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連載コラム

第128回 いつまでも乙女でいたい! 女性の社交場 「MURANO CAFE」

[ 2014年7月29日 ]

 2年前から宝塚歌劇にはまっている私に、スタッフから恰好の情報提供があった。「もうご存じでしょうが、宝塚にこんな素敵なカフェがオープンしたようですよ」。それが、MURANO CAFE(ムラーノカフェ)。そんなお店があるなんて、知らなかった......と、軽いめまいとショックに見舞われながら、紹介記事をよく読んだ。MURANO CAFEは宝塚劇場横、手塚治虫記念館の正面にあるので、いつも宝塚駅側から劇場に行く私は知らないところ。しかも6月下旬にオープンしたばかりだとのこと。なんだ、知らなくて当然だわ! それなら大阪出張の際に足を伸ばして行ってみよう! と、鼻息荒く、雪組の壮一帆・愛加あゆコンビの退団公演の最中に行ってきた。

OGのタカラジェンヌに会える! 話せる!

 サイトで距離感はわかっていたつもりだけど、なにせ阪急宝塚南口側にはまるで不案内。手塚治虫記念館に行ったときも反対側の道を歩いてたし......、と、不安な気持ち半分で、取材にかこつけた観劇用の雪組のチケットを買い、劇場を出て、歩くこと2分。フランス王朝っぽい、とってもクラシカル、かつ、ゴージャスなエントランスの店が出現!! これが噂の「MURANO CAFE」に違いない。入口には、ピンクのフラミンゴみたいな細くてキュートな制服のお姉さまが2人、笑顔で出迎えてくれた。そう、この日の宝塚歌劇は11時と15時の2回公演の日だったのだが、開演前の時間でも、花組公演の集合日ということもあり、平日にも関わらず宝塚ファンは既に劇場周辺や楽屋口周辺に集まっていたのだった。

 そして、いざ店内へ。朝から台風前でネトっとした関西特有の暑さに、ちょっぴりお疲れチャンな私には、『タカラヅカ・スカイ・ステージ(宝塚歌劇専門チャンネル)』の流れる店内が心地よい。
 まずは、かけつけ一杯のドリンクをオーダー。なんと、まるごと一個のグレープフルーツをストロー分だけくり抜いたグレープフルーツジュース「カジュッタ」。暑さもふっとび、お肌もタカラジェンヌばりにぷるるんぴちぴちしそうなジュースだが、「これ、ゴミが出なくていいんですよ」との合理的なお言葉が。笑顔で解説してくださったのは、なんと元雪組男役のタカラジェンヌ・愛輝(まなき)ゆまさん。こちらのお店では、OGのタカラジェンヌさんが日替わりで来て、客と気軽に話してくださるのだ! もう、ボルテージMAXの私! 「何組さんだったんですか?」「同期って、どなたがいらっしゃるんですか?」「その黒のお洋服、とっても素敵ですね!」......と、ヅカトークに花が咲いてしまった。

 よく見ると、カフェのホールスタッフは、ピンクやプリントのスカーフ生地のような制服だが、OGさんたちは黒を基調にしたウエアを着ている。これは、宝塚の男役と女役を意識して、ホールスタッフとなるウエイトレスさんたちは美しい女役、黒基調のOGさんは宝塚の花形の男役を演じられるようにしているのだそう。うーん、深い!! OGとして46期の美高悠子さんや81期の美高望さんなども来られるのだとか。宝塚の色々な裏話なども含めて楽しくお話していただけるので、観劇の前後にこのMURANO CAFEに立ち寄って、より宝塚の感動を深めることができる。

ヅカファンにもタカラジェンヌにも満足な、仕掛けと気配り!

