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連載コラム

第43回「一日で地球半周? 異国にタイムトリップ。 現実を離れて、たまにはこんなのもいいかも!」

[ 2007年7月5日 ]

●町田には海外の雰囲気が楽しめるレストランがあるって本当?
 会社も家庭も懸命にこなしているが、でも最近はちょっとお疲れモード。これでも学生時代は旅行が趣味だったんだけどなあ。ヨーロッパでしょ、アメリカでしょ、アジアでしょ…。その土地の雰囲気や、どこからか聞こえてくる音楽の旋律が好きなんだなあ。最近はさっぱり行かれまへ〜ん…などと、ボヤいていたら「しゃちょー、町田にいいとこありまっせ」「それどこだあ〜! 連れてって」と早速くりだすことに。

 多摩センターから約20分、“西の歌舞伎町”とも呼ばれる町田には、なんと4,800人もの外国人登録者がいるのだとか(2007年5月現在、町田市ホームページより)。つまり市民の100人に一人が外国人なんだって。そういえば以前買い物に行ったとき、すれ違う人たちが国際色豊かだなあと感じたことがあったっけ。だから本場の雰囲気が味わえるレストランが多いのかも。でも、それって日本にいながら海外の雰囲気味わえるってこと!?


●木が持つぬくもりに魅せられて「マイペンライ」

 小田急線とJR横浜線が乗り合わせる町田駅を降りると、さすが繁華街と呼ばれるだけあるわね。まわりの人たちの歩調にあわせると、なぜだかいつもより早足になる。
 1分ほど歩いた裏通りにあるビル奥の目立たない階段を登ると、まっ赤に金文字で「タイレストラン マイペンライ」と書かれた看板を発見。衝撃的な看板の横には「サワディーカー(こんにちは)」と手をあわせた木彫りの女性人形もお出迎え。なんだか駅前の騒がしさと違って、南国の風情漂う静かな雰囲気なのだ。すぐそこが駅だなんて信じられない。

 タイの音楽が静かに流れる中、扉をそっと開けてみると、壁にさまざまなレリーフが貼ってあるのが見えた。一枚の木の板を使い花柄や神話に登場する猿や天使などが丁寧に彫りこまれたものや、ひとつひとつ金糸で刺繍されたものまで…。細部まで手の込んだ、みごとな“芸術作品”の数々にびっくり。「すごーい!」って思わずみとれてしまった。

 象が描かれたテーブルや長いすは「タイから輸入したんですか?」と聞いてみたら、なんと木彫りで有名な村からレリーフだけを買ってきて、タイ人店長さん自らが日本で加工したらしい。こんなオリジナルインテリア、いいなあ。
 この店のほっとするような雰囲気はどこからくるのかと思っていたら、木の持つあたたかみだと気がついた。「木が持っている雰囲気を大切にしたいんです」と、思いを語るタイ人店長さん。木には心を癒す効果があるのね。

 ふと見上げると天井からは、ブッダが描かれている柔らかいバティックが、照明の光を遮るようにさげられていた。なるほど、こうするとテーブルに直接ライトがあたるよりも、間接照明の役割を果たし優しい光になるのか。日本ではあまりみることがない、スズを彫った象のナフキン入れもオシャレだ。
 タイは仏教の国だから、仏に対する信仰が厚いという話を聞いたことがある。王様への忠誠心も深い。だから額に入れられている王様の写真や横たわった仏像などのインテリアも、自然とこの雰囲気に溶け込んでいる。その国の暮らしや思想を反映するものが飾られていると、本当に旅をしているような感じがするなあ。

 


●思わず入ってみたい衝動にかられる隠れ家 「KoreanDining & Bar 竈〜アグンイ〜」

 次に向かったのは、駅からなんと20歩のところにある韓国料理店。昔ながらの商店街の中に突如現れる巨大な壁!! 「なにこれ? 本当にお店なの? 巨大なレリーフじゃないの???」
 なんとその壁にはグレーと白とエンジ色の扇をかたどった石膏が、一面に埋め込まれていた。片すみに深緑のような煙突が一本、空に向かってニョキニョキと伸びている。このとりあわせは一体なんだ? 今までみたことのない店構え。韓国の隠れ家? もしかして内装もこのノリ? これは、すぐにでも入ってみたくなったぞ!

