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連載コラム

第119回 大増殖したコンビニカフェ そののぼりに見る各コンビニのカフェ戦略

[ 2013年10月31日 ]

 最近、自分史上もっともコーヒーを飲んでいる気がする。カフェやレストランに入って飲み物を選ぶときは、どちらかといえば紅茶にすることが多いし、缶コーヒーはちょっと苦手なので、以前はコーヒーを飲む機会はあまりなかった。
 が、このところ。
 
 そう。
 
 「あそこ」でコーヒーを飲んでしまうのだ。
 
 それは、コンビニ!
 車での移動の多い私には、遭遇機会がめちゃ多いコンビニ! そこで、おいしいコーヒーが飲める。それも、席についてオーダーして、という手間がなく飲める。テイクアウトして、車で移動しながら飲める。まるで私のためにあるような......そんなコンビニカフェ!! あまりにもお世話になっているので、今回はそのコンビニカフェの「のぼり」に注目してみた。

「淹れたてコーヒー」の先駆的存在・サンクスの誇り

 「コンビニで売っているいれたてコーヒー」で、私の記憶にいちばん古いのは、サンクスだ。サンクスでは、かなり早い時期から、1杯ずつ淹れたてのコーヒーを飲むことができたと記憶している。
 そんなサンクスののぼりは、黒とオレンジ半々の下地に「淹れたてコーヒー」のキャッチとコーヒーカップというシンプルなものだが、この「淹」という文字が、コーヒーのホンモノ感を主張している気がする。のぼり上部には 「FAST RELAX CAFE」の文字!  コーヒーの写真ものっているが、ストレートコーヒーだ。
 サンクスのコーヒーは、豆の種類が選べて、レジで会計すると1杯分のコーヒー豆の入ったカートリッジをくれる。それを専用サーバーにセットすれば、コーヒーが抽出されるという方式。
 最近勢力を増してきたセブンイレブンあたりと比べると、ひと手間多い感はあるが、1杯分ずつの豆が密閉してあるので、鮮度もよさそうだ。そのサンクスの誇りが、こののぼりの「淹」という文字に象徴されている気がする。

「ホットコーヒー」の文字に込められたプライド・ミニストップ 

 濃いグリーン一色の下地にコーヒー豆とカップコーヒー。「¥100」の文字が大きく、リーズナブルな価格勝負!という意気込みを感じさせるのがミニストップ。
 今どき「ホットコーヒー」という表現もなつかしく、かえって「うちでは昔から普通にコーヒーやっていますから」というプライドすら感じられる。のぼり下部には、コーヒー豆を背景に濃いグリーンのカップに注がれたストレート コーヒーの写真も入っている。
 そう。じつはミニストップコーヒー販売の歴史は古いのだ。
 もともとイートインコーナーのある店舗が多いので、店内飲食を視野に入れて以前からコーヒーがメニューにあった。 しかし、このコーヒーは、流行の「1杯ずつ淹れる」タイプではなく、保温式ポットからコーヒーを注ぐタイプのもの。その分、本格的! という演出には欠ける。が、Sサイズなら100円というリーズナブルさ!
 イートインできるフード類も充実しているので、「ランチしている時間がない! でも、車の中で食べるのもな~」というときに発見すると嬉しいのが、このミニストップだ。

カフェラテで勝負をかけるファミマのぼりは、かわいらしさ満載!

 サンクスの「淹れたて」に対抗する「挽きたてコーヒー」を掲げるのは、ファミリーマートののぼり。ライトグリーンの下地の真ん中にレイアウトされたコーヒーの写真は、アイスとホットの2種類。それもミルクたっぷりのラテだ。この写真だけでも、「コーヒーのバリエーションが多そう」と思わせることに成功している。
 のぼりの下部には、ファミマのキャッチ「あじわいFamima Cafe」という手書き風の文字とイラストも入っており、全体的にかわいらしいイメージののぼりとなっている。
 コーヒー販売では先行組のサンクス、ミニストップが、ストレートコーヒーをのぼりにも掲げているのに対して、 ファミマはのぼりの写真から「ラテ勝負」。実際、ファミマではカフェラテもメニューにあり、うちの近所の店にいたっては(全店ではないかもしれない)、さまざまなフレーバーシロップも置いてある。これがなんと無料! とても魅力的だ。私も、普通のコーヒーじゃなくて、ちょっと甘いのがいいな、という気分のときは、ついファミマカフェに寄りたく なってしまう。なんたってカフェラテでも150円という、財布に嬉しい価格だから!
 

