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連載コラム

第110回 ワンフロア感を生かしたイベント企画が次々に浮かんでくる 国立のおしゃれカフェ「D Lounge」

[ 2013年2月4日 ]

たまには歩いて「国立カフェ発掘の旅」に出る

 子どもの学校の関係で、私は国立に行く機会が多い。そのため、国立周辺のカフェやレストランもいくつか開拓してあるのだが、年数を重ねるにつれて行く店も決まってきてしまい、なんだかつまらないな、と思いはじめていた。
 先日、東京に大雪が降った数日後、いつもなら車で行くところを、電車で国立に向かった。そして、めったに歩くことはないし、この機会に少し国立探検をしてみようと、ふだん行かない方向へ向かって歩いてみた。できれば、ランチやお茶などに使えそうなすてきなカフェでも発掘したいな、と思いつつ。
 国立駅南口から10分くらい歩き、商店も少なくなり、住宅街という雰囲気になってきたあたり。駅から放射状に延びる道から1本入った細い通りに、ちょっと外観に惹かれる店があった。店の名前は、「D Lounge」。その外観は、昔好きだったテレビドラマ「大草原の小さな家」で、お父さんとお母さんが町に行ったときに、ちょっとおめかしして夕食を食べに行ったレストラン(ダイナー?)みたいな雰囲気だ。テラス席もあり、開放的な感じ。この日は東京で大雪が降った直後だったので、テラス席はさすがに遠慮しておいたが、気候のよい時期ならとても気持ちがよさそうだ。ペット連れも歓迎のお店だが、テラス席ならなおさら気がねなく過ごせるだろう。私は外観からもう、かなり気に入ってしまった。

ワンフロアながら、巧みな仕切り使いで独立感のある使いかた

 店内に入ると、目の前に店名をディスプレイした幅の狭い壁があり、店全体のエントランスになっていて、その柱に向かって右側がカフェスペース、左側はセレクトショップになっている。
お腹がすいていた私は、まずはカフェスペースに向かった。ランチには少し早いかなという時間だったので、なんと一番のり。店の外から見たイメージのとおり、店内も開放的な雰囲気でとてもいい感じだ。

 店内は大きく3つのスペースに分けることができる。ウッディなテーブルセットが点在するメインダイニング、奥のソファスペース、さらに店の奥にはカウンター、その前には、「Bar」的な雰囲気のスペースがある。店はワンフロアになっていて壁はないのだが、ちょっとした柱や視界を遮らない壁が、適度な仕切りになっている。
 一見しただけだと、席の独立感はあまりないように見えたのだが、店の真ん中あたりの席に座って周囲を眺めていると、この3つのスペースがちゃんと独立した感じに見えてきた。なぜなんだろう、と注意してみると、照明器具が違うことに気がついた!
 ソファスペースと、メインダイニングは天井からつり下がった温かみのある照明器具だが、ランプシェードの形が違っているので、印象はかなり変わってくる。Barスペースは、無機的な感じのライトだけの照明で、この店の売りでもある50種類の外国産ビールが並ぶ冷蔵ケースがあり、その存在感が「お酒を楽しめる場」という雰囲気を醸し出している。

 私が座っていた真ん中の席からは、どのスペースも見えるのだが、試しにソファスペースに座ってみると、不思議なくらい他の席のことが気にならなかった。また、メインダイニングの中のもっともテラス寄りの席に座れば、Barスペースはほとんど目に入らないし、Barスペースの一番大きなテーブル席につけば、そこだけ別世界のような気分になる。

 また、ワンフロアでありながら、最小限の仕切り(柱や壁)や照明をうまく使っていることに加え、さらに、テーブルの配置に絶妙の工夫がある。大きなテーブルと小さなテーブルが壁に対して斜めに置かれたり、並行に置かれたりしているのだが、その向きが、ほどよく席と席の独立感を演出している。これらの細かい工夫で、決して広くはない店でありながら、用途の違うスペースを3つ共存させていることに私はとても感心した。

 夜、子連れで食事をしに行くときやママ友とのランチなら、メインダイニングがいいだろうが、仲間と(もちろん夫婦でも)お酒を楽しみに来たときは、Barスペースやソファスペースに落ち着きたい。同じ店内ながら、その用途に応じた居場所があるのだ。
 メニューも幅広く、子連れランチ、子連れディナー、ママ友とのランチ、ティータイム、飲み会、宴会、デート......、どんなニーズにも応えられそうだ。なにしろキッズプレートもあれば、パンケーキにも半端なくこだわっているし、おつまみメニューの豊富さは目移りすること間違いなし! 店のつくりといい、メニュー構成といい、この店の「いろいろな層のお客さまを歓迎している」という姿勢がよく表れている。

 実際、私が2度目に訪れた日曜日には(気に入ってしまったので1週間に2回も行ってしまった)、地元の若い夫婦と幼児の賑やかなグループ、女性の2人組が2組、熟年のおそらくサークル仲間とおぼしき男女混合のグループ、そして、お散歩途中の老夫婦、明らかに恋人同士と思われる男女2人、おひとり様の女性、が同時に店にいた。しかし、どのグループも、お互いに邪魔になるふうでもなく、それぞれに賑やかだったり、しっぽりと語り合ったりして日曜日の午後を過ごしていた。かなりおしゃれな店でありながら、このふところの深さが、国立だな、とも思う。

ワンフロアの利点を生かせば、さまざまなイベントも可能に

 一方で、仕切りを最小限にしてあるので、全体を貸し切って使えば、かなり一体感がありそうだ。じつはそれがこの店の最大の魅力ではないだろうか。なんと言っても、店の壁面に大きなモニターがあり、ここで持ち込みのDVDなどを上映することもできるし、もちろん、スポーツ観戦もできるそうだ。そう! サッカーワールドカップやオリンピックなど、スポーツのビッグイベントのときに貸し切れば、「スポーツバー」として使うこともできるのだ。
これは、間違いなく盛り上がる!

 いや、待てよ。
なにもスポーツ観戦だけじゃない。
これからの時期、卒園式、卒業式、クラスのおわかれ会など増えてくるが、この店はそういうイベントの会場としてかなり使えるんじゃない?
幼稚園や保育園の卒園式のあと、こんなとこで「思い出アルバム」みたいなDVD流して、お別れ会をしたら、そりゃもうママたちも先生たちも感極まることだろう。
 もちろん、結婚式の二次会とかもいいし! 同窓会やクラス会なんかやるのもいい! うちの会社でも、よくイベントをやっているが、なにか食品関係の会社がらみのイベントだったら、こういう店を会場にしてもいいかも。このモニターでプロモーションの画像や映像を映しながら、楽しくランチして......とか。
聞けば、20名以上で貸し切りが可能だとか。立食だと60名は入るそうなので、キャパとしてもちょうどいい! 少人数でのアットホームなイベントには最適な規模、と言えるだろう。

 もちろん、1人で来てもお友達と2人でもくつろげる店だし、食べ物もかなりおいしい! とくにパンケーキは、フルーツも盛りだくさんで、食べ応え十分だから、ちょっとした「デザート」と思うと痛い目に遭う。「食事」のつもりで、お腹すかせておいて食べても大満足に違いない。
 しかし、なんと言っても、貸し切りで使うことを考えると、いろいろな使い方のアイデアが浮かんでくる店だ。それは、ワンフロア感を生かした造りゆえだろう。

 うーん。このお店を貸し切って何かイベントできないかなぁ~。パンケーキでぱんぱんに膨らんだお腹をさすりながら、私の頭はフル回転! していた。
オーナーの鈴木さんに、話しかけてみると、「まだ、昨年11月にオープンしたばかりいう店ですが、いろいろな方にいろいろな使い方をしてもらえたらと思っています。店主催のイベントもいろいろ企画しているんですよ。」と温かみのある笑顔で答えてくれた。夫婦で経営されているそうだが、小さなお子さんもいらっしゃるご夫婦だけに、子連れ客も大歓迎とのこと。親子イベントもいいかもしれない。

おしゃれなセレクトショップも女子ココロをつかむ!

 すっかり頭の中でひとり企画会議をしながら、会計を済ませ、帰ろうとすると、出口に向かって右手のセレクトショップが目に入ってきた。せっかくだからとちょっとのぞいてみると、これがなかなかセンスのいいもの、おもしろいものを置いているのだ。雑貨やバッグ、アクセサリー、ウェアも。ほとんどが輸入モノで、主に奥様がセレクトされているそうだが、とってもおしゃれで楽しいショップだった。
 これは、ますますママたちに魅力的! イベント企画も練りつつ、まずは、小学校のママ友を誘ってランチだな。

 商店街の奥にこんな店があるなんて、やっぱり、国立っておしゃれな街なんだなあ、と改めてその底力を思い知らされた気がした。そして、お店発掘のためには、まず歩くことが大事だな、と車頼みの生活を反省したのだった。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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