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連載コラム

第123回 POPでカラフル! 「ひっくり返ったおもちゃ箱」のように楽しい CAFÉ & DINER  BURNNY'S

[ 2014年2月25日 ]

個性あふれる雑貨がいっぱい! そのごちゃごちゃ感がなつかしい。

 JR国分寺駅から徒歩3分ほど。駅にも近い好立地に、「ぜひ立ち寄ってほしいカフェがある」と取引先の方から教えてもらった。なんでも、そのカフェ、とても元気とやる気が出るカフェなんだそうだ。
 国分寺駅南口から放射線状に延びているメイン道路。そこから1本入ったところに、「BURNNY'S」はあった。が、あまり目立つ店ではないな、というのが第一印象。このカフェはビルの2階にあるのだが、道路から見たときに、「2階にカフェがある」ということがわかりにくいのだ。階段をのぼっていくと、ダークな木製の雰囲気ある扉がある。外から見た感じだと、中もシックな感じかな? と予想したのだが、扉を開けてみると、その予想は見事に裏切られた。

 店内に入ると、左手と正面はガラス張りで、とても開放感があり、明るい雰囲気だ。外に向かってカウンターが設えられているが、カウンターはウッディなブラウンなのに、チェアの色が不ぞろい。いや、カウンダーだけではない。店内をぐるっと見まわしてみると、色だけでなく、素材もデザインもまちまちな、個性豊かなチェアやソファが使われている。そもそも、チェアだけでなく、店内に何か所かある飾り棚や、その棚に収納され、飾られている小物たちも、じつにバラエティーに富んでいる。そして、とてもキュートだ。

 よく見てみると、どれも少しずつレトロ感がある。少し古くさいけど温かみのあるデザインの食器や、雑貨、缶詰、びん、それから電化製品。それらが、店内のあちこちに置かれている。

 この店の心地よいごちゃごちゃ感は、なんだか子どものころに友だちの家に遊びに行ったときのような気分にさせられるからだ。自分の家にはないおもちゃが見つかると、おおっ! とワクワクした。あの感じだ。

 

「使えるビンテージ品・ファイヤーキング」を惜しげもなく使う贅沢

 店の一番奥にある厨房に向き合ったカウンター席に座り、ランチを頼んでみた。おいしいカレーを食べながら、厨房をながめていると、そこにもカラフルなマグカップが飾りのように懸けて置かれていた。収納方法としても省スペースで賢いやり方だし、色違いのマグカップをこんな風に懸けて収納すると、見た目もとてもきれいで、楽しい。
 私の頼んだランチにも、このマグカップに入ったコーヒーがついてきたが、一見ちょっとチープな感じのこのカップ。手にもった感じがしっくりとなじんで、とてもいい。

 

 「このカップ、なんかいいですね。」
と、カウンターの中にいる店長らしき若い男性に、思わず声をかけてしまった。
 すると、彼は、ちょっと得意そうに「いいでしょう。ファイヤーキングのカップなんです。こんなにたくさんファイヤーキングをそろえているカフェは珍しいんですよ。」と言った。食器には、とりたててこだわりもなく、恥ずかしながら知識も乏しい私は、「ファイヤーキング」と言われても、すぐにはぴんとこなかった。
 が、店長さんからの説明と、店内入口近くのレターラックに差してあったポストカードを見て、それがアメリカ生まれの食器であることを知った。
 ファイヤーキングは、1941年にアメリカで生まれた耐熱ガラスブランドなのだ。一時期は、アメリカ中のレストランや家庭で使われた人気ブランドだったが、1986年に生産終了。現在も、ビンテージ品として人気を博していて、シンプルな食器でありながら、やや値が張るのだそうだ。しかし、そのレアな人気食器を、こんなに惜しげもなく普段づかいにするとは、なかなか太っ腹じゃない? と店長(らしき人)に言ってみた。

学生時代の仲間でのカフェ共同経営という、オーナーコンビの活力

 「相棒が、学生のころから70年代のアメリカの食器や雑貨が好きで、店をはじめる前からけっこう集めていたんですよ。ここにあるものは、ほとんど彼が集めたものなんです。」
 店長(らしき人)がそう言うと、厨房の奥で調理をしていた男性が、「どうも」という風に会釈してきた。彼がその「相棒」らしい。

 聞けば、2人は国分寺の近くにある大学の先輩後輩の間柄なのだという。後輩の菊地さんが、「大学を卒業したら、国分寺でなにかやろう」とだけ決めていて、先輩である福田さんを誘ったのだそうだ。当初はなにをやるかも決めていなかった。2人であれこれ考えるうちに、「カフェにしよう」ということになり、現在に至るのだという。現在の店になってからは、2年足らずだが、その前は、少し離れた場所でカフェを6年間やってきた。
 共同経営を始めてもう7年になろうという2人だが、とても仲がよさそうに見えた。男性同士だけに、言葉多くはないのだが、通じ合っている雰囲気がある。とてもいいコンビなのだろう、と感じた。
 そう言うと、菊地さんはちょっと照れながら、「まあ、仲はいいですよ。」と言った。

 そんな2人の雰囲気そのままに、この店は、「好きな気持ち」が伝わってくる。自分たち好みの食器や雑貨が好きで、自分たちが好きだと思える空間を作り、そこを気に入って来てくれるお客様のことが好き。そして、自分たちの生き方が好き。そんな空気が満ちている。

 

 効果的に原色が使われている店のインテリアは、たしかにそこにいるだけで元気が出てくる気がする。ただ、この店の「元気」や「やる気」の素は、フードやドリンクやインテリアではなく、オーナーコンビの若さや人柄なのだろうと思う。

 自分たちで決めて、困難があっても立ち向かい、ここまでカフェを続けてきた。そんな彼らの活力が、そのままこの店の雰囲気を作り出しているのだ。「好きなことを仕事にしている」ということが感じられるから、ここにいるだけで自分まで元気がもらえる。この店を紹介してくれた知人も、だから、ここを気に入っているんだろうな、と思った。

 国分寺近くには、来る機会も多いので、少し疲れているときには、またこの店を訪ねてみようと思う。ファイヤーキングのカップで、コーヒーを飲んで、おいしいランチを食べて、キュートな小物たちで目の保養をすれば、きっと「まだまだ頑張ろう!」という元気が出てくるに違いないから。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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