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連載コラム

アリペイの故郷で『Money20/20』が初開催 キャッシュレスシティ中国・杭州市で見た現金不要な社会

[ 2019年1月15日 ]

昨年の11月、アリババグループのお膝元である中国・杭州市で世界的なFinTech関連イベント『Money20/20 China』が初開催されました。日本でも訪日外国人旅行者に対応する電子決済サービスとしてアリペイ(Alipay)、ウィーチャットペイ(WeChat Pay)の名前はとっても有名になりましたが、いわばアリペイの故郷で開催された国際会議ではどんな話題が議論されていたのでしょうか。杭州初上陸の筆者がレポートします。

文・多田羅 政和(電子決済研究所)

Money20/20初開催地となった杭州市とは?

 『Money20/20 China(2018)』は昨年11月14日(水)15日(木)16日(金)の3日間、中国は浙江省(せっこうしょう)・杭州市の杭州国際博覧センターで開催されました。この会場は2016年9月にG20サミットが開催されたことでも有名ですね(写真1)。

写真1 G20でも利用されたバンケットホールは会場5階の空中庭園にある写真1 G20でも利用されたバンケットホールは会場5階の空中庭園にある

 本連載の読者の皆さんならば『Money20/20』の名称には聞き及びがあるかと思います。FinTechが話題になり始めた数年前から毎年秋にアメリカ・ラスベガスで開催されている国際カンファレンスイベントです。その後、勢いに乗ってヨーロッパ大会をオランダなどで(9月頃)、アジア大会をシンガポールで(3月頃)、と開催地を広げて来ました。そして、このほどモバイル決済の普及度合いで注目される中国での初開催となりました。
 杭州の英語名はHangzhouと書きますが、「ハンジョウ」と発音されます。しかし、日本人が漢字を素直に音読みしようとすると「こうしゅう」となるため、同じ中国の「広州(こうしゅう)」と見分けを付けようと「杭州(くいしゅう)」と湯桶読みをすることもあります。
 地理的には、上海から南西に200キロメートルほどの距離に位置しますが、上海虹橋空港から高速鉄道が頻繁に運行していて、1時間ちょっとでたどり着くことができました。(杭州にも国際空港がありますが、筆者は今回利用しませんでした)
 杭州市といえば、何といってもアリババグループの本社があることで有名です。当然、アリペイを提供するアントフィナンシャルサービスのお膝元でもありますし、LianLian Pay、NetEaseなどのFinTech関連企業や新興ベンチャーも本社を構えています。少し前には、アリババと杭州市がカメラと人工知能を活用することで市内の自動車渋滞を激減させた、なんてニュースも話題になりました。
 その杭州市は、浙江省の省都(省政府の所在地)です。『Money20/20 China』のオープニングスピーチに登壇した浙江省人民政府副省長のZhu Congjiu氏によると、浙江省では現在、全域でモバイル決済への対応を進めているところ。お店に設置する端末は2022年までに、コード(二次元コード、バーコード、声波コードなど)、生体認証(指紋、掌紋、筆跡、声紋など)、物理媒体(身分証、銀行カードなど)、近距離通信(NFC、Bluetooth、WiFi、GPSなど)の多様な支払い技術に対応し、「モバイル決済の省」になることを目指しているそうです。
 省都から始まったモバイル決済への取り組みが、さまざまな技術に伝播しつつ、省全体へダイナミックに広がろうとしていることがよくわかるスピーチでした(写真2)。

写真2 杭州市のプロモーションビデオ。中国国家の重要戦略に位置付けられている金融戦略に沿って、世界で最も著名なFinTechエリアになることを目指している写真2 杭州市のプロモーションビデオ。
中国国家の重要戦略に位置付けられている金融戦略に沿って、世界で最も著名なFinTechエリアになることを目指している

過去最高を記録した「ダブル11」は売上高の6割が生体認証で

 『Money20/20 China』には東西を問わず世界中から関係者が訪れていましたが、講演者としてはやはり中国語を母国語とする方やアジア圏からの来場の比率が高いように感じました。また、中国語での発表者が多かったことも印象的でした。参加者には中国語・英語の同時通訳レシーバーがもれなく配布され、講演の意図を掴む手助けにはなりましたが、今や国際的なフィンテック企業であるアリペイ(アントフィナンシャル)、ウィーチャットペイ(テンセント)の講演者までもが中国語でスピーチしたところは筆者には少し意外でした。
 中国語圏外から来られた講演者は英語で話しますから、数名が登壇して行われるパネル討論では中国語と英語の混在で行われる場面も見られ、これもまた印象的でした。
 さて、はるばる杭州まで来たんですから、何といってもお膝元であるアリババグループ、とりわけアリペイの話を聞きたいですよね。私に限らずそんなビジターたちのご期待にもれず、アリババグループで金融戦略を担うアントフィナンシャルサービスのCEOで経営執行役会長のEric Jing氏(写真3)がイベントの基調講演に登壇しました。

写真3 アントフィナンシャルサービス  CEO・経営執行役会長のEric Jing氏写真3 アントフィナンシャルサービス CEO・経営執行役会長のEric Jing氏

 ちょうど本イベント開催間際の2018年11月11日、中国ではネット通販のお祭り「ダブル11」が今年も開催されたところでした。Jing氏はここで、アリババグループが開催したTモール(天猫)での「グローバル・ショッピング・フェスティバル」の取扱高が過去最高となる2,135億元(1元=16円換算で約3.4兆円)を突破したことを示し、胸を張りました。中国のネットショッピングイベントとはいっても、海外の企業やブランドも出店していますし、インターネットですから海外の消費者でももちろん注文購入が可能です。実際に、このフェスティバルには230の国と地域の消費者が参加し、また、75の国と地域の商品が中国の消費者に向けて販売されました。
 昨年末のダブル11の見所は、その衰えを知らない売上高だけではありません。ダブル11は「FinTechイノベーションのショーケースにもなった」(Jing氏)。なんと驚くべきことに、2,135億元を売り上げた全取引の60.3%が指紋認証か顔認証による決済だったと話します。
 また、アントフィナンシャルが開発するブロックチェーン技術「アントブロックチェーン」がダブル11に初導入されていました。世界1.5億個の商品のトレーサビリティをこのブロックチェーンが支えていたのだそうです。他にも、アリババグループが私有するコア技術を公開のものとし、3拠点にある5つのデータセンターにおいて、「OceanBase」(データベース)、「SOFAStack」(アーキテクチャ)、「AlphaRisk」(AIベースのリスクエンジン)を適用したことを明らかにしました。
 ブロックチェーン技術の開発では、すでに従来の伝統的な方式と比べて便利で安全性が高く安価な国際送金システムなども開発済みとのことですが、同社は自社のブロックチェーンをオープンプラットフォームのサービスとして外部に提供する方針で、「Ant Baas(Blockchain-AS-A-Service) Platform」を2018年6月から提供しています。
 もう1つ、同社が力を入れるのがAI(人工知能)。「金融サービスをより効率的に、より安全に、よりパーソナライズ化する」(Jing氏)ものとして、リスク管理(セキュア取引、アンチマネロン)やローン審査、資産管理、カスタマーサービス、保険などに応用していく考えを示しました。
 Jing氏の講演にはアリペイよりも高次の話も盛り込まれましたが、アリペイと中国国外の国や地域の電子決済サービスとの協業についても言及がありました。例えばインドのPaytmや韓国のKakao Pay、マレーシアのTouch&Goなど協業先は東南アジアに広がっています(写真4)。同社ではこれらのローカルパートナーと協力することにより「新興市場のデジタル金融包摂(Digital Finanncial Inclusion)を促進していきたい」(Jing氏)としています。
 ところでJing氏の講演はちょうど基調講演の最後のセッションに当たり、休憩に入るタイミングであったことも手伝ってか、講演後には聴講者に囲まれフォトセッションに応じたり名刺交換攻めに遭ったりしていました。やっぱり世界中の皆さんがアリペイに興味津々なんですね。

写真4 アジアに広がりを見せるアリペイのローカルパートナー写真4 アジアに広がりを見せるアリペイのローカルパートナー

外国人のウィーチャットペイ利用にも門戸を広げる

 ウィーチャットペイの海外展開を手がけるテンセント金融科技・副総裁のRoyal Chen氏(写真5)は「クロスボーダー(越境)モバイル決済」をテーマに講演。ウィーチャットペイの月間アクティブユーザーは実に8億人以上、同社が「紅包(Red Packet)」と呼ばれる、お年玉を電子的に送金する機能を2014年の旧正月に提供し始めた頃から中国のモバイル決済は急速に進みました。現金を持ち歩く必要のない社会を一足先に実現してみせたことで、今も世界中を驚かせ続けています。

写真5 テンセント金融科技 副総裁のRoyal Chen氏写真5 テンセント金融科技 副総裁のRoyal Chen氏

 そんなウィーチャットペイですが、すでに中国国外でも40の国と地域の加盟店をサポートしていて、中国人旅行者が海外旅行をする際、自国と変わらないキャッシュレスの旅行体験を可能にしています(写真6)。決済に限らず、最近では空港(19カ国の81施設)や駅、自宅から免税が受けられるサービス「We Taxリファンド(退税通)」も提供しているそうです。

写真6 ウィーチャットペイの加盟店は40の国と地域に広がる写真6 ウィーチャットペイの加盟店は40の国と地域に広がる

 では、私たちのように、中国人以外の「外国人」はウィーチャットペイを便利に使うことはできないのでしょうか。
 Chen氏は香港の在住者向けに提供されている「WeChat Pay HK(香港)」を紹介しました。こちらはウィーチャットペイを香港で利用できるサービスですが、取引件数は10倍以上の伸びで成長し続けており、2019年はさらに対応するお店が増加する見込みとのこと。また香港では、香港在住のフィリピン人労働者が本国へ仕送りする際の送金サービスとして「WeRemit」も提供されており、現地のユーザーからは大変喜ばれているそうです。
 そして昨年(2018年)10月からは、この「WeChat Pay HK」のアプリがそのまま中国本土でも利用できるようになりました。香港在住者が中国本土を訪れる際には、スマホを1台持ってさえいれば、いつもと変わらないキャッシュレスで旅行を楽しむことができます。
 香港に続いて、2018年6月にはマレーシア版の「WeChat Pay MY」も提供を開始しています。外国人に向けたサービス提供については、このように現地ローカル化したウィーチャットペイアプリの提供とは別のアプローチもあります。中国本土を訪れた外国人旅行者にも、中国人が利用しているウィーチャットペイをそのまま使えるように開放する方法です。これは、長期在住者と短期滞在者とで利用条件が異なります。
 まず、長期在住者の場合、中国の銀行カード(中国国内の80以上の銀行が対応)と、海外で発行された本人確認書類の提示があれば、本家のウィーチャットペイアプリがそのまま利用できます。本人確認書類はパスポート(香港・マカオと台湾の在住者は旅行許可証)で大丈夫です。
 そして短期滞在者は、海外発行の銀行カード(Visa、Mastercard、American Express、JCB、Diners Clubの付いたもの)があれば、ウィーチャットペイに登録できるとのこと(※)。お店での利用に限らず、Eコマースや交通機関、宿泊、航空券ほか、あらゆるサービスに対応するそうですので、中国を旅行する人にとっては非常に助かる機能です。

※この登録方法について筆者は未検証です。利用される際には情報にご注意ください。

クロスボーダー(越境)取引の周辺にビジネスチャンスあり

 『Money20/20』は元来、カンファレンス(講演やパネル討論)が主体のイベントですが(写真7)、複数の講演会場をつなぐメイン会場には、数は少ないながらも展示ブースがありました(写真8、9)。その多くを中国やアジア系の企業が占めていました。

写真7 1,000人くらい入りそうなメイン会場写真7 1,000人くらい入りそうなメイン会場

写真8 『Money20/20 China』の会場マップ。中央に展示フロアがある写真8 『Money20/20 China』の会場マップ。中央に展示フロアがある

写真9 展示フロアの模様写真9 展示フロアの模様

 中国の電子決済といえば、中国政府の主導により設立された中国銀聯と銀行によって提供されていますから、同国でFinTechに挑もうとする事業者はアントフィナンシャルやテンセントのように、銀行から見ればサードパーティ事業者の位置付けになります。
 そんな中での『Money20/20』展示ですが、中国企業のブースを拝見していると「クロスボーダー(国境越え)ペイメント」の文字を掲げるところが目立ちました。中国では通貨に人民元を採用していますが、対面・非対面、国内・国外を問わず電子決済が発展すると、この為替の問題に行き着きます。
 ロンドン拠点のFinTech企業であるPPROグループCEOのSimon Black氏によれば、「中国人のEコマース売上高のうちクロスボーダー(越境)取引はわずか19.7%に過ぎず、これはカナダよりも少ない」そうです。「現地ローカルの決済方法を受け入れることこそが、クロスボーダーでのEコマース拡大には欠かせない」(Black氏)
 国際送金ネットワークを運営するSWIFTのAsia Pacific地域マネージングディレクターのEddie Haddad氏は、中国におけるクロスボーダー決済の利用地域上位を教えてくれました。中国への流入(決済利用)は、1位香港、2位アメリカ、3位韓国、4位イギリス、5位台湾がトップ5。これに対して中国から外国への流出(決済利用)は、1位香港、2位アメリカ、3位オーストラリア、4位カナダ、5位イギリスと続きますが、Haddad氏も「現状これらのいずれも人民元での決済には対応しておらず、大きなビジネスチャンスだ」と聴衆にメッセージを送りました。

アメックスの中国進出で注目されるLianLianのブースも

 会場に足を踏み入れるや否や、ひときわ大きなブースが目に飛び込んできました。日本人にはかわいらしく響く名前の会社、LianLian Pay(リャンリャンペイ)です(写真10)。2003年に設立されたこのサードパーティ企業も、FinTechやカードビジネス関連では常連組ですが、まさにこの杭州に本社を置く大手。中国国内のオンライン決済やモバイル決済、アプリ開発、そしてクロスボーダーでの支払収受まで、金融決済関連のプラットフォームを幅広く提供しています。

写真10 LianLian Payのブース写真10 LianLian Payのブース

 LianLianといえばこのイベント直前の11月初旬に、アメリカン・エキスプレスと合弁で設立した会社が中国人民銀行(PBOC)から中国本土でカード決済事業を行うためのライセンスを取得したことが報じられ、関係者の話題を集めました。LianLian Payで会長補佐を務めるAlvin Liu氏にさっそくそのことを聞いてみると、「そうなんだ! まさにホットイシュー。今ちょうどLianLianグループのほうで詳細を詰めているところなんだ」と嬉しそうな表情を見せてくれました。今後、アメックスのカードが中国で登場してくることになりますが、LianLianはその土台を支える企業として活躍していくことでしょう。
 北京に本社を置くYeePay(易宝支付)もまた、2003年創業のサードパーティ企業です(写真11)。オンライン決済、モバイル決済、コールセンター/IVR、POS、クロスボーダー取引などなど、中国の電子決済プラットフォームを支えてきました。加盟店は100万店舗を超え、年間の取引額は2兆元(約32兆円)に上ります。YeePayによると、中国では非対面のEコマースが占める比率が年々減少しており、代わってアリペイのようなEペイメントの比率が急上昇しているとのこと。「Eペイメントこそが、旧来の産業の次の10年をアップグレードする」(YeePay社長で創業者のChen Yu氏)として、生体認証技術やビッグデータ、AI、ブロックチェーンなどを積極的に取り込んでいく姿勢を見せました。

写真11 YeePayのブース写真11 YeePayのブース

 51信用(クレジット)カードは杭州市で2012年に設立されたクレジットカードビジネス関連のサードパーティ企業で、中国で発行されているクレジットカードの管理アプリなどのサービスを提供しています(写真12)。「よく誤解されますが、うちはクレジットカードを発行する会社ではないんですよ」と説明員の方が教えてくれました。日本でも人気がある家計簿管理アプリのクレジットカード特化版、といった位置付けでしょうか。登録されているクレジットカードの枚数は約1.2億枚というから恐れ入ります。

写真12 51信用(クレジット)カードの管理アプリは中国国内の20以上の銀行に対応する写真12 51信用(クレジット)カードの管理アプリは中国国内の20以上の銀行に対応する

 中国国外から参加した事業者の姿もありました。RoyalPayはオーストラリアを拠点とするクロスボーダー決済事業者。アリババ、テンセント、チャイナテレコムとの提携により、中国人旅行者がオーストラリアのRoyalPay加盟店でアリペイやウィーチャットペイ、ベストペイの利用できる環境を提供しています(写真13)。オーストラリアを訪れる中国人観光客は年間120万人だそうで、そこに特化した事業展開は日本の事業者にも参考になるかもしれません。

写真13 QRコード決済プロバイダのRoyalPayはオーストラリアからの参加写真13 QRコード決済プロバイダのRoyalPayはオーストラリアからの参加

キャッシュレスシティ・杭州を歩く

 せっかくなので、『Money20/20』会場の外、杭州市内のキャッシュレスはどのくらい進んでいるのかについても報告しておきましょう。
 例えば、先に述べたアリババ本社の隣には、アリババが昨年4月に開業したショッピングセンター「亲橙里(チンチェンリー)」があります(写真14)。その地下には同じくアリババ直営の食品スーパー「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」が入っています。

写真14 亲橙里(チンチェンリー)はアリババ直営のショッピングセンター写真14 亲橙里(チンチェンリー)はアリババ直営のショッピングセンター

 もはやフーマーの名物になっていますが、店内に生きた魚介類が巨大な水槽で陳列され、自分で食べたいものを選んでその場で調理してもらう、なんてスタイルも日本人には斬新過ぎて思わず言葉を失いますが、筆者の関心は支払い方法でした。店内にはセルフレジ(写真15)が配置されていて、皆さんそこで支払いを行っています。しかし、購入商品と、片手に持っているのはお財布ではなくてスマホ。セルフレジに商品をスキャンしたら、当然のようにアリペイでお会計を済ませて帰っていきます。筆者も買い物をしてみましたが、直接アリペイのアプリで支払うのではなく、一度フーマーのアプリをダウンロードして、それを経由してアリペイで支払うようになっていました。セルフレジで現金は使えませんが、もちろんライバルのウィーチャットペイも使えません(笑)。

