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連載コラム

第47回「自分でやