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連載コラム

第36回「クリイルの名所・多摩センターで街のクリスマス濃度を測定!〜街で見つけたクリスマス・ディスプレイあれこれ〜」

[ 2006年12月12日 ]

●キティちゃんがお出向かえする光の国・多摩センターはクリスマス一色か?
 キャリア・マムのお膝元である多摩センターは、間違いなく12月にもっとも街が活気づく。その理由は、駅前のクリスマス・イルミネーションだ。
 10年以上前からやってはいたのだが、数年前から一段と華やかになり、キティちゃんまで登場したとあって、最近はクリイル(クリスマス・イルミネーションのこと。こんな風に雑誌では略してた!)特集には、よく取り上げられるようになっているのだ。たしかにこの時期、多摩センター駅からパルテノン多摩に向かう遊歩道は、エレクトリカルパレードに迷い込んだかのような華やかさで、あちこちで記念撮影をしている人の姿も見られる。ううーん、なんかこの駅に降り立っただけでクリスマス気分、盛り上がるな〜。
 で、気になるのは、このすばらしいイルミネーションの周りに位置する各店舗は、どうやってクリスマスムードの盛り上げに貢献しているかってことだ。イルミネーションがこれだけがんばってるのに、お店をのぞいたらクリスマス気分が、しおしおのぱ〜〜〜ではね。

 というわけで、身近すぎて最近あまりじっくり観察する機会のなかった多摩センター駅前の「クリスマス」っぷりを、今回はしっかり観察してみることにした。

 


●イトーヨーカドー、丘の上パティオはやや控えめ?

 イルミネーションを施された歩道を、駅からパルテノン多摩に向かって歩くと、その左手にあるイトーヨーカドーの通路に面したところにあるレストランのショーケースに、最初のクリスマスを発見! サンタクロースのイラストが入った赤と緑のプレゼント袋や、リボンのかかった小箱などがハンバーグやシチューのサンプルの横に並んでいる。クリスマスディナーのイメージがわく楽しいショーケースになっている。
 ヨーカドーに入ってすぐ目の前にある雑貨屋(飛行船)は、大きなクリスマスツリーに商品をたくさんぶら下げている。店の天井からは、手作り感あふれる布製のタペストリーが下がっていて「メリークリスマス」とうたっている。
 雑貨屋の向かいにあるショップは、店の外側のガラスの中にリースやモールでクリスマス飾りをした一角を作っていた。さらにその隣の靴屋もブーツなど冬らしい商品を並べた中に、青白く光る小さめのツリーを立てて、ガラスにも雪の結晶を貼り付けている。イルミネーションに面したヨーカドーの2階にある専門店は、大げさにならない程度に、それぞれにクリスマス気分を出しているように思えた。その中で、もっともクリスマス濃度が高く感じられたのは「飛行船」。やはりプレゼント向きのグッズを多く扱っているゆえんだろう。

 さて、ヨーカドーの向かい側にある丘の上パティオに目を向けてみると、SEGAのゲームセンターがある。ここはさすがに、あまりクリスマスという雰囲気はなかった。その隣にはマクドナルド。こちらは店の前にラティス(木製の柵)を出して、そこに電飾で星や雪の結晶を飾りつけ。最近、はやりのホームイルミネーション的な雰囲気だががんばっている。隣のミスタードーナツでクリスマスを感じさせたのは、商品である「ミスドノエル」の告知POPくらいか。意外にもミスドには、まだクリスマスは来ていない? という感じだ。その隣の丼ものの店「どん」は、まあクリスマスでもないよな、と思いきや、案外がんばっていて驚いた。まぐろ丼だの、ねぎとろ丼のサンプルが並ぶショーケースの中を、サンタさんが空中遊泳していたり、ひいらぎの葉や銀のモール、小ぶりなツリーも並んでいたりと、なかなかにクリスマスしているのだ。その隣のラーメン屋さんは、さすがにクリスマス色ゼロだったが、丼もの屋でこのがんばりには拍手を送りたい。

 丘の上パティオでもっとも期待がもてたのはもちろん、2軒の雑貨屋「BEAUX-ARTS」と「George's」である。なんたって雑貨屋ですから、プレゼントの本場ですから。そりゃもうクリスマスは稼ぎどきとなるはず!
 「BEAUX-ARTS」は、モノトーンが主体のハイセンスな雑貨屋。モノトーンだけあって予想よりもクリスマス濃度は低い。入口のガラスには、商品でもあるジェル状のステッカーが貼ってある。星型や結晶型の透明感、立体感のあるステッカーは、ちょっといい感じだ。外から見えるようにクリスマスツリーも出ているが、さすがにグリーンではなくシルバー主体でオシャレな感じだ。店内もそれほど「クリスマスー!」という感じではない。いや、しかしよーく見てみると、商品のすみっこにちっちゃなサンタさんが忍んでいたりするのだ。これが、なかなかかわいい! エプロンのポケットやグラス立て、チェアの脚にもサンタさんがしがみついてる。このさりげなさはニクイ!

 お隣の「George's」になると、かなりクリスマス濃度は上がる。入口には「Merry X'mas」のチョークアート、店内にも天井からクリスマスのタペストリーが下がり、クリスマス用プリントの紙袋も下がっていて、わくわくクリスマス感を盛り上げている。うーん、これぞクリスマスシーズンの雑貨屋の王道! って感じかな。
 イトーヨーカドーも丘の上パティオもなかなか、がんばっているじゃないか! と確認したところで、いよいよクリスマスといえば、デパートでしょー! ってことで三越に向かってみる。すっかり若向けにリニューアルした三越だもん。クリスマス気分もかなり盛り上げているはず! 期待に胸をふくらませつつ、クリスマス・イルミネーションに彩られた、ペディストリアンデッキを横断したのだった。


●三越・多摩センター店のクリスマスはピンク! ピンク! ピンク!

