日経メッセ > リテールテックJAPAN > 連載コラム > 今どき主婦のShopウォッチ > 第107回 女子なら絶対盛り上がる! 子どもと行っても盛り上がる! 都内で見つけた、気配り満点「おとぎの国のカフェ」ハティフナット

連載コラム

第107回 女子なら絶対盛り上がる! 子どもと行っても盛り上がる! 都内で見つけた、気配り満点「おとぎの国のカフェ」ハティフナット

[ 2012年11月5日 ]

 ある日、スタッフの1人が、「高円寺でものすごくかわいいカフェ見つけたんですよ~」と得意げに話をするので、彼女の撮ってきた写メを見せてもらった。すると、たしかにかわいい! 30年前の私だったら、目がハートになったであろうこと間違いなしにかわいい!

 とはいえ、高円寺だとなかなか行く機会もないかなあ、と思っていた。するとなんと、吉祥寺にもあるというではないか! 吉祥寺ならちょっと足をのばせば行ける行ける! ということで、三鷹での仕事の帰りに、同行していたスタッフと一緒に寄ってみることにした。

阿部寛には無理? な小さな扉が、おとぎの国の入口だった

 吉祥寺の駅から、線路沿いに10分くらい歩いたところに、その店「ハティフナット」はあった。
 遠目から見ると、たしかにかわいらしい外観ではあるが、特別変わった店には見えなかった。でも、店の前に立ったとき、「あれっ?」と驚くことになる。「私、急に背が伸びた?」と思うくらい、店の扉が小さいのだ。とくに長身というわけではない私でさえこうなのだから、これが阿部寛だったら体を2つに折り曲げないと入れないよ、と心配になってしまった。

 店内に入ってみると、思わず「せまっ!」と声がもれてしまうくらい、狭い。そして、中もやはり天井が低い。それなのに、2階もある! 階段ももちろん狭くて急だ。2人で縦に並んでやっとこさ2階に上がったが、いわゆる中2階みたいな雰囲気のそのスペースは、やっぱり狭い。そして、天井も低い。

狭い空間をより狭く見せる「確信犯的狭さ」が、独特の居心地の良さを演出

 もともとの面積も広くはないのだろうが、それにしてもこの造りは、あえて狭くしようとしているように思える。なんせ2階にはロフト風の部屋まであるのだ。こんなに天井が低いのに? なぜにますます狭くするんだ? 某テレビ番組でリフォームを手掛ける匠だったら、絶対にこんな風にはせずに、「狭い空間をより広く見せる技」の限りを尽くすだろうに。
 壁も天井もブルーに塗られ、そこには子どものお絵かき風のかわいらしいイラストがたくさん描かれている。たしかにこれはメルヘンな雰囲気作りには効果的だろうが、白や木目やコンクリ打ちっぱなしのほうが開放感はあるに違いない。なのに、あえてのブルー!もはや確信犯的狭さだ!
 しかし、これだけ部屋全体が青空のようなブルーで囲まれていると、なんだか空に浮かんでいるような気分にさえなってくる。そして、この狭い空間は、空に浮かぶ雲の上なのかも? なんて乙女ちっくなことを考えてしまう。

 よくよく天井を見てみると、配管など生活感のあるものもしっかりブルーで塗装してあったり、目隠しがされている。その徹底ぶりは、テーマパーク並みだ。この「おとぎの国」の主やスタッフたちの、この店を異空間に仕立てることに対する本気度が垣間見える気がした。

 私が訪れた日も、かなり店内は賑わっていたが、同じ2階の席には2つのグループが居合わせた。1つは、おそらく近くの大学の女子学生のグループ。この店を前から知っていた人が、知らない人たちを誘って連れてきた、という雰囲気だった。初めて来た女の子たちは、いちいち「かわい~」「すてき~」と感激し、連れてきたほうはなんだか鼻高々だ。
 ロフト風の席には、若いママたちが子ども連れで集まっていた。誰かの誕生日会のようで、私たちがいる間に店内に「ハッピーバースディ」の音楽が流れ、誕生日ケーキが運ばれていた。たしかに、小さい子どもがいたら、こんなかわいらしい店での誕生パーティーは大喜びだろう。
 うちの子は......ちょっと大きくなりすぎたかな。しかも男の子だから、女の子ほどはテンション上がらないかもしれない。それでも、この狭さゆえの「秘密」っぽい空間は、子どもは絶対好きだと思う。
 いや、子どもだけでなく、いい年をした大人でも、この狭さと古さ加減に、ほどよくホッとできるし、なんだかわくわくもする。

ハードだけでなく、ソフト面にも貫かれるコンセプトが、ホンモノの「おとぎの国」を作りだす

 おまけに、この店、かなりの繁盛店のようで忙しそうなのだが、気配りがすばらしい。誕生日のサービスもさることながら、接客だってぬかりない。じつはこの日、私がオーダーしたタコライスが出てくるのに、少し時間がかかったのだ。それは、決してイライラするほどの時間ではなかったし、連れがいておしゃべりをしていたので、「待たされた」なんてまるで感じていなかったのだが、おそらく店としての基準よりは長く待たされていたようで、「もう少しでできます。お待たせして申し訳ありません」と丁重に謝られたのだ。わざわざ狭くて急な階段を上がって...。おまけに帰り際の精算時にも「今日はお待たせしてしまって、すみませんでした」と声をかけられ、こっちのほうが恐縮してしまった。かわいらしいお店でのおいしい食事で、十分満足していたのだから。

 この店では、おそらく外観、内装、メニュー(どれもおいしいし、かわいらしい! とくにスイーツ類は絶品!)、そしてスタッフの「やさしくたおやかな雰囲気」までトータルして「おとぎの国」を作り上げているんだろうと感じた。それも、あのテーマパークばりに徹底して。女の子(元女の子含む)なら、そして子ども連れなら、きっと間違いなく感激させてくれる店だが、それだけではない。1つのコンセプトで貫かれた店作りという意味での、お手本とも言える店だった。

ハティフナットDATA

http://tabelog.com/tokyo/A1320/A132001/13090486/

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

バックナンバー

PAGE TOP