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連載コラム

第42回「次はどうなる?」変化するディスプレイがリピート客を増やす!

[ 2007年6月7日 ]

●新宿なのにフルーツ栽培? 「微風〜Vifu」の不思議空間に癒される
 「この前、新宿で入ったカフェなんだけど、店内にバナナの木があってバナナがなってたの!」そんなスタッフの証言に「はあ、新宿でバナナを栽培してるの?」と半信半疑だった私。「一度見てみてくださいよ」と言われ出かけてみた。新宿3丁目にあるカフェ「微風〜Vifu」がその店だというのだが…。
 エレベーターで4階にあがると、そこは甘い香りに包まれていた。「フルーツカフェと銘打っているだけのことはあるな」と、その香りだけでも感じられる。
 全面ガラス張りの開放的な明るい店内でメニューを見せてもらうと、いやいや確かにここは「フルーツカフェなのね」と再認識させるフルーツ三昧なメニューだ。フルーツプレート(いわゆるフルーツの盛り合わせ)もあるが、パスタやピザ、タコライスなどにもフルーツが添えられたものがある。私はタコライスを食べてみたが、ピリ辛のタコライスのまわりにバナナ、キウイ、パイナップルが盛られていた。酢豚のパイナップルがちょっと前まで苦手だった私には「う・う〜む」な組み合わせだったが、これが案外いけた。ピリピリしたタコライスを食べる途中で、ときどきフルーツをはさむとなかなかいいのだ。そうそう「カレーライスに福神漬け」みたいな、そんな感じだ。

 


 しかし、スタッフが言っていたバナナの木はいったいどこに? 店内を見回してみると、たしかに観葉植物はかなり生い茂っているが、バナナの木らしきものはない…と思うんだけどなぁ。うん? もしや、あの店の真ん中にあるちょっとしなびた感じの木がそう? 思わず近づいてみると「今年のバナナの収穫はおわりました」と書いてある。たしかに、これがバナナの木なのだ。ただし、すでに収穫済でバナナがたわわになっている姿を見ることはできなかった。残念! 思わずお店の人に「この木は廃棄するんですか?」と聞いてみたところ、「バナナは収穫後に伐採し根元に生える子株が成長しますが、収穫まで1年はかかります」とのことで、このまま育てるのだそうだ。
 この店ではバナナだけでなく、ミニパッションフルーツやミラクルフルーツ、ジャボチカバといったフルーツの木も栽培している。一見、ただの観葉植物に見えた木も近くに寄ってみれば、アセロラやスーパーミニバナナの木だったり、イエローストロベリーグアバ、パイナップル、ミニドラゴンフルーツ、キワノの木だったりする。なかにはもう実をつけているものもあり、甘い香りを漂わせている。どの木にどんなフルーツがなるのか、それもお店のスタッフに聞いたらていねいに教えてくれた。


 しかし、なぜ新宿3丁目でフルーツなんだろう? そんな疑問はさておき、この店が「ネタ」を押さえていることは確かだ。特に女性なら、美容と健康にはいいにきまっているフルーツを、多く使ったメニューには興味津々のはず。しかも、おいしいとなれば! そんな「フルーツたっぷりのメニュー」だけでも、話題性十分だ。おまけに店内にフルーツの木がある! 季節によっては実がなっているところを見ることができる。収穫だってできる! これはかなりおもしろい。定期的に通っていれば、花が咲き、枯れて実になる経過をずっと観察することもできる。

 家でガーデニングしたり、ペットを飼ったり、いわば子育ても? ヒトは「日々成長するもの、変化するもの」を見て癒されたり励まされたりすることがある。新宿というロケーションのこの店に、ランチしにくるOLさんたちにとって日々姿を変えていく、このフルーツの木には“なごみ効果”があるのではないか。そんなことを感じた。
 「微風〜Vifu」の内装は洗練されてはいるが、とりたてて変わったところはない。ごく普通のカフェだ。しかし、フルーツの木という、日々姿を変えるものをメインにもってきたところが、「また行ってみよう」「次はどうなっているだろう」という興味から、リピートされるお客さまの発生→固定客の確保が期待できる演出だと言えるだろう。かく言う私も、次は絶対にバナナがなっている時季を選んで、子どもも連れてこよう! と決意しちゃったもの。フルーツもおいしかったし!


●ディスプレイが超・話題のケーキ屋「PERE NOEL(ペール・ノエル)」

 「フルーツの木は斬新だったわ。ああいう変化するディスプレイって、また行こうって気にさせるわよね」と事務所内で熱く語る私に、スタッフの1人が言った。「あ〜、わかります、その気持ち。私も季節ごとのディスプレイ見たさについ行っちゃうケーキ屋さんありますもん」…なんですって? それはいったいどこの店なのよ? と問い詰めてみたところ「みなみ野にある、PERE NOEL(ペール・ノエル)ってケーキ屋さんです。季節感あふれるディスプレイがとても楽しいんですよ。子どもたちも連れて行くと、いつも大喜びなんです」とスタッフ。そういう情報は早く伝えてくれなきゃ困るじゃないのよ! さっそく行くわよ、そのケーキ屋! だってみなみ野でしょ、車走らせりゃすぐじゃないの。
 「子どもたちも大喜び」という言葉に反応して、うちの子どもを連れて、ペール・ノエルウォッチャーだというスタッフ(その名はT)の案内でさっそく出かけてみたところ、まず建物の外観からしてかわいらしい。レンガ色の建物を見ただけで期待が高まってしまった。