 三越の正面玄関から入ろうとすると、入口の両側をちょうど狛犬か門松のように2つのツリーを飾っていた。このツリーがなんともロマンチックなのだ。なんてったって、ピンク基調! うすいピンクのツリーに、大きなピンクのボールオーナメントがたくさんついているから、遠目には「ピンクツリー」そのもの。中に入るとピンクと白の3段重ねケーキ型の巨大なディスプレイが。ここでもケーキを彩るクリームさながらに、ピンクのボールオーナメントがふんだんに使われている。ケーキなら、イチゴがのってるだろう場所には、バッグや靴などプレゼント好適品が飾られている。

 ちょっと前までシニア仕様だった多摩センターの三越が、「変われば変わるもんだ〜」とビックリしてしまうこのピンク攻勢だが、これだけではすまなかった。第一、クリスマスフェアのポスターもタペストリーもピンク基調。そのタペストリーが店内通路の天井から下がっているから、とにかく店内すべて、ほんわりピンク色に染まっているのだ。
 そして、ツリーに使われていたピンクのボールオーナメントは、店内のあちこちにさりげなく顔を出している。壁面を使ってディスプレイされているハンカチや手袋などの小物の脇にも、ピンクのボールオーナメントをいくつかまとめて、ひいらぎの葉や白い羽などを合わせて飾りつけているのだ。商品の前に立っている価格POPのスタンド部分にも、ピンクのボールと白い羽。なかなか、こだわってるじゃーん! やるじゃん、三越! なんだかウキウキうれしくなってしまった。

 三越の1階に入っている店は、どこもがんばっていた。
 「THE BODY SHOP」は、いつだってクリスマスみたいな、すてきなショップだが、クリスマスリースをモチーフにした小さなカードをうまく利用して、おそらく普段からあるのだろう商品も、見事にクリスマス仕様に見せている。もともとギフトで使われることが多いだろう商品なだけに、リースのカードをつけるだけで十分クリスマスプレゼントになりそうだ。ゴールドの雪の結晶も、効果的に壁面やガラス面につけてあって華やかさを演出。
 「シューパブ」では、商品である靴をディスプレイした間に、サンタ帽をかぶった犬の小さなぬいぐるみが並んでいる。そのお茶目さが目を楽しませてくれる。


●アンティエーレの控えめでセンスのいいクリスマス演出に脱帽!

 思った以上にワクワクさせてくれる三越のクリスマス・ディスプレイに、かなり気分がハイになっていた私の心を、最後にズギューンと射抜いたのが、1階のスターバックスコーヒーの向かいにあるアクセサリーショップ「アンティエーレ」だった。
 ここは、シルバーアクセサリーを主として、写真立てなどの雑貨やメンズ雑貨(カフスなど)も扱っている。クリスマスプレゼントにはよさそうな商品がいっぱい! なお店だ。遠目で見たところ、それほどクリスマス濃度は高くない・・・ように見える。しかし、よく見ると、なんとまあ小技のきいていることか! と感心してしまうさりげなさで、商品の邪魔にならない程度にじわりとクリスマスのスパイスが効いているのだ。

 たとえば、ペンダントなどをディスプレイするために、ショーケースの中に立ててある人型。透明のアクリル板でできているので、色紙をはさんであるのだが、これが緑と赤になっている。商品の脇に小さなひいらぎの葉や松ぼっくりが置かれていたり、ほんのちょっとしたことなのだが、やはりショーケースの中にはクリスマスが来るよ! という華やぎがある。
 このセンスのよさに感激して、ちょっとショップのスタッフさんに話を聞いてみたところ、「シルバーアクセサリーは季節感が出しにくいので、ディスプレイには工夫をしている」とのこと。この赤と緑の色紙も、色だけでクリスマス気分を出すために、実はかなりこだわって探した紙なのだということだった。同じ赤、緑でもクリスマスらしい色と、そうではない色がある。「クリスマス」を感じさせる赤と緑を追求したのだそうだ。
 三越正面入口に近い側には、シルバーの写真立てがずらりと並んでいたが、ここもほんとにさりげなく控えめに、クリスマスバージョンになっていた。赤と緑の紙を入れてあるものと、ちょっとしたポストカードやイラストが入れてあるものがあるが、これがよく見るとクリスマスつながりなのだ。この感じ、とってもいい。

 

 三越店内がピンク色に華やいだクリスマスを演出しているだけに、この「アンティエーレ」のオシャレさは際立っていた。ピンクのわくわくクリスマスも楽しいし、こんなオシャレなクリスマスの演出もまたいい! う〜ん、やっぱりクリスマスっていいよ〜。だれかと一緒に過ごしたくなるし、おいしいものを食べたくなるし、なんだか、だれかのために何かを買いたくなる。いや、いつもがんばっている自分のためにも、「ちょっとごほうびを買ってもいいかな〜」って気にもなってしまう。

 多摩センターは都心ほど派手ではないけれど、セレブはいないかもしれないけれど、このクリスマス・イルミネーションに負けないように、街中でクリスマスを盛り上げようとしてるよ〜! 地元・多摩のがんばりを目の当たりにできたこともあって、すっかり元気が出てきた感じ。だからクリスマスって好きよ! とスキップしながら、多摩センター駅前のキティちゃんの横を通りすぎて帰路についた私だった。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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