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連載コラム

第40回「いまどきの自動車教習所、通いたくなるポイントって?」

[ 2007年4月2日 ]

 先日、多摩ニュータウン内を運転中、信号待ちしていたときのこと。 「GOOD LUCK FOR YOU!」の文字と親指をグッと立てた赤毛の天使? のイラスト入りのハイエースが目の前をスィ〜っと横切った。白い車体に赤の文字、イラストがグッと目立つ。何の宣伝車? と思ってよく見ると、多摩ドライビングスクールの文字。そうか、教習所の送迎バスなのね。「GOOD LUCK!」ってきくと、キムタクのドラマ? などと連想してしまうけど、教習所のキャッチコピーにするってのも、いい発想だね! と妙に感心してしまった。その日はなんと、他の教習所のマイクロバスとも遭遇。遠い昔に通った教習所だけど、最近はどうよ? って、好奇心がわいてきた。
 …というわけで、今回のテーマは「自動車教習所」に決まり! さっそく、ウォッチングしてみることにした。


多摩ドライビングスクールの送迎車


●無料送迎バスは走る広告カー!?

 駅前、線路沿いの目立つ一等地に教習施設を構えている歴史ある教習所や、電車の中から見える教習所もあるけど、駅からちょっと離れた広めの土地に教習所があったりすることも多い。そうなると、必要になってくるのが送迎バスだ。だって、電車やバスを乗り継いでの教習所通いって面倒じゃない。ほんとは「ウチの前まで迎えに来てくれ〜」と言いたいけどね。
 この無料送迎バス、教習生にありがたいサービスであると同時に、広告宣伝費のかからない“走る広告カー”として、教習所側にもメリットがあるようだ。路線バスのラッピング広告だって効果は高いが、教習所名入りの車体が街を走行していれば、結構、目立つ。見かける回数が多いと、教習所名が自然にインプットされていくよね。粋なキャッチフレーズがあれば、なおのこと、人々の記憶に残っていく。立派なマイクロバスの送迎だと、ちょっとリッチ感があって、乗車している教習生もゆったり優雅にみえる。一方、小回りのきくバンは、アットホームな雰囲気。送迎の運転手さんから運転技能をちゃっかり伝授してもらえそうな気がして、これもいい感じだなぁ。


●車内広告もインパクトで勝負!

 次に目にとまるのは、やっぱり電車の車内広告、駅構内の広告板だろう。もちろん、街角で見かける広告っていうのもあるけど、免許はこれから、という高校生や専門学校生、大学生をターゲットにするなら、公共機関の電車内で見かける広告や電車待ちのときに目に入ってくる広告板にインパクトがあれば、やっぱり有利なのだ。八王子駅構内で、「八王子駅から一番近い!!」というフレーズの広告板を見つけた。たしかに、アクセスがよいのは、ポイント高い。社名の「Chuo」の赤いロゴが印象的で、パッと目に飛び込んできた。広告板をみたら、なるほど、八王子中央自動車学校の「Chuo」か。

 京王線の車内広告や調布駅近辺の駅構内では、「快適教習生活 はじめてみませんか」「風、きらめく、物語」という広告を見つけた。これ、調布自動車学校の広告なんだけど、ちょっとオシャレなのだ。車をデフォルメしたイラストもかわいくて優しさがあって、調和が取れていて、ステッカーのようになっている。そうそう、多摩ドライビングスクールではキャンペーン時に入校すると、教習所オリジナルのステッカーやミニカーなどのオリジナルグッズを配っているそう。「落ちない!? くるっぴー祝・合格カー」とか。免許取得後、オリジナルステッカーをマイカーに貼って走れば、元教習生も立派な“走る広告カー”だ。

 
調布自動車学校の広告/多摩ドライビングスクールのオリジナルグッズ


 JR中央線や京王線で見かけた車内広告で一番、ハッとさせられたのは、「ノリタガリアン大満足」「ノリタガリアン大集合」のフレーズの広告だった。つぶらな瞳の耳垂れ犬がどうやら、ノリタガリアン君らしい。イメージキャラクターを起用するっていうのもおもしろい発想だ。


