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連載コラム

第97回 岡山で見つけた「かくれ家的空間」 まったり、ゆっくりくつろげる店・Ryoutei

[ 2011年12月27日 ]

所用で岡山に行ってきた。
スケジュールの関係で、7時から11時まで岡山駅界隈で時間をつぶすことになった。食事とお酒につきあってくれるという人は確保できたが、いかんせんちょっと時間が長い。へたな店で長居すれば迷惑がられそうだし、過ごす時間の分、追加オーダーしてもきっと食べきれないし......。そう思いながら、ネットで検索して見つけたのが、「Ryoutei ~りょうてい」だ。
岡山駅西口徒歩5分の個室居酒屋。ホームページを見る限りいい雰囲気だし、なんと言ってもこの個室、1日1組限定なのだという。夜の部は、5時から11時半までだが、6時間半ずっといてもいい。「次のお客さまがお待ちなので」とせきたてられることはない。料理もすべてコース制になっているので、一番リーズナブルなコースは2500円から。できれば長居したいなあ、と思っている今回の私には、うってつけのお店だ。さっそく予約しておいた。
当日になって、前の用事が思ったよりも早く終わり、6時には自由の身になったのだが、店の予約は7時から。ダメもとで電話してみると、「どうぞいらしてください」とのこと。1部屋1組だからこういう融通もきくらしい。まだ店につく前なのに、ぐっと好感度アップである。


エントランスから漂う高級感。中庭をのぞむ個室はプライベート感満点

店の前にたどりついた私は、その外観にまず驚いた。外からは中の様子がまったく見えない。外壁はすべて木の扉で雨戸のように覆われていて、「Ryoutei」という文字だけがライトアップされている。2500円からコース料理がある店にしてはなかなかの高級感。そして、ちょっとばかり秘密のにおいがする店構えだ。木の扉の中に入ると、壁一面に浮世絵。石畳のまわりに白い小石が敷き詰められている。木造りの小さな橋を渡って店内へ向かうと、この数秒間でもはや異空間に入り込んだような気分になれる。繰り返すが、私が予約しているのは、2500円のコース料理。しかもそれで5時間は粘ろうとしている客なのだ。それでも、店に入っただけでこんな高級感を味わせてもらえてるのだから、テンションあがりまくりだ。

「予約してある」と告げると、細長い廊下を通って部屋に案内されたが、この廊下の脇には、竹も植えられていて、天井が高く、異空間へのアプローチらしい雰囲気だ。「こちらへ」と案内された部屋は、4人用の座卓のあるこじんまりした部屋だったが、なんと中庭に面した壁が全面ガラス張り。石灯籠やししおどしを配し、水の流れる風情ある日本庭園を見ながら食事ができるという趣向だ。なんだかとても落ち着くし、くつろげる。こんな部屋でなら食事もお酒もおいしくいただけるし、なにより会話が弾むに違いない。また、小さい子どもを連れてきても、他のお客さんのことを気にしないですむ。家族での誕生会やお祝い事などにも最適ではないか。

予定より1時間早くの来店にも関わらず、テーブルセッティングはしっかり完了していた。そして、テーブルの真ん中には鍋が用意されていたが、これはコースに入っている「温泉豆腐」。まろやかでこくのある特製豆腐を使った湯豆腐だが、かなりの美味。お刺身や茶碗蒸し、てんぷら、にぎりずしなどがお皿にかわいらしく配置されて次々に出てくる。正直言って、この部屋の雰囲気だけで十分満足感があるので、料理が少々まずくても許せる感じだったのだが、料理だってしっかり美味しかったのだから、文句なしである。

個性あふれる個室がいっぱい! 「座・スタジアム」での宴会は盛り上がること間違いなし!

たっぷり食べて、飲んで、おしゃべりも楽しんでいるとあっという間に10時になった。8時ころはかなりお店も混んでいて、あちこちの部屋からにぎやかな声が聞こえていたが、この時間になるとかなりの部屋が空いてきていた。トイレに行くついでに、空いている部屋をちょっとのぞいて回ったのだが(怪しい?)、大小さまざまな個室はどこもなかなか素敵だった。テーブルが囲炉裏になっている部屋があったり、入口がやけに狭くなっている秘密のお部屋みたいな部屋もあれば、部屋の周りが手すりで囲まれたテラス席のようなイメージの部屋もある。2人での食事から、大人数での宴会まで、適した部屋が必ず見つかりそうだ。
そして、なんと言ってもこの店の大きな特徴といえるのが、2階~3階をぶちぬいて設えられた「座・スタジアム」という部屋。着席で70名、立食なら100名まで対応できるというこの空間は、単なる大部屋ではない。片側の壁が巨大なスクリーンになっていて、ここでは持ち込みのメディアを使っての上映ができるのだ。客席はひな壇状の座敷になっていて、座卓を挟んで向かい合いながら、スクリーンの映像を楽しめる。この部屋に関しては、食事はビュッフェスタイルだ。ひな壇の一番上に食事やドリンクが並んでいる。結婚式の二次会などで使われることが多いそうだ。こんな会場で、2人のなれそめや会場に来れなかった人からの祝福メッセージなどの映像を流しながらのパーティーがあったらさぞかし盛り上がるだろうと思う。また、何かの試合の祝勝会などにも使えるのではないか。試合を映像で振り返りながら仲間と飲むお酒はどんなにおいしいだろう。

あちこちの部屋をのぞいて、この店の魅力を満喫しつつ、しっかり11時まで席を確保してゆっくりさせてもらった。地価の高い東京では、こういうゆったりとした商売の仕方は難しいのかもしれないが、がつがつお客さんを獲得するのではなく、来てくれたお客様に心から満足してもらう、そんなやり方もあるのだ、と思った。岡山に行く機会はなかなかないが、なにかのときにはぜひまた使いたい、と思う店だった。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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