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連載コラム

第15回 写真で見る「カルテ・アジア展2011」 カードビジネス関連企業が香港に集結

[ 2011年7月6日 ]

文・多田羅 政和(電子決済研究所 代表)

 『IC CARD WORLD』ウェブサイトをご覧の皆様、こんにちは。電子決済研究所の多田羅です。
 さる3月29日(火)〜31日(木)の3日間、香港でカードビジネスの業界イベント『CARTES in Asia 2011』(以下、カルテ・アジア)が開催されました。今回で第2回目となる同展示会に今年も足を運んできましたので、展示内容の一部をご紹介します。

出展企業は昨年より微増

 カルテ・アジアは、フランスで毎年開催されている世界最大級のカードビジネス展示会『Cartes&IDentification』のアジア地域版です。
 会場は、香港国際空港駅からわずかひと駅のAsiaWorld-Expo(博覧館)駅にある「アジアワールド・エキスポセンター」。『リテールテックJAPAN/IC CARD WORLD』の開催されている東京ビッグサイトと比べると、ひとまわり小さな規模の会場です。
 今回の出展企業数は129社・団体で、3日間を通じて約3,000名が来場しました。微増ではありますが、いずれも昨年実績と比べて純増の結果となりました。

 下図はカルテ・アジアの会場内マップです。基本的には昨年同様のレイアウトですが、中国パビリオン、フランスパビリオンなどの特設コーナーを含む展示ブースと、会場の4隅にカンファレンス(セミナー)会場、レストランが用意されていました。

アジアのカードメーカー、端末メーカーが勢揃い

 会場入口付近にブースを構えた決済端末メーカーのVerifone(べリフォン)では、NFC(Near Field Communication)に対応した非接触ICリーダを組み込んだ端末を豊富に展示。カラースクリーン付きのPOS端末や、iPhoneに専用ジャケットを装着することで決済端末化するソリューションなどのデモンストレーションが行われていました。

 端末メーカーやリーダメーカーではこのほか、先の『IC CARD WORLD』にも出展した台湾のCastles Technologies(キャッスル・テクノロジーズ)や、香港のSpectra Technologies(スペクトラ・テクノロジーズ)、同じく香港に拠点を置くACS(Advanced Card Systems)、深センのKAIFAなど、アジア勢を中心としたブース出展が目立ちました。いずれの会社でもNFC対応の非接触ICリーダを接続、あるいは内蔵したタイプの新製品がフィーチャーされており、非接触ICカードやNFCケータイの普及トレンドが世界的な潮流であることを感じさせます。
 ちなみに決済端末は、海外では"EFT POS Terminal"(Electronic Funds Transfer Point Of Sales)などと呼ばれます。日本でPOS端末というとPOSレジを想起しますが、諸外国ではカード決済の専用端末を指すことが多いのでご注意ください。

 端末以外にも、カード発行メーカー(中国のEASTCOMPEACEやGOLDPACなど)や発行機メーカー(DatacardグループやZEBRAなど)といった企業も多く見られました。

 また、中国のWatchdata社は、ICカード関連の総合的なソリューションベンダーとして、各種の非接触ICリーダ端末や中国版のETC車載器などを披露。特に同社では、アンテナモジュールを内蔵するSIMカード「SIMpass」によるモバイルコマースの提供に力を入れており、同技術を採用するチャイナテレコムの事例などをアピールしていました。
 中国では現在、モバイルペイメントの普及が加速しているそうです。

カンファレンスは2日間で80本以上の講演が

 カルテ・アジアの会場では、ブース出展と並行して有料のカンファレンス(セミナー)も開催されています。今年は15のテーマに基づく計80本以上のセッションが行われました。

 今年のカンファレンス・テーマは下記の通りです。

<カルテ・アジアのカンファレンス・テーマ>
・「Governmental credential & e-document」(政府証明書&電子文書)
・「Payments: cards, readers & terminals」(ペイメント:カード、リーダ、端末)
・「Mobile payments & financial services」(モバイルペイメント&金融サービス)
・「Security: data protection & privacy」(セキュリティ:データ保護&機密情報)
・「Prepaid & loyalty programs」(プリペイド&ロイヤルティプログラム)
・「GlobalPlatform Transit Session」(GlobalPlatformの交通利用)
・「NFC & contactless applications」(NFC&非接触ICアプリケーション)
・「Health & e-service」(健康&電子サービス)
・「e-transaction & e-banking」(e取引&eバンキング)
・「SIM market: new services & opportunities」(SIM市場:新サービス&機会)
・「Internet of things / M2M applications」(モノのインターネット/M2Mアプリケーション)
・「Fraud prevention」(不正使用対策)
・「Trusted Internet」(信頼されたインターネット)
・「Convergence & mobility」(コンバージェンス&モビリティ)
・「Innovative payments solutions」(革新的なペイメントソリューション)

