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連載コラム

第41回「サロン化する携帯ショップ、銀行・・・用はなくとも「癒され」に行くのもあり?」

[ 2007年5月7日 ]

●新生銀行&東京スター銀行にビックリ! ここはどこぉ?
 最初に「ここはどこ?」な銀行に入ったのは、新生銀行目黒フィナンシャルセンター。ATMの引出手数料がかからないと評判だったので、口座を作ってみようかと、たまたま見かけた目黒の店舗に入ってみたのだが・・・。ここはほんとにステキだった。従来の「銀行」って感じがまったくない。ハイソでオシャレで、一瞬どこに入ったのかわからなくなった。「へええっ、今どきの銀行ってこんななの〜?」と驚いたのが、もうかれこれ2年前だ。そして今回、前からちょっと気になっていた、東京スター銀行調布支店に行ってみたのだ。


新生銀行


 東京スター銀行は、店舗のことを「ファイナンシャル・ラウンジ」と呼んでいる。単なるかっこつけではない。入ってみればわかるが、たしかに「ラウンジ」と呼ぶにふさわしい造りと雰囲気なのだ。銀行ではおなじみの、あの横並びの窓口はここにはない(新生銀行もそうだった)。個別に仕切られたブースがあり、そこにスタッフと相談のできるテーブルとイスが用意されているのだ。これなら隣の人に相談内容を聞かれてしまう心配もない。


東京スター銀行


 調布支店は、入口左手に2つのブースがあり、さらにその奥に進んでいくと、ちょっと開けたセミナールームのようなものがあった。ゆったりとイスが配置されていて、スペースの一角にはお客様用のフリードリンクもある。ここでは、参加費無料の資産運用セミナーや外貨預金の基礎知識などのセミナーが開催されたりしているらしい。オレンジを基調としている東京スター銀行ならではの、ポップな色づかいは店内にも見受けられ、明るくオシャレなイメージである。

 うう〜ん、新生銀行といい東京スター銀行といい「なかなかやるなぁ」と、感心することしきり。そこに店舗スタッフが寄ってきた(行員さんというのだろうか。もしかしてラウンジだけにフロアレディとかいうのかな?)。「どういったご相談ですか」愛想もいい。しかし! 「とりあえず口座を開設しようかと思って」と答えると「口座開設ですか。うちは通帳のないタイプの口座になりますがよろしいですか」と笑顔のまま一言。「どうぞどうぞ当行で、ぜひ口座開設してくださいな〜!」という熱意はあまり感じられない。

 それもそのはず。ここは「ファイナンシャル・ラウンジ」である。来店されるお客さまは、やはり資産運用やローンなどの相談をしに来ることを期待されているような雰囲気。だからこそ、横一列ではなく、ブースを用意しているのだろう。

 新生銀行も実はそうだった。つまり、ちょっとオシャレなこのタイプの店舗を設けている銀行は、相談してなんぼ、ではないかと思われる。単なる口座開設だの公共料金の支払いだのなら、個別のブースは必要ないものね。

 もう少し時間のあるときに、資産(ってほどのものはないけど〜)運用の相談をしに来るにはいいけど、なんだか「ただの口座開設」なんてのは場違いだったかな? という気分になりつつ、かっこよくレイアウトしてあるパンフレット類を、ひと通りしっかりといただいて帰ってきてしまった。でも、ほんとにゆっくり相談する必要があるときは、こういう雰囲気の銀行っていいと思う。


●街中の隠れくつろぎスポット? 携帯ショップにGo!

 その点、入りやすくてくつろげる(?)街中の穴場的ラウンジがあると聞いて、いくつか回ってみた。そう、そこは携帯ショップである。

 携帯電話のショップは、大きく分けて2種類ある。ドコモでもソフトバンクでも大丈夫、うちは安いよ、機種変も早いよ! を売りにしているタイプのショップ。このタイプのショップは、とにかくPOPが多く、店も狭め。あらゆるメーカー、機種が壁面にびっしり並んでいる。これはこれで人気だ。中高校生などはよく見かける。「新規0円」にひかれて携帯の番号がどんどん変わっても気にしない、そんな人々には魅力的なスポットに違いない。

 一方、いわゆる「ドコモショップ」「auショップ」と言われるショップは、ドコモならドコモしか扱っていない(当然か)。少しでも安く! を主眼に携帯を選ぶなら、各社取り揃えたショップのほうが適しているのかもしれないが、今使っている携帯から会社を変える気はない人、もしくは「今度はauにしたい」「ホワイトプランが使えるソフトバンクに変えるぞ!」と決めている人には、こちらの直営ショップがおすすめだ。

 まず、ドコモショップならドコモ、auショップならauについては詳しい(当然だ)。おいてある機種も豊富だし、最新のものもある。また、充電サービスやメモリバックアップサービスなどもやっているショップが多い。

 さらにさらに、このところ、このタイプの携帯ショップ、とっても進化しているのだ。安売り店のような猥雑感のない、スタイリッシュでくつろげる造りになっているところが間違いなく増えた。


●スタイリッシュなドコモショップ吉祥寺店

 私が最初に「ええ、ここって携帯ショップ?」と驚いたのは、ドコモショップ吉祥寺店だった。中町通りに入ってすぐの左手にあるのだが、ここはまず大きくて広い。店内に入ると目につく場所に番号札発行機(銀行にあるあれだ!)があり、それには驚いたが、相談窓口もちょうど銀行のような造りになっていた。しかし、なんと言ってもその店内は広々としていて、あちこちにソファがあり、最新機種〜おすすめ商品まで、さまざまな携帯が展示されている。携帯を物色しているだけでも待ち時間なんか、すぐにつぶせてしまうし、ましてやここのソファに座れば、かなりくつろげる。

