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連載コラム

第44回「家電ショップの対抗合戦、どこを選ぶ?なにが魅力?」

[ 2007年8月6日 ]

 近所で家電ショップがオープンすると、主婦の間でも話題になる。プレ・オープンなんて日には、来店プレゼント品や特売品、目玉商品が目的で列を成しちゃうことも。店側も、マイクや拡声器を使って「いらっしゃいませぇ!」って元気モードだから、なんだかこちらもつられてワクワクしちゃうんだな。ライバル店同士での対抗合戦の行方も気になるところ。それに、大型店だけでなく、街のデンキ屋さんもかなり頑張ってるらしい、というウワサも耳にした。これは自分の目で確認しておかねばね。‥‥というわけで、今回は家電ショップをリサーチしてみた。

●駅前店舗型の家電ショップは、活気むんむん

 新宿駅界隈には家電ショップもたくさんあるけど、まずは「ビックカメラ」に行ってみた。新宿西口と東口の二ヶ所。いずれも駅から直結しているから、通勤やショッピングで駅を利用する人にはふらりと立ち寄りやすい。大雨の日にも濡れることなく、快適に買い物を楽しめる。土曜の午後は、人・人・人! マイクや拡声器を使っての呼び込みの声で賑々しかった。「いらっしゃいませ〜」の元気いっぱいな声に圧倒される。ビークビックビックビックカメラ、の音楽も景気よく流れていて、熱気むんむん、活気がある。店独自の冊子が置いてあり、「省エネ・エアコンカタログ」に目がとまった。エアコン選びのポイントがまとめられている。なるほど、これは比較しやすい! 商品について質問をすると、ぴょんぴょんと跳ねるようにやってきた元気な販売員。右腕に緑色の腕章を付けている販売員は、専門知識が豊富で頼もしい。面白いな、と思ったのは「まとめ買いアドバイザー」がいる、ってこと。「まとめ買いカウンター」があって、「まとめ買い記入用紙」に必要な商品をチェックして持っていくと、アドバイザーが案内してくれる。必要な電化製品と予算を伝えると、ニーズに合う商品を案内し、トータル・コーディネートしてくれるって。これから新生活って人にはありがたいサービスだね。息子がいつか一人暮らしを始めるって時には利用させたいな。記入用紙の裏側には、セッティング標準工事一覧も載っていた。たしかに、エアコンだって設置場所によって必要な工事費が異なってくるよね。あらかじめ、本体価格以外の諸経費の目安がわかれば、予算も立てやすいしね。家電リサイクル回収代金の目安も参考になるなぁ。

 同様のサービスは、「ヨドバシカメラ」でも行っていた。「まとめて安心・お買い物記入シート」という名称で、記入用のシートもほとんど同じスタイル。工事費、お支払方法、ポイント還元の表示方法もほぼ一緒。さすが、ライバル店同士、お互いに工夫をこらしている様子がありありと伝わってくるな。ちなみに、ヨドバシもビックカメラ同様、専門的な商品知識に富む販売員がいて、質問すると、かなり丁寧に説明をしてくれる。ヨドバシの場合は、「マルチメディア館」「カメラ総合館」「ゲーム・ホビー館」「時計総合館」というように部門別に分かれている。雨の日の利用はちょっと不便を感じるけど、新宿西口のヨドバシの店舗は、秋葉原の電気街にも通じるわくわく感がある。どの館で何が買えるのか熟知しているらしき常連客や、平日の場合は昼休みに立ち寄っている風のサラリーマンの姿も多く見られる。とくにゲーム・ホビー館はいつも人がいっぱいだ。昨年末、プレステ3の販売前も凄かったなぁ。「発売まで、あと○日!」とカウントダウン表示とデモストレーションに群がる男たち!って光景を思い出してしまった。

 次に、「さくらや」に行ってみた。目にとまったのは、「デジタル家電・電話相談室24」というサービス。24時間いつでも相談ができるそうだ。たしかに、購入したパソコン、液晶・プラズマテレビ、DVDなどの取扱いで、わからないことやトラブルがあったときに、メーカーに問い合わせをしても、なかなか電話が通じなくて困っちゃう!ってこと、あるよね。そんなイライラを解消してくれるわけだ。夜中にパソコンしていて、いきなり立ち上がらなくなった、なんて経験もあるから、24時間いつでも対応してくれるのはスゴイ!ありがたいと思った。


●郊外店舗型の家電ショップは、アフターサービス重視か

 郊外型の家電ショップはどうだろう。ちょっと前のことだけど、「ケーズデンキ・多摩ニュータウン店」のすぐそばに「ヤマダ電機・New八王子別所店」がオープンした時にも凄かった。ケーズデンキの入り口には赤枠の張り紙。「他店オープン 徹底対抗いたします *万が一、他店価格より高い商品がございましたら、係員までお気軽にご相談ください」だって。「現金値引き!」が売りのケーズはポイント還元のヤマダに対抗して、赤に黄色文字の目立つ張り紙でドドーンと、「ケーズデンキならその場でお得!」と告知していた。ちょうど購入検討中の電化製品があったのでいろいろ訊ねてみたら、どこの店に対抗とは明確には言わないものの、「他店をご覧いただいて、その価格がウチよりも安ければお値引きいたしますので、メモしていらしてください」とのこと。新設店の動きを見ながら、現金値引きの“安さ”と元祖・長期無料保証で対抗していく様子。店内では「ゆめゆめはっぴ、いつでも安い‥‥ケーズデンキは安い♪」の音楽がひっきりなしに流れていて、気づいたら私も一緒に口ずさんでいた。

 