●スーパー、コンビニなどの店舗とも提携。合宿免許も人気上昇か

 近所のイトーヨーカドー、サティなどの大型スーパーにも広告があった。入り口付近の定位置に、パンフレットの常設コーナーがあったり、来客が多い週末などは、臨時の教習所案内デスク、受付コーナーを設けていたりもする。割引の特典もあるようだ。教習生としてのターゲットになりそうな学生さんたちが頻繁に利用するコンビニにもやっぱりパンフがあった。もちろん、大学構内(食堂とか)や大学生協にもパンフは常備。ちなみに、大学に入学が決まったと同時に、大学や大学生協経由でパンフレットが送られてきたりするんだって。こちらの割引特典も充実しているらしい。大学入学前に免許を取得するとさらにオトクってことで、高校生とその親をググっと惹きつけてしまおう、ということか。

 一方、若者に人気のマルイでは、ちょっとハイソなパンフレットを発見した。合宿免許コースもあり、夏休みなどを利用して、短い期間で免許を取れる、ってことで、これはこれで需要がありそう。学校寮や旅館、ペンションなどに宿泊するらしい。パンフを見ると、温泉リゾート、岩盤浴、リラクゼーション利用の特典サービスがあったり、スキー場付近でスキー、スノボも楽しめたり。食事はバイキングや美味しいと評判の宿だったりして、いたれりつくせりだ。教習車がBMW! なんて学校もあって、こういうのに惹かれる学生もいるんだろうなあ。


●独自の特典で、教習生のハートを鷲づかみ!

 特典といえば、通常の通学免許で取る教習所だって、いろいろ工夫を凝らしている。新聞の折り込みチラシ、パンフレット、インターネットからのアクセスで入校手続きした人への特典サービス。友だちや家族で一緒に入校手続きをすると割引があったり、キャッシュバック特典や商品券、プリペイドカード、合格グッズのプレゼント(オリジナル・ミニカーとか!)などなど。教習生になると「紹介制度」なんてのがあるところも。教習施設はさまざまだけど、広いコースと充実した施設を売りにしている教習所もあれば、逆に狭いコースが自慢! という教習所もある。実際に運転する自宅周りに狭路が多い、という場合には、狭い教習所の方がいいのかも。最近は、教習指導員が同乗しない無線教習を実施している教習所も結構あったりするようだ。高速教習に外車を採用しているところもあった。

 夜遅くまで教習を実施している教習所なら、仕事帰りにも利用できそう。また、無料の「託児サービス」は当たり前になっているようで、これもうれしいサービスだ。新米ママなら教習所で学んでいる間、子どもを預けられ、ちょっとした開放感があってリフレッシュもできるってわけだ。

 料金システムは教習所によってさまざまだけど、技能教習が何時間かかっても追加料金の必要がない安心コースだったり、セーフティコース、一括予約ができたり、キャンセル料がかからないコースなどもあるようだ。指導員を指名できたり、逆に、拒否できたりするシステムを取り入れてるところも。

 いまどきは、ホームページを持っている教習所がほとんどで、インターネットや携帯からの技能教習予約や、学科の模擬試験ができるところもある。また、教習所内に学習室があって、そこのパソコンで模擬試験ができる教習所も多いみたい。家にいながらにして学習することができるなんて、限られた時間で通学しなくてはならない会社員や主婦にはありがたいサービス! だよね。掲示板があって、教習生同士の意見交換や、これから入校する人や教習生が質問できるようなサービスを試みているところもあるようだ。これはたしかに便利だし、教習所の姿勢や質もはかれて、なかなかいいかも。


●メディアでも注目の教習所って?

