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連載コラム

Ponta登場で共通ポイントはどう変わる?

[ 2010年1月26日 ]

 三菱商事の子会社、ロイヤリティマーケティング(LM社)は、2010年3月から「Ponta(ポンタ)」を介して、共通ポイント事業に参入する。この市場は、国民4人に1人が持つカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「Tポイント」が牽引してきた。LM社はPontaを、『新』共通ポイントプログラムと位置づける。Pontaの参戦は、ポイント市場の構図を大きく変えることは間違いない。

「2強」は共存か、競合か?
先行者とは一線を画すPonta

 Pontaは、LM社の加盟企業の店舗やWebサイトで、共通に利用できるポイントサービスだ。2009年10月に行われた事業発表時のデータでは、サービス開始時から、ローソン約8,600店、昭和シェル約3,500店、ゲオ約950店で利用でき、ローソンのポイント会員約1,000万人、ゲオの約1,000万人をそのまま引き継ぐとされている。3年後の目標は3,000万会員、提携企業は30社だ。

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サービスロゴとサービスキャラクタ。Pontaのブランド名は
「ポイントターミナル」「ポンポンたまる」から命名された

 Pontaには、異業種連携、加盟企業間の相互送客モデル、そして送客を実現する強固なネットワークといった顔があり、先行するTポイントとは共通ファクターも多い。しかし、LM社では「似て非なるもの」と捉えている。Pontaの特性としてLM社では、プログラムの提供企業として、中立的、黒子的スタンスを堅持し、加盟企業の「顔」を前面に出すことを強調している。

 こうした体制を敷くことにより、企業の新規顧客開拓と定着、企業間の相互送客を目的としたプロモーションなども柔軟に行えるようになるからだ。ポイント付与率も加盟企業が設定できるようにして、各社の自由な販促活動をサポートする。

カード発行はLM社側が受け持つ
独自デザイン、POS環境に応じた運用も

 Pontaのカード発行はLM社が受け持ち、サービスロゴやキャラクターが入った共通デザインのカードが加盟各社に配布される。追加費用はかかるが、加盟企業が独自デザインのカードを使うことも可能だ。

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左上から共通デザインカード、ゲオ、昭和シェル石油、ローソンのPontaカード。家族でポイントを合算できるのも特徴

 カード仕様は全体のコストを優先した結果、磁気ストライプ式を採用。15桁のIDが記録されている。ポイントのデータは、磁気ストライプと裏面のバーコードが利用でき、各社のPOSなどのシステム環境によって使い分けることができる。

生活、地域密着がキーワード
勝ち残る共通ポイントの特性は?

 サービス開始の発表後、Pontaのインパクトは短期間で業界を駆け巡り、目標値にも上方修正が加わった。加盟企業は前記の3社に加えて、近々、ホテルやファストフードなどの業種から新たに10社前後が発表される。「1年後の加盟企業30社」は、すでに手が届く範囲かもしれない。

 先行するTポイントの規模は現在66社、3万391店舗、3,395万会員(2009年12月末)で、2年後の目標を6,000万会員とする。共通ポイントのうま味と難しさを知るCCCが、現状の倍近くを目標に据える事実から、未開拓エリアも多いと見なすことは可能だ。最近では加盟企業と連携したPOSクーポンや合同クーポンキャンペーンなど、販促施策も活発に行っている。いずれにせよ、最終的な目標をどの地点に見据えるかは、これからの両陣営の求心力が決めることになるだろう。

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Tポイント運営のCCCが渋谷で実施した「渋トクキャンペーン」。渋谷にあるアライアンス企業店舗と
外部企業の協賛を募り、SHIBUYA TSUTAYAなどで合同クーポンを配布

 Pontaの登場によって新たな波が来るポイント・マーケティングの世界は、スケールメリットと同時に、サービスの質が重視されるとみる業界関係者は多い。キーワードは、生活密着、そして地域密着だ。

 経済不況下の現在、生活空間にあって少額決済で貯まる共通ポイントの人気は根強い。昨年秋、池袋に進出したヤマダ電機はグッドスタッフと提携。池袋の飲食店、美容室、レジャー施設などが参加する共通ポイント「エクポポイント」との連携を行っている。神奈川、島根、大阪などの地域商店街にWAONを導入し、"共存共栄"を掲げるイオンなど、昨今は地域・地方に足を据えた展開が目立つ。

 生活密着型である2強を軸に、ポイント・マーケティングの分野は、そうした要素を取込みながら、活性化、そして新しい展開も見せるはずだ。

ロイヤリティマーケティングの「Ponta」、カルチュア・コンビニエンス・クラブの「Tポイント」については、3月9日から12日まで開催する展示会「リテールテックJAPAN 2010」「IC CARD WORLD 2010」内の「カード決済パビリオン」で無料配布する特製の冊子「日本のカード決済完全ガイド」でも紹介します。

ポイント&電子決済 最前線
執筆者:池谷 貴

株式会社TIプランニング代表取締役。
コピーライター、編集などの仕事を経て、カード業界誌の版元に入社。ディレクターとして雑誌編集、プランニング、セミナー、展示会などの運営に携わった。雑誌に関しては、電子決済、PCI DSS/カードセキュリティ、ICカード、ICタグなどのガイドブック制作を統括する。2009年11月にマーケティング、カード・電子決済、IT・通信サービスなどのコンサルティング、調査レポート・書籍の発行、セミナー運営、ポータルサイト運営などのサービスを手掛ける株式会社TIプランニングを設立した。

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