コンビニカフェ界の黒船・セブンイレブンのシンプルさ

 現在のコンビニカフェブームを決定づけたとも言えるのが、セブンイレブンの「SEVEN CAFE」だが、このセブンイレブンののぼりは、驚くほどシンプルだ。
 白地にストレートコーヒーの写真、そして「SEVEN CAFE」のロゴ。キャッチは「1杯ごとに挽きたてをドリップ。」 シンプルながらも、こののぼりの訴求力は強い。とくにセブンイレブンがコーヒー販売を開始した当時は、広い駐車場のある店舗などで、こののぼりを何本も立てていたので、嫌でも目に入ってきた。シンプルなだけに、束になったときは、より目立つ! 「セブンイレブンで挽きたてコーヒーが飲めるんだ」と、周知徹底するには、 このシンプルなのぼりの効果は絶大だった。
 そして、気をつけて見てみると、このコーヒーの写真は、他社とちょっと違っている。前述の3社のコーヒーがすでにカップに注がれているものを使っているのに対して、セブンイレブンのコーヒーの写真は、「カップに注がれているところ」の写真なのだ。この視覚的な効果は案外大きい。「今、その場で、豆を挽き、ドリップする」という最大の売りを明確に打ち出しているのぼりと言えるだろう。

コーヒーチェーンに迫るローソンの本気度

 今回、改めてコンビニカフェに注目してみて気づいたのだが、スタバやタリーズなどのカフェにもっとも近いのがローソンの「MACHI Cafe」ではないだろうか。
 まず、のぼりをチェックしてみよう。私が見に行ったローソンには、2種類ののぼりが立っていた。
 1つは、コーヒーバージョンで、上部は白地に「MACHI Cafe」のロゴ、その下は、コーヒーを思わせる茶色を下地に「挽きたて淹れたてコーヒー。」のキャッチが入り、表面に泡が立ったコーヒーが、カップに注がれている写真が入っている。「挽きたて」「淹れたて」両方の文言を入れたところに、ローソンの自信のほどがうかがえる。
 
 もう1つはカフェラテバージョン。茶色の下地に、「豆・焙煎・産地限定牛乳。こだわりの味わい。カフェラテ」という長ーいキャッチが! しかし、この文面からただならぬこだわりはたしかに伝わってくる。のぼり下部の写真 もカフェラテでまさに牛乳が注がれているところだ。のぼりだけを見ても、ローソンは、コーヒーもカフェラテも、どち らも本気で力入れてます! ということがわかる。

 いや、それだけではない。今どきのコンビニはどこもスイーツが充実しているが、ローソンはまたいちだんとスイーツに力を入れている。コーヒーののぼりに使われている「MACHI Cafe」のロゴも、ファミマと同様、店内販売されているスイーツに共通して使われており、ローソンのコーヒーとスイーツがあれば、自宅で手軽にスタバ気分が味わえるってものだ。ローソンの本気度はのぼりだけでなく、店内にも現れていて、レジ横のカフェコーナーも非常に充実している。コーナーの造りも、茶色をベースにロゴも入っており、おしゃれだし、スタバばりのタンブラー販売もある。ただし、値段も本気だけのことはあり、ブレンドMで180円、カフェラテMは210円と、コンビニコーヒーとしては最高値だ。
 それでも、スタバなどに比べれば、ずっとリーズナブルなことは間違いなく、おそらくローソンは、カフェ部門でのライバルをセブンイレブンなどコンビニ各社ではなく、コーヒーチェーンのほうに設定しているのではないか。

 百花繚乱の体をなしてきた、コンビニカフェ。これだけ多種多様になってきた以上は、利用する私たちも、用途に応じて使い分ける時代になってきたと言えるだろう。手軽にすばやく、とにかく安く、ちょっといい気分で、友達の家に差し入れで、などなど。
 
 うーん、いい時代になったなあ。
 こればっかりは、本当にそう思う。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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