 次に「ヤマダ電機」に行ってみた。ヤマダにもやはり、他店を意識した張り紙が入り口にドーン。「他店を見てからご来店ください」の張り紙がいたるところに張ってある。明るい店内、売り場面積が広い。ヤマダもやはり、店内で「やまーだまーだまだ安いんだー、ヤマダの安さはハンパじゃないよ♪」とオリジナル曲を流していた。一緒になって歌いながらスキップしている幼児も。ゲーム機やゲームソフト、玩具なども充実しているから、親子連れの客も多かった。キッズが遊べるスペースも用意されているのも粋なサービス。本や雑誌も販売している。ヤマダで本が買えるんだね、知らなかった。面白いな、と思ったのは、店員のユニホームの色や名札で役割分担している、っていうこと。黄色の法被姿の販売スタッフ、「セールススタッフ」「スーパーアドバイザー」「研修社員」などの肩書き付きの名札や「親切係」のバッチをつけているスタッフも。これなら、商品のことを詳しく知りたい、って時に声がかけやすい。親切係さんに向かって、「いろいろありがとうございます」なんて丁重に頭を下げているおばあちゃんも見かけた。

 「ノジマ」にも行ってみた。家電ショップというと「赤」のイメージの店が多いのに比べて、青が基調のノジマは落ち着いた印象がある。接客も同様。「モバのじ」というポイントが貯まる携帯サイトのサービスも行っている。さっそく登録してみた。携帯でしか買えない特売情報が続々届き、ポイントもすぐにたまっていく。ノジマのポイントカードに交換も可能だって。家電ショップに限らず、最近、携帯で特売情報を流すお店が増えているけど、これで固定客、固定ファンも広がっていくんじゃないかな。八王子・みなみ野店では「パソコン市民講座」を併設していた。パソコン教室を利用した生徒は、その店の固定客になる確率が高いよね。同様のサービスは「ヤマダ」や「ケーズ」でも行っていたけど、質の高い方に客が流れるだろうから、店員の商品知識、対応力、アフターケアも大事。価格競争だけでなく、こういう部分でも大いに競ってほしいもの。


 そうそう、キャリア・マムの会員からこんな声が届いた。とある大型家電ショップを利用した時、探し物が見つからず、ひとまず近くにいた店員さんに訊ねたそうな。すると、「自分は派遣なんで、わからないです」と言われてしまったって。派遣社員は、売り場のどこに何が陳列されているかわからなくてもOKなのか!探す努力もせず、自分がわからないなら、正社員に確認してくる知恵もないのか?って、私も首をひねってしまった。最近、こういうプロ意識のないのが増えているようだけど、派遣の教育までは手が回らないってことなのかなぁ‥‥。


●街の電気屋さんならではの、きめ細かいサービス!

 最近は大型家電ショップにすっかり押されて、細々と営業しているのかな?という感のある「街の電気屋さん」。でもそんな中、「日本一」でマスコミにも取り上げられている店がある、というウワサを聞いた。さっそく行ってみた。

 「でんかのヤマグチ」は町田駅・古渕駅からバスで15分、町田街道沿いにある。店構えは庶民的な、いかにも「街の電気屋さん」という感じ。店頭には、家電品だけでなく、甘栗や禁煙飴、健康食品などや雑貨も置いてあったりして、なんともアットホームな雰囲気。家電品は一通り置いてあるが、大型テレビの売り場面積が広めに感じた。実はこのお店、ハイビジョンテレビの販売が、ナショナルショップで日本一なのだそうな。ちょうど、ハイビジョンクイズ「9,300台販売達成は何月何日?」の応募箱があったので、投票しようかと見ていたら、後ろからナイスなタイミングで声をかけられた。販売台数に関するヒントが欲しい、といろいろ訊ねてみたら、「ボーナス期に関係なく、コンスタントに毎日、数台ずつ売れているんですよ」とのお返事。その後、ハイビジョンテレビの魅力を語ってくれた。実はその「祭」の法被を着て話しかけてきた販売員が社長さんだとあとから知ったのだが、一見すると、人がよさそうで優しそうなお父さんといった風貌で、あったかいのだ。ほかの販売員も同様。客の要望をうまく引き出すことができる“聞き上手”で、商品知識もばっちりだから、安心していろいろ相談できる。帰りもわざわざ、店の外までお見送りしてくれるほどの丁寧な接客ぶりだった。ヤマグチ安心会員になると特典があり、楽しいイベントの案内も来るのだとか。ちょうどこの日も「創業祭」で、招待状の「ケーキ引換券」を持ってくるとチーズケーキをプレゼントといった具合。ヤマグチの日本一はもうひとつ、「日本一親切で約束を守る店」ということだそうで、単なる価格競争ではなく、客の立場に立ったきめ細やかなサービスを行っていること、なんだって。店のマークのアリさんは、働き者のシンボルなのかな。「でんかのヤマグチはトンデ行きます!!」がモットーの近所にある電気屋さん、昔はそういう電気屋さんとの付き合いってあったよね、と妙になつかしくなってしまった。


 今回、いろんな家電ショップを渡り歩き、販売員と話をして感じたのは、決して値段だけじゃない、安いが一番じゃないよな、ってこと。わくわくするような店の雰囲気、サービス・イベントなどの仕掛けがあったり、販売員との会話に心が弾んだり。商品カタログには載っていないような情報や使い方、省エネ・節エネ対策のポイントを教えてもらえたりすると、ググッと惹かれる。「ここだけの話ですけどね・・・」で始まり、流通のからくりを教えてくれた店もあったけど、販売員に親しみを感じて、心だけでなく財布も開いちゃったりして、ね。あらためて、“商い”の面白さを実感できたウォッチングだった。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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