 店内は豪華なシャンデリアがつらなり、さながらヨーロッパはフランスの古い貴族の屋敷のダイニングホールのよう。壁は鏡になっているので、実際の面積よりもかなり奥行があるように見え、それも含めてまるで宝塚歌劇のステージさながらだ。椅子も机もいくつかのパターンがあって、スツール型の椅子のエリアや、もう少しゆったり食事をするお客様用のエリアや、カーテンで仕切られている個室エリアでは、スターさんとのお茶会とか、結婚式の二次会で新婦が着替える部屋にも使えそう。何より歌劇っぽいのが、宝塚を象徴する大階段そっくりの半円形のステージがあることだ! この大階段ステージの真裏には、音響調整室もあり、貸し切りパーティーや生歌コンサートなどでも活躍しそう。

 よく見ると、この部屋の対面に、不思議に仕切られた部屋が......。ここが噂の『VIPルーム』。カーテンで周りがすっぽりと隠れてしまうので、お店に来ただけで「きゃぁ~」と黄色い歓声が上がってしまうスターさんたちでも安心してお茶ができるように、という配慮のもとに作られた部屋だ。満席になったときでも、スターさんたちのためのとっておきの部屋として確保されているのだ。また、お茶会(スターさんとファンの集いのような会)のときには、スターさんの待機場所となって、そのまま対面の大階段ステージ裏の音響室に、すっと入れるようになっている。 ......なんという気配りと配慮!! 今回はお店の取材ということで、スターじゃないけど特別にお部屋に入れていただいた。部屋の中はぐるりとソファーで囲まれた落ち着いた空間で、ここでスターさんが着替えることもできる。このカフェが、宝塚ファンのお茶会として、スターさんたちと触れ合える場所として作られたというのがよーくわかる。

大階段を思わせるステージのひみつ!

 この半円形の大階段ふうステージは、歌唱ステージとして利用しない時は大きなスクリーンが降りていて、宝塚専門チャンネルのCS放送『タカラヅカ・スカイ・ステージ』が開店から閉店まで流れている。下手なBGMを使わず、そのまま宝塚の過去のステージやスターさんたちのトーク、今上演中の作品について、トップスターはじめ主要キャストが解説をしている番組などが、絶えず流れている。スポーツバーが、その店のコンセプトであるスポーツの中継をずっと流しているのと同じように、BGMならぬBGVとして演出に貢献しているのだ。
 有料放送の中でも視聴料の高い『タカラヅカ・スカイ・スタージ』が、カフェに入るだけで大音量かつ大画面で見られるなんて、まさにパブリックビューイング。もちろん、結婚式の二次会や、謝恩会などの各種パーティーなら、みんなで作ったサプライズビデオや、ステージでのプロ音響設備で歌を披露したり、なんていう使い方もできるわけだ。

 まさに、宝塚ファンにとっては至れり尽くせりの「MURANO CAFE」だが、スツールエリアには、かなり古い時代からの「宝塚おとめ(歌劇団生目録。現役のタカラジェンヌが全員掲載されているブロマイド写真と自己紹介などが書いてある本)や、ファンレターを書くためのカラーペン(20色以上!)も貸出フリーとなっているので、入り待ち出待ち(劇団生が楽屋に入る際や帰宅の際に、応援の気持ちや言葉を伝える為のファンクラブの任意行動)の待ち時間を有効に使うことができる。

 実はオーナーの小山さんは男性。しかも、意外なことに、ヅカファンではないのだそうだ。でも、「自分は男性だし、正直今でも宝塚のことはよくわからないけれど、宝塚OGさんたちに手伝ってもらえるなら、きっとファンの皆さんには喜んでいただける場所になると思っています。男性だけのご来場はお断りしているのですが、宝塚にあこがれる娘さんとお父さんとか、初舞台を応援にきた祖父母とか、宝塚の大ファンではないけど、歌劇の放送を見ながらゆっくりカフェや食事を楽しみたい、という方、どなたにでもお気軽に利用して欲しいです」と話してくださった。
 男性だけの娯楽場はたくさんあるのに、女性のためのそれが少ない、ということで作られた「MURANO CAFE」。せっかく宝塚観劇に来ても、そのまま帰ってしまうお客様の多さも気になっていた、という小山さん。このカフェがハブになり、少しでも宝塚の町全体の活性化になれば嬉しいと言う。これだけ綺麗なスタッフが笑顔で出迎えるカフェだもの、ヅカファンであってもなくても、幸せな気持ちになる空間として、これから目が離せない夢の場所となりそうだ。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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