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連載コラム

第45回「エコ? それともメタボ対策? 今、相模大野の自転車屋がなぜか熱い!」

[ 2007年8月23日 ]

●風をきって走るのって気持ちいい!
 スポーツって最高! でも忙しい現代人は、なかなか運動する時間がとれないのだ。私もしかり。ビリー隊長のところへの入隊も考えたんだけど、きつくって4巻は続かなーい。「毎日、気軽にできるスポーツってないものなのかしらねえ…」なんて考えていた私のそばを、視界にさえ止まらぬ早さで風のごとく何かが横切ったのだ。今のはなんだ? うわっ、競技用の自転車! そうか、自転車なら買い物や子どもの送り迎えに使う程度だから、毎日ムリなく続けられそう。いつもはママチャリで、のんびり走っている派の私だけど、走りを意識してペダルを漕ぐ速度をあげれば、かなりの汗が吹き出してきそう。
 かつては「え〜っ、自転車? 車のほうがいいな」なんて思っていたけれど、今、サイクリングは空前の一大ブームになっているそうだ。とくに16号沿いの相模大野あたりは、たかだか半径300メートルの間に自転車屋が6軒も集中していると聞き、さっそくウォッチしてみることにした。


●まるでオシャレなブティック感覚 「ちばサイクル」

 相模女子大学の前を通りかかると、一面ガラス張りになっている、きれいなお店を発見。新しいブティック? それともレストラン? いやまてよ、よく見るとオシャレな自転車が吊り下げられている。そうか、自転車屋だ! これだけでも外からのインパクトはかなり大だね。

 ここは、昨年12月にオープンしたばかりの「ちばサイクル」。世界でも有名なスポーツサイクルのメーカー「トレック」を扱うことのできる、日本に5件(07年8月現在)しかないアンテナショップだ。自転車からウエアまで、ワンブランドに絞っているためか、色や柄、デザインが店内の雰囲気と一致し、統一性のある雰囲気をかもしだしている。
 9つに区切られた飾り棚に、ちっちゃなペダルのパーツが贅沢に1つずつ置かれ、道行く人が興味深そうにのぞきこんでいた。天井のスポットライトが、流れるようなフォルムのバイクを照らしだし、オレンジの間接照明は壁面に飾られたウエアを引き立てる。これは、ごちゃごちゃと並べるよりも、空間を上手に使い、広がりを見せる上級レイアウトの手法だ。

 ひときわ目をひくのは、両壁に設置された天井まで届くような大きな姿見。スポーツバイクにまたがる自分の姿が大きく映し出され、ついうっとり…なんて、自転車をこよなく愛する人たちへの、こんな心づかいが憎いなあ。ところどころの支柱にはめこまれている鏡も、ウエアやヘルメットなどの小物を選ぶときには便利そうだ。それに、有線から流れる静かなボサノバ、照明や空間や鏡をも効果的に使っていて、まるでショールームのようだ。
 47型の大画面に写し出されているツール・ド・フランスのDVDや、シックな茶のベンチテーブルは、修理を待つ間や相談時に活用されているのだろう。ブティック感覚にし、スポーツバイクというと敬遠しがちな初心者や女性も、親しみを持てるような店作りをしている。これなら「ママチャリしか乗ってないけど」なイケてない私でも、充分に雰囲気を楽しめるってものだ。


●まるで自転車のデパートメントストア 「イトイサイクル自転車総合館」

 「イトイサイクル」は“ここにくればなんでも揃う”というほど、地元では知られている老舗だ。伊勢丹相模原店本館とA館を結ぶコンコースに沿って建っているので、伊勢丹に買い物に来たお客さんが必ず通る、最高の集客条件が揃っているのだ。コンコースからの入り口は3階で、1階の入り口は行幸道路からも入ることができる。お買い物ついでに店先にずらっと並ぶ自転車を物色、なんてことができちゃうのがうれしい。
 1階はファミリー車や子ども用、2階はスポーツ(マウンテンバイク、BMX)3階はロードレーサーなどの世界のパーツ、4階はシティーサイクルと種類ごとに階がわかれており、多種多様な要望に応えてくれそうだ。さすが総合館というだけあるなあ。店の奥に設置されているエレベーターで階を行き来できるなんて、まるで自転車専門のデパートメントストアみたいだ。