 
ドコモショップ吉祥寺店


 壁面だけではなく、フロア内にいくつかシマを設けたような携帯のディスプレイも、宝石店やオシャレな雑貨屋のようで、ちょっと見て回りたい気分になるし、小さな携帯ショップのように目の前に店員さんがいるというわけではないので、心おきなく見られるのもいい感じだ。ついつい見て回れば「わあ、これいいなあ」なんて機種も目についてしまう。機種変更は高いし、今持っている携帯にとりあえず不足はないんだけど、これステキだなあ、かわいいなあ〜なんて心が揺れる。

 さらに、このドコモショップでは、機種変更や修理の依頼など用件のある人は、番号札をとっているようだ。そうではないお客に関しては、いい意味で放っておいてくれる。これがなかなか心地よいのだ。べつに今すぐ機種変更するとか、料金を支払いにきたとか、そんな用はなくても、フラっと入ってみて「どんなのが出てるかな〜」と気軽に物色できる・・・日進月歩の携帯電話には、そんな楽しみ方があると思うのだ。しかし、下手なショップに入って「どうですか?」「どれにしますか?」と、はりつかれるのは面倒だし、気の弱い人ならストレスにも感じるだろう。その点、このドコモショップ吉祥寺店のような、広々とした空間で心地よく過ごせるショップはありがたい。全面ガラス張りで外から店内がよく見え、ガラス越しに見ても入ってみたいと思わせる内装とディスプレイ。これからの携帯ショップは、こういう開放的なものが主流になっていくに違いない。


●並び立つ“橋本”のauショップ&ソフトバンク

 そう思ってから気をつけて見てみたら、キャリア・マムからほど近い相模原市橋本にもオシャレ感のある携帯ショップができていた。駅近くのビルの1階に入っているauショップとソフトバンクの携帯ショップがそうだ。この2軒は同じビルの同じ階。ひとつ間に違う店が入っていて、ほぼ隣同士だが、どちらもいい。新しいビルなので外観も美しく、総ガラス張り。auのほうは、イメージカラーのオレンジと黄緑が使われているので、ちょっとかわいらしい雰囲気。ソフトバンクは白が基調で、ご自慢のPANTONEカラーのカラフルな携帯の宣伝タペストリーが飾られている。いずれも、外から見て入ってみたいと思わせるステキな店造りだ。

 
auショップ橋本店/ソフトバンク橋本店


 auショップには、フロアのまん中あたりに、すわり心地のよいソファがあった。そして私がのぞいた日は、なぜかそこで居眠りしているオジサンまでいた。携帯ショップで睡眠をとるのはどうかと思うけど・・・でも、それほど居心地がいいということかもしれない。ソフトバンクのほうは、店内にウォーターサーバーも設置されていた。水はサービスで飲ませてくれるのだろうか。

 どちらのショップも吉祥寺のドコモショップほど大きくはないが、それでも番号札の発行機はあった。やはりこれは、携帯ショップの必須アイテムのようだ。お客側にとっては、自分の順番を確保するという意味でありがたいシステムだし、実は「別に用があってきたわけではない。ちょっとのぞきにきただけ」という人にとっても「用があるわけではない」ということを表明できて悪くない。おそらく接客するスタッフも「なにかご用ですか?」ではなく「番号札はとられましたか?」のほうが聞きやすいのではないだろうか。うちの近所のauショップには発行機はないが、それでも手書きの番号札をカゴに入れてあった。それほど、番号札は必要なものになっているのだろう。


●機種変更予備軍を取り込む携帯ショップのラウンジ化

 中高校生はともかく、大人にとって携帯電話は、そんなにしょっ中、変えるものではなかったと思う。しかし、ここにきてより機能が充実したものやデザイン性に優れたものに変えたい、という需要は増えてきているようだ。とくにワンセグが普及し終わるまでは、ワンセグ携帯への切り替え需要はかなりあるだろう。今までなら機種変更はしなかったような人たちに「変えてみようか」と思わせるには、とにかく来て、見て、触ってもらう必要がある。「携帯なんて使えればいいよ」と思っていた人だって、いざよくなっている実物を手にすれば「わ〜、変えようか」と思うことだってあるはずだから。

 足繁く携帯ショップには通ってなかっただろう人を、携帯ショップに入らせるためには、より魅力的で入りやすいショップにする必要がある。そのへんをにらんでの携帯ショップの進化であり、変貌なのかもしれないと思う。ガラス張りで中が見えて、最新の機種は外からも見えるようにディスプレイしてあり、ソファでくつろぐこともできる。番号札をとらなければ接客されすぎることもなく、いろいろな携帯を心おきなく見ることができ、最新情報のパンフレットやリーフレットも集め放題。そんなラウンジ化した携帯ショップは、街中で、ほっとひと息つける場にもなり得るのではないだろうか。

 銀行がラウンジ化しても、うっかり入って「外貨投資」「ローン借り換え」など勧められたら困ってしまう人もいるだろうが、携帯はその点、気も楽だ。したくなったら機種変更くらいはできるだろうし、しなくたっていいのだ。「近いうちにするつもりで情報収集しているところ」というお客だって、携帯ショップは大事にしてくれるだろう。

 街中の携帯ショップが、仕掛けてくる機種変更予備軍の取り込み方には、これからも要注目である。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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