 学生や若いコたちに人気の教習所、特色のある教習所って、きっとほかにもあるはず、と思い、全国のキャリア・マムの会員にもたずねてみた。遠方の教習所は自分の目で確かめられないのがちょっとザンネンだけど、なかなかおもしろい情報が届いたので、ちょっと紹介してみよう。

 兵庫県神戸市の「リエゾンドライビングスクール」は、ホームページはまるでオシャレなファッション誌。「神戸でうわさの進化系スクール」「神戸レディの大本命はここ!」といわれたら、神戸っ子としてはググッとそそられる。スタッフは「教官ではなく、インストラクター」「友だちに教わるような感覚」って、たしかにイケメンだったり美人だったりする。個性的でとても教習所とは思えない! 人気がでるわけね。


リエゾンドライビングスクール


 駅前商業施設の屋上が、まるごと教習所というユニークなところも。東京都葛飾区・金町駅前の「金町自動車教習所」は1階が商業施設、2階が教室、自習室、休憩コーナーで、屋上が教習所になっていて、電車の窓から教習所が見える。同様の教習所は愛媛にもあった。愛媛県松山市の「第一自動車教習所」スカイコースと呼ばれる教習所は、ホームセンターなどの商業施設の2階。国土の狭い日本ならではの、ナイスアイデアかも知れないけど、アクセルふみすぎて落ちたりしないかと心配したりして。

 逆にビッグな教習所は、電車の窓からも見える目黒区の「日の丸自動車学校」。山手線から見える、巨大な巨大な、まっ赤な球体。「日の丸自動車学校」と聞いて、なるほどね、球体は日の丸なわけだ、と妙に納得。


日の丸自動車学校


 また、東京都内で最大のコースは「東急自動車学校」。ニコタマ(二子玉川)駅、上野毛駅から歩いて7分くらい。ここの教習コースは東京ドームの約2倍、周囲4車線、直線200メートル、60キロ走行ができるっていうから、たしかに視野の広い運転が身につきそうだ。

 兵庫県姫路市には、4階建ての校舎のある、ゴージャス教習所があった。「網干自動車教習所」の1階、エントランスは大型クルーザーがいきなり現れたかと思えるほど印象的な外観、ガラス張りのホール、テラコッタのタイルを敷きつめている開放的な空間なのだとか。2階はインターネットコーナー、売店、オシャレなギャラリー風のフロア。う〜ん、これは優雅、癒されるなぁ。3階には70歳以上の高齢者講習室、託児室があり、高齢者専用エレベーター完備なんだと。4階のスカイロビーは、前面ガラス張りの円筒形スペース。安全運転祈願をする「Abosk神社」が鎮座されていて、普通自動車の卒業検定に合格したら、みんなそろって御払いをしてくれるんだって。


網干自動車教習所


●教習所もクチコミ効果が大事、ってことかも

 多様化しているサービス内容。どれを重視して、どれをチョイスしていくかはお好み次第だけど、教習所もただ、運転技能だけ教えていればOKってわけではなく、多様なサービスを展開していくことで、生き残りをかけている。広告でいえば、キャッチフレーズのセンスのよさや、いたれりつくせりのサービス、設備の充実や効率のよさも大事だけど、第二段階の路上教習になったら、施設よりもむしろ、人対人、みたいな部分が大きい気もする。友だちが通っていれば体験談を聞けたり、おばさんには優しい●番の指導員がいいわ、なんて情報をもらえたり…。結局のところ、指導員の質のよい教習所が、教習生の実感あるクチコミ効果で繁盛する傾向もあるのかもしれない。

 教習所も「進化」しているし、ビジネスのひとつだ。スポンサーになりそうな企業と手を組んで、あれこれサービスを付加していくところも増えていくんじゃないかな。
ウチの息子たちが通う頃、自分もまた一緒になって、サービス満載、よい学校を探すべく情報集めに奔走するのかな〜?
 いろいろ学ばせてもらい、楽しめたウォッチングだった。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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