど一部の地域ではGALAXYの一部モデルが販売停止になったところもあります。またつい先日、アメリカではアップルが勝訴し、サムスンに10億5千万ドル(約830億円)という多額の賠償金の支払いが命じられました。

イギリスでは裁判にならず

 ところが、イギリスでは判事が「GALAXY Tabs were "not cool" enough to be mistaken for iPads.」(GALAXY TabはiPadと見間違うほど恰好良くは無い・・・英語部分は英ファイナンシャルタイムスから引用)と言い、アップルの要求を退け、裁判には至りませんでした。日本でこのニュースは小さく扱われただけですが、この判事の発言に私は強い興味を抱きました。
 もちろん私見に過ぎませんが、発言には裁判で市場優位性を確保しようとするアメリカ企業(IBMがそうであったように)に対する制裁的感情と、イギリス人がアジア製品に抱く「アジア製品よりも欧米製品が優れる」という潜在的な思いを感じました。結果的に、アップルは主張が認められなかったもののプライドは維持し、サムスンは「恰好良く無い」という汚名を着る代わりに訴訟を免れ、実利を得ました。判事がアップルとサムスンを痛み分けさせてうまく仲裁した格好です。
 イギリス人にとってみればiPhone、GALAXYのどちらも外国製品で、両メーカーの言い分は他人事のようなもの。イギリス市場でも両者がスマホの人気を二分する状態にあり、アップル勝訴によりGALAXYの販売が差し止められるようなことは望まれることではありません。GALAXY Tabに対する「恰好良く無い」発言は正直いかがなものかと思う面もありますが、それでも、皮肉に満ちたこの発言には子供の喧嘩を大人がたしなめるような不思議な力があります。
 ところで日経新聞によれば、アメリカの裁判ではサムスンが提出した証拠文書に、iPhoneのデザインがソニーのデザイナーによる「ボタンを極力無くした携帯端末」にヒントを得た、とあるそうです。事実とすれば日本は当時最先端を走っていたにもかかわらず、製品を世に送り出すことが出来なかったことが悔やまれます。

 今回はNFCとは無関係の話題となってしまいました。
 話をNFCに戻せば、今もっとも注目される点は、この秋にリリースされるiPhone5にNFCが搭載されるかどうか? でしょう。噂はいろいろと流れていますが、正しい答えが間もなく明らかになりそうです。

電子決済・ICカード国際情報局
執筆者:電子決済研究所/山本国際コンサルタンツ

多田羅 政和 (写真左、Masakazu Tatara)
株式会社 電子決済研究所 代表取締役社長。
カードビジネス専門誌『カード・ウェーブ』編集長、『モバイルメディア・マガジン』編集長を歴任した後、(株)シーメディア・ITビジネス研究所でマーケット調査やコンサルティングに従事、『電子決済総覧』『ICカード総覧』等の研究レポートの編集・執筆にも携わった。2009年7月に独立し、電子決済(クレジットカード、eコマース、電子マネー・プリペイドカードなど)、ICカード技術、生体認証技術、CRM・マーケティング(ポイントカード、電子クーポンなど)、ITセキュリティ(3Dセキュア、PCI DSSなど)といった、いわゆるICT全般に関連したビジネスを手がける調査・研究機関として、電子決済研究所を設立。2011年6月に同事業を法人化した。近著(編集協力)に『NFC総覧2010-2011』『電子決済総覧2011-2012』(iResearch Japan発行)、『NFC最前線2012』(日経BP社)などがある。


山本 正行 (写真右、Masayuki Yamamoto)
山本国際コンサルタンツ 代表。
主に決済サービス事業の企画、戦略立案を専門とするコンサルタントとして、銀行、クレジットカード関連会社、通信キャリア、鉄道会社などの事業化、サービス企画などを支援。
山本国際コンサルタンツは、電子決済、ICカード、モバイル、認証、CRM・マーケティング、ITセキュリティなどの分野で活躍するコンサルタントから構成される組合組織(2009年7月開業)。電子決済・ICカード・モバイル等ICT関連ビジネスの事業支援をはじめ、マーケティング支援、コンサルティング、教育、調査、外資系企業の日本参入に関するビジネスモデル調査・支援(非会計分野)、日本企業の海外進出、海外向け製品販売の支援などのサービスを提供する。
他に、山本コマースITオフィス事業主、関東学院大学経済学部経営学科講師、株式会社 電子決済研究所 取締役、(一社)電波産業会 高度無線通信研究委員会特別委員(モバイルコマース担当)も務める。講演、執筆多数。近著に『カード決済業務のすべて〜ペイメントサービスの仕組みとルール〜』(一般社団法人 金融財政事情研究会)など。

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