 駐車場から店に入ると、入口左手の棚の上がディスプレイコーナーのようになっており、この日は「父の日」関連の飾りつけになっていた。お父さんをイメージさせるスーツケースや、父の日のカード、焼菓子の詰め合わせのギフトボックスなどが並べられたその空間は、なかなかいい感じだ。ふうむ、なるほどと感心していると、同行したスタッフ・Tが解説を始める。「今回は父の日なので、わりあいシックにまとまっています。ゴールデンウィークころには、こいのぼりなどのもっと賑やかな飾りつけで、子どもの日気分を盛り上げていましたし、4月初めは入学式のイメージで桜がたくさん飾ってありましたよ」…あんたって、マジに毎月ここ見にきてるの? とTの顔をまじまじとながめてしまった。「毎月って決めているわけじゃないですけど、今、どんなディスプレイかな、と気になって立ち寄ることはありますよ」とT。うーん、それって立派なウォッチャーだわ、やるね!


●お子さま、大歓迎! の遊べるスペースにも感激!

 今はシックにまとまっているという入口を通り過ぎると、すぐ左手にレンガ造りの暖炉があった。いや、暖炉ではない。暖炉のような造りの小部屋で、なんと中にはおままごと道具などもあり、子どもが中に入って遊べるようになっているのだ。女の子ならきっと大喜び間違いなしだが、うちの男の子でもやはりこれには目をキラリンと輝かせた。「はいはい、どうぞ入って思う存分遊んでくださいな〜」と靴を脱がせて、私は子どもから解放され、しっかり店内を見て回れることになった。
 この店は天井が高く、梁が見えるような造りになっているが、この梁の部分にはクリスマスの飾りつけがされている。おなじみのひいらぎやサンタクロースなど、小物がディスプレイされている。6月なのになぜクリスマス? と思ったが、店の名前が「PERE NOEL(ペール・ノエル)」だと思い出して納得! 「ノエル=クリスマス」なんだね。「そうなんです。クリスマスの飾りだけは年中無休なんですよ、この店。だからこそ季節感がなくならないように、その他の季節の飾りつけに力を入れているんじゃないかと思うんですよね」と語るT。

 今回は、父の日ということで比較的シックで地味目な飾りつけだったが、Tの証言によると、ハロウィンのときなどはもう、おもちゃ箱をひっくり返したような賑やかな飾りつけだったのだという。春は店内がピンク一色に染まったように見えるくらい「春らしさ全開!」だったし、子どもの日の前は子どもが喜びそうな飾りがあちこちにあったのだそうだ。Tいわく「大人もさることながら子どももこの店の飾りが、今度はどうなっているか楽しみで仕方ないんですよ。絶対についてきますもん」と。
 そういえば、この子どもが遊べるスペース以外にも、自分で描いた絵を焼菓子のギフトボックスにしてくれるというサービスもやっている。これ、子どもが喜びそうだし、もらったほう(親や祖父母など)も感激するに違いない。ショーケースの中のケーキも、とても見た目が美しいし、子どもにとってこの店はきっと、おとぎの国のように映るのではないか。ケーキは値段も手ごろで味も上々。しかし、なんと言っても「このホスピタリティーにあふれた店造りのファンだ」という人も多いだろうな、と思った。


●ディスプレイだけじゃない。厚遇サービスも満点!

 家で食べてみようと、いくつかのケーキを買ったところ、なんと店員さんが店の出口までケーキの箱をもって見送ってくれた。驚く私に、「ふふふ。これいつもなんですよ」と得意顔のT。すごいじゃん!!! セレブ気分じゃん。うーん、これは父の日が終わったら、どんなディスプレイに変わっているか絶対に見にきちゃうからね。
 「店員さんに聞いてみたんですが、ここのディスプレイは、本店から宣材などが支給されるのではなく、店でケーキを作っているパティシエやスタッフが工夫して、自発的にやっているんだそうです。けっこう労力もお金もかかっているみたいですよ」と、うんちくを語るT。そこまで取材済とは! そうか、パティシエがね…だったらセンスもいいはずだよね、ケーキもキレイだったもの。

 微風〜Vifuといい、このPERE NOEL(ペール・ノエル)といい、「次に行ったときはどうなっているかな?」という気持ちにさせる店には、やはりもう一度行ってみたい、また行ってみたいと思わせるものがある。
 そして、ケーキを持って出口まで見送ってくれるPERE NOEL(ペール・ノエル)。果物の木の話をていねいにしてくれる微風〜Vifu。どちらも「店に来てくれたお客さまを大切にしたい」という気持ちの伝わってくるサービスが徹底されているとこも心にくい。見習うべきところ大! である。


≪画像提供≫
ニナのケーキワールド
http://cake-cake.net/

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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