 いかにもカード業界らしい、ペイメント(決済)やNFC、不正使用、プリペイドなどのテーマが並びます。いかがでしょう。これらのタイトルを眺めているだけでも、業界の関心事がわかるような気がしてきませんか?
 中でも"Internet of things"とは少し聞き慣れない言葉ですが、直訳すると「モノのインターネット」。つまり、人間ではなく、デバイスや端末をインターネットに直接接続することで、情報活用しようとする動向を指します。日本でもしばらく前に、「ユビキタス」の言葉で話題になりましたよね。M2M(機器間通信)もそうですが、ようやく世界の注目もこちらの方向に向き始めたようです。
 読者の皆様の中にも、ご関心の高いテーマがあるのではないでしょうか?

次世代"磁気"カード、現る!

 最後に、カンファレンスで目にしたちょっとユニークなカード製品を紹介します。
 アメリカのDynamics(ダイナミクス)社は、プラスチックカード上の磁気ストライプ部分を電気的に書き換えられる「Dynamics' Card」を発表しました。

 磁気ストライプの書き換えというと、どことなく不正使用対策のように感じられますが、このカードでは券面に配置されたボタンを指で押す(何とLEDが点灯!)ことで、2つのクレジットカード情報を切り替えたり、クレジットカードとポイントカードのように、2枚のカード情報を切り替えたりすることができるそうです。
 米・CitiグループではこのDynamics' Cardを「2G(第2世代)のカード」と呼び、現在導入に向けたパイロットに取り組んでいるとのこと。磁気カードから接触ICカードへの移行が思うように進んでいないアメリカなどでの採用はもちろんのこと、視覚的にもちょっと面白いので、興味を持つカード発行企業は今後増えてくるかもしれませんね。

ラスベガス、東京、そして香港へ

 さて、カルテアジアは来年、2012年も3月末のスケジュールで開催されます。しかも、直前の3月5日〜7日にはCartesがアメリカに初進出。ラスベガスにて『CARTES in North America 2012』が開かれます。
 ちなみに日本の『リテールテックJAPAN / IC CARD WORLD』は3月6日〜9日が会期ですね。業界関係者にとって来年の3月は、ラスベガス(CARTES in North America)→東京(IC CARD WORLD)→香港(CARTES in Asia)と、移動に忙しい時期となりそうです。

※電子決済研究所では例年、CARTES各展の開催に合わせて視察団を企画・実施しています。ご興味がおありの方はお気軽にお問い合わせください。

電子決済・ICカード国際情報局
執筆者:電子決済研究所/山本国際コンサルタンツ

多田羅 政和 (写真左、Masakazu Tatara)
株式会社 電子決済研究所 代表取締役社長。
カードビジネス専門誌『カード・ウェーブ』編集長、『モバイルメディア・マガジン』編集長を歴任した後、(株)シーメディア・ITビジネス研究所でマーケット調査やコンサルティングに従事、『電子決済総覧』『ICカード総覧』等の研究レポートの編集・執筆にも携わった。2009年7月に独立し、電子決済(クレジットカード、eコマース、電子マネー・プリペイドカードなど)、ICカード技術、生体認証技術、CRM・マーケティング(ポイントカード、電子クーポンなど)、ITセキュリティ(3Dセキュア、PCI DSSなど)といった、いわゆるICT全般に関連したビジネスを手がける調査・研究機関として、電子決済研究所を設立。2011年6月に同事業を法人化した。近著(編集協力)に『NFC総覧2010-2011』『電子決済総覧2011-2012』(iResearch Japan発行)、『NFC最前線2012』(日経BP社)などがある。


山本 正行 (写真右、Masayuki Yamamoto)
山本国際コンサルタンツ 代表。
主に決済サービス事業の企画、戦略立案を専門とするコンサルタントとして、銀行、クレジットカード関連会社、通信キャリア、鉄道会社などの事業化、サービス企画などを支援。
山本国際コンサルタンツは、電子決済、ICカード、モバイル、認証、CRM・マーケティング、ITセキュリティなどの分野で活躍するコンサルタントから構成される組合組織(2009年7月開業)。電子決済・ICカード・モバイル等ICT関連ビジネスの事業支援をはじめ、マーケティング支援、コンサルティング、教育、調査、外資系企業の日本参入に関するビジネスモデル調査・支援(非会計分野)、日本企業の海外進出、海外向け製品販売の支援などのサービスを提供する。
他に、山本コマースITオフィス事業主、関東学院大学経済学部経営学科講師、株式会社 電子決済研究所 取締役、(一社)電波産業会 高度無線通信研究委員会特別委員(モバイルコマース担当)も務める。講演、執筆多数。近著に『カード決済業務のすべて〜ペイメントサービスの仕組みとルール〜』(一般社団法人 金融財政事情研究会)など。

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