 お店の名は“アグンイ”。韓国語で“かまど”という意味だそう。外壁に貼られているのは、日本でいう瓦のようなお城の城壁“ギワチャン”をマネしているらしい。ニョキニョキ伸びている煙突は、店名の“かまど”からイメージして作ったとか。なるほど、そういう意味があったのか。重い木の扉の中は、鮮やかな色の店構えとはうってかわって、スタイリッシュでオシャレな雰囲気。「ずいぶん外観と雰囲気が違いますね」と韓国人店長に聞くと、「隠れ家をイメージしていますからね」という答え。やっぱり隠れ家か。でも女性って表と裏のギャップになぜか魅力を感じるよね。1階はカウンターとテーブル席、2階には個室があるから、みんなでワイワイしてもいいし、一人で、ふらっとでも入りやすそう。実際にお祭りで使用するお面が壁に飾ってあったり、韓国の国旗の色をイメージしたランプが天井からぶらさがっていたり、ところどころに置かれている韓国雑貨が、でしゃばりすぎずにまわりに調和し、まるで韓国の友だちの家にお邪魔したときのような安堵感。

 

 カウンター越しに見えるお皿は、すべてまっ白。長いお箸やスプーンもシルバー色が使われ、ずいぶんシンプルな色遣いばかりの食器を使っているのねと思っていたら、運ばれてきたお料理をみて納得。そうかこの色調はどれも唐辛子の赤色を引き立てるために計算されていたことだったんだ。
 天井からつるされたプロジェクターから白い壁に映し出されていたのは“チャングムの誓い”。いつのまにか韓国映画にみとれ、一人ヒロインになりきっていた…。こんな落ち着いた雰囲気なら、ついつい長居しちゃいそうだ。


●浮かび上がる絵画のようなイングリッシュパブ「トラファルガー」

 最後に選んだのは、東急ハンズそばのビルの地下を降りたところにあるイングリッシュパブ。狭い階段のまわりにはイギリスの国旗や王室御用達のエンブレムが、どーんと飾られている。階段の下に入り口があるのはわかるんだけど、店の明かりが暗いから、その先がどうなっているのか想像もつかない。まるで異次元の入り口にたたずんで、すーっと吸い込まれちゃいそうな感じなのだ。でもこういうのってなんかドキドキ、ワクワクしちゃうぞ。

 おそるおそる店の中へ。43インチのワイドスクリーンがイングランドプレミアリーグを流し、ピンボールやスロットマシーン、エレクトリックダーツがチカチカとあたりを照らす。フルハムFCやアーソナルのフラッグ、イギリスビールのラベルやコースターなどが、ビートルズがエッジングされた額とともにライトアップされている。うわっ! 店全体がまるで一枚の絵画のよう。床と腰壁が濃い茶色なので、浮かび上がってくるように見えるのだ。

 

 店内の奥に、一段高くなっているところを発見。店長に聞いてみたら、たまに行われるクラブイベントの踊り場やバグパイプ演奏のステージとして活用するんですって。こんなに近かったら出演者との一体感が楽しめていいだろうな。
 「珍しい『よなよなリアルエール』が飲めるって通の間じゃ評判なんですよ」と常連さんから聞き、迷わず『よなよな』を注文。お店の雰囲気と味が揃っているのも、店を選ぶ重要なポイントの一つ。視覚や聴覚、そして味わいなどを五感で楽しめたら、そりゃもう最高でしょ!


●うーん満喫。一日にして地球半周しちゃったみたいね

 どの店も繁華街で有名な町田駅のそばだけど、特に目立つ場所にあるわけじゃない。でも一歩中に入るとここは本当に日本? とタイムトリップしてきたような錯覚が。こんなふうに一瞬で異国に行けたら最高よね。あーっ、だれかにそっと教えてあげたい。この思いを共感したい! こうやって友だちに「くちコミ」したくなるお店が、もしかしたら人気店になる一番の条件なのかもね。

 人の心にそれとなく“ストーリー”を感じさせてくれるお店っていいな。今日はどの国に行こうかなんて、考えただけ楽しくなっちゃうもの。そこに行くだけで、夢がかなうなんてすてき! こんなに近かったらいつでも行くことができるしね。なんだか学生時代に戻ったみたいで元気がでてきた! よし、明日からまたがんばるぞ!

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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