 

 ロードレーサーなどのパーツが置かれている3階は、他の階とはちょっと雰囲気が違う。来ているお客さんも心なしか男性客が多いように感じた。本体やギア、サドルから靴、手袋に至るまで、かなり本格的なパーツが揃い、それを自分仕様に組み立てて買っていくようだ。天井からたくさんのチェーンをたらし、本体をのれんのように吊して展示していた。
 あまり広くない店内だけに、展示方法には工夫の跡がうかがえる。4階に置いてあるシティーサイクルは、前かごが大きいので、かなり場所をとるのだが、緑の人工芝の上に同じ向きに整列しているせいか、以外とすっきりして見えた。特筆すべきは、はりめぐらされた網棚! 網棚に自転車がひっかけられ、壁一面を覆っているのだ。これって、台所でカトラリーを収納しているみたいで、主婦にとっても親近感を感じるよね。また、ところどころに縦の収納もあり、狭い家を有効に活用している。これも、私たち主婦が最も得意としている展示方法じゃない。なかなかいけるぞ。


●開放感が気持ちいい「サイクルスポット相模大野店」

 伊勢丹の斜め前、行幸道路沿いに去年オープンしたばかりの「サイクルスポット」は、大きな赤と黄色の看板が目立つ明るい雰囲気のお店だ。高い天井に取り付けられた、たくさんの白い室内灯が、店全体をパッと明るく照らしていた。オープンドアなので店内と歩道が一体化され、歩道を歩いていたらついふらっと入ってしまった…そんな感じだ。この明るさ、親しみやすさを感じるこの雰囲気、どっかで見たような気がするんだけど…あっ、街のドラッグストアの風景だ!

 

 ふと上を見上げたら、驚くことに高い天井から自転車がいっぱい吊されていた。危ないのでアルミ製の軽いものや、子ども用のものしか吊さないらしいけれど、なんだかサーカスの曲芸を見ているようで楽しくなってしまった。特に子ども用は色鮮やかなものが多いから、空中遊泳をしているように見えて、ついみとれてしまった。

 置いてある自転車はシティーサイクルなど、比較的いつもお世話になっているものが多い。店先に置いてある電動自転車を、そのまま歩道で試すことだってできる。また、乗ってきた自転車を歩道から店にすんなり持ち込める気軽さや、「空気入れ無料」と大きく書かれた店先の看板からも、この店の親しみやすさを感じる。何でも相談にのってくれそうな“普段着感覚”の、明るく健康的なイメージの店だった。


●自転車天国、16号沿い相模大野駅周辺

 しかし、なぜ東京と神奈川の県境でもあり、国境16号沿いの相模大野駅周辺に、こんなに自転車屋が密集しているのだろう? 不思議に思って、ちょっと調べてみたら、どうやら相模原市が17年度に「国土交通省環境行動計画モデル事業実施地域(※1)」として選定されたこと、学校が多いために駐輪場が完備されていること、街中を走る道路がいつも渋滞しているので自転車のほうが便利なこと、坂が少ないことなどが影響しているようだった。
 これだけ、さまざまな種類の自転車ショップが歩ける範囲に揃っていれば、客にとってはあちこち探す手間が省け買いやすい。もしかしたら、これからの相模大野周辺は、バイク屋がたくさん集まって相乗効果を生んでいる、上野御徒町のバイク街のように発展するかもしれないぞ。

 健康にもメタボ対策にもなるから車はやめて、私もちょっとがんばって、毎日ママチャリで汗を流してみることにするか。環境にも優しいってことは、子どもたちの未来にも優しいってことだしね!

(※1)参考サイト
http://www.thr.mlit.go.jp/bumon/b00097/k00360/kankyoukoudoukeikaku/kankyou_h17.pdf

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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