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連載コラム

第126回 「文房具だけがウリじゃない!」表参道の隠れおしゃれカフェ「文房具カフェ」

[ 2014年5月23日 ]

 仕事で表参道に行く機会があり、少し時間が空いたので、話題になっていた「フライングタイガー」に寄ってきた。デンマーク発のおしゃれ雑貨店。平日の昼間だというのになかなかの繁盛ぶり。
そういえば、表参道から路地を少し入ったこのあたりって、あまり来る機会がなかったなあ、とついでにちょっとぶらぶらしてみることにした。表参道の喧騒に比べると行きかう人もぐっと減り、落ち着いた雰囲気だが、おしゃれな店が軒を連ねている。うーん、さすが表参道! と感心しながら探索していると、ひとつの看板が目についた。

「文房具カフェ」

 黒をバックに、味わいのある文字でそう書かれていて、店名の頭には鉛筆のイラスト。地下に降りていく階段をのぞいてみると、左手の壁面が浅い棚になっていて、かわいらしい空き瓶やフォトフレームなどがディスプレイされている。階下には、文房具の棚が並んでいるのが見える。床面はあたたかみのあるウッドフロア。階段の上からのぞいただけでも、「きっとこだわりのある文房具がたくさん置いてあるんだろうな」と想像がついた。

地下に広がる文房具バラダイス! 女子なら間違いなく夢中になる

 興味がわいたので階段をおりていくと、目の前に広がる文房具の棚、棚、棚。そのどれにも女子なら「うわあ!」と声をあげそうなかわいらしい文房具が並んでいる。とくに目を引いたのがデコレーションテープの充実ぶりだ。いや、かわいいもの好きの女子だけではない。シンプル志向の女性だって、男性だって、ほしくなりそうなハイセンスな文具もたくさん並んでいる。
 文房具好きな人ならもちろん、そうでなくても、この棚を隅から隅まで見ているだけでも楽しい! さらには、店内で自由に使ってよい文房具を並べたワゴンもある。なるほど、これが「文房具カフェ」か、と思っていたら、この文房具パラダイスの奥には、U字型の変わった大テーブルがあり、そこはカフェスペースだった。文房具の棚にも近いこのテーブルは、文房具探索の途中で休む感覚で座るのにちょうどよい感じだ。まさに文房具とカフェが融合した「文房具カフェ」なんだな、と思っていたが、なんとこの店の懐はもっと深かったのだ!

 

 階段を下りてきて、すぐに右手に進むと、カウンターキッチンの前を通った先に、ちょっと驚くほど広々としたカフェスペースが広がっているのだ。テーブル席が10席。テーブル間も十分にとってあり、かなりゆったりとしている。カウンター席もあり、なんとそこには電源もある。パソコン持ち込んでの仕事する人も歓迎! というのがとてもいい。

 このカフェスペースも壁面は棚になっていて、文房具がディスプレイされている。私はその棚にいちばん近い席に座って、お茶してみることにした。ちょうど店の入口が見えるような向きに座って、店内やお客さんの様子を観察しながら、「ほうじ茶のブリュレ」をいただいたが、これが想像以上においしくてビックリした。「文房具カフェ」とは言っても、カフェは文房具の「おまけ」、というわけではなさそうだ。

お茶も食事も充実! 文房具だけのカフェではない。

 店内を見渡してみると、カウンター席の上の壁面に黒板にチョーク書きで「おすすめ文具」「人気メニュー」「イベント告知」が掲示されているのが目についた。この3つが同じ場所に同じ並びで掲示されているところからも、「文房具>カフェ」ではなく、「文房具=カフェ」という店の姿勢が感じられる。これだけたくさんの文房具を揃えているのは、もちろんこの店の独自性であり、他店との差別化にはおおいに寄与しているだろう。
 表参道の駅からは少々離れた奥まった場所にあったところで、「文房具大好き!」な人は、この店に来るために足を運ぶに違いない。私はとくに文房具フェチというわけではないが、その私だって「ここなら飽きずにいられる」と思うだけの、文房具がここには並んでいるのだから。

 しかし。
 「文房具大好き」な人だけを相手に商売するのはあまりにもリスキーだ。そこはちゃんと表参道の裏道にあるカフェらしい、おしゃれでおいしいカフェメニューが必須なのだ。

 改めてメニューを見てみると、「自家製創作料理」「150種類のドリンク」なんてのもあり、文房具と同時にこの店のウリだった。たしかに、店内のお客さんを見ていても、文房具など気にも留めずに食べ、お茶を飲み、おしゃべりしている人も多かった。この店は、「表参道の小洒落たカフェ」としてしっかり機能しているのだ。

会員になるともらえる秘密の鍵で 引き出しを開けられるというカワイイ仕掛け

 とは言え、さすが文房具カフェ! という仕掛けもたくさんある。まず、テーブルには鍵のかかった引き出しがついているが、この引き出しの鍵は、会費を払ってこの店の会員になるともらえるのだそうだ。引き出しの中には、文房具が入っていて会員はそれを自由に使うことができるという。自分用の文房具がキープしてあるカフェ......なんだか楽しい気分になれそうだし、数多くあるカフェの中でこの店を選ぶ動機にもなりそうだ。
 また、会計をしようとレジに向かったとき、レジ前にかわいらしいクッキーが置いてあるのが目についたが、なんと、それが分度器や定規の形のクッキーなのだ。

 こういうところでは、しっかり「文房具にこだわったカフェ」であることを、主張しているのがおもしろい。ゆったりお茶するにもよし、黙々と仕事に励むもよし、文房具をとことん楽しむのもよし。こんな懐の深いカフェが、表参道の喧騒からほど近いところにあるということに、ちょっとホッとした気分になった。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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