写真15 盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)のセルフレジ。スマホアプリでQRコードを読み取って決済する写真15 盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)のセルフレジ。スマホアプリでQRコードを読み取って決済する

 杭州地下鉄に乗るのも、高速鉄道のチケットを買うのも、タクシーも、自動販売機も、道路脇の露天商も、自転車修理だって、本当に何から何までQRコード決済が対応していて、町を行き交う誰もがスマホだけで支払いを済ませています。
 世界遺産の杭州西湖にも足を伸ばしてみましたが、例えば西湖を縦断してくれる手漕ぎの小舟や遊覧船、電動カートなどの乗車も、すべてQRコード決済で済ませるのが基本。運転手さんが首に提げたQRコードをスマホで読み取らせてもらって、金額を自分で入力して支払います(写真16)。観光名所である雷峰塔のチケット売り場は「アリペイ」か「現金」の2択という不思議な光景が広がっていました(写真17)。

写真16 首から提げたQRコードをアリペイアプリで読み込んで、金額を手入力して支払う写真16 首から提げたQRコードをアリペイアプリで読み込んで、金額を手入力して支払う

写真17 「現金 /支付宝(アリペイ)」の二択(!)。Visa、Mastercardなどの国際カードはもれなく使えない写真17 「現金 /支付宝(アリペイ)」の二択(!)。Visa、Mastercardなどの国際カードはもれなく使えない

 レポートの最後に、昨年初開催された『Money20/20 China』ですが、2019年も12月4日(水)5日(木)6日(金)の日程で、同じ杭州国際博覧センターでの開催が決定しています(写真18)。電子決済に携わる方であれば、イベントも、町も、すべてが刺激になること請け合いです。ぜひ、お出かけください。

写真18 杭州西湖の雷峰塔にて、さて来年はどうしようかと思案する筆者写真18 杭州西湖の雷峰塔にて、さて来年はどうしようかと思案する筆者

電子決済・ICカード国際情報局
執筆者:電子決済研究所/山本国際コンサルタンツ

多田羅 政和 (写真左、Masakazu Tatara)
株式会社 電子決済研究所 代表取締役社長。
カードビジネス専門誌『カード・ウェーブ』編集長、『モバイルメディア・マガジン』編集長を歴任した後、(株)シーメディア・ITビジネス研究所でマーケット調査やコンサルティングに従事、『電子決済総覧』『ICカード総覧』等の研究レポートの編集・執筆にも携わった。2009年7月に独立し、電子決済(クレジットカード、eコマース、電子マネー・プリペイドカードなど)、ICカード技術、生体認証技術、CRM・マーケティング(ポイントカード、電子クーポンなど)、ITセキュリティ(3Dセキュア、PCI DSSなど)といった、いわゆるICT全般に関連したビジネスを手がける調査・研究機関として、電子決済研究所を設立。2011年6月に同事業を法人化した。近著(編集協力)に『NFC総覧2010-2011』『電子決済総覧2011-2012』(iResearch Japan発行)、『NFC最前線2012』(日経BP社)などがある。


山本 正行 (写真右、Masayuki Yamamoto)
山本国際コンサルタンツ 代表。
主に決済サービス事業の企画、戦略立案を専門とするコンサルタントとして、銀行、クレジットカード関連会社、通信キャリア、鉄道会社などの事業化、サービス企画などを支援。
山本国際コンサルタンツは、電子決済、ICカード、モバイル、認証、CRM・マーケティング、ITセキュリティなどの分野で活躍するコンサルタントから構成される組合組織(2009年7月開業)。電子決済・ICカード・モバイル等ICT関連ビジネスの事業支援をはじめ、マーケティング支援、コンサルティング、教育、調査、外資系企業の日本参入に関するビジネスモデル調査・支援(非会計分野)、日本企業の海外進出、海外向け製品販売の支援などのサービスを提供する。
他に、山本コマースITオフィス事業主、関東学院大学経済学部経営学科講師、(一社)電波産業会 高度無線通信研究委員会特別委員(モバイルコマース担当)も務める。講演、執筆多数。近著に『カード決済業務のすべて〜ペイメントサービスの仕組みとルール〜』(一般社団法人 金融財政事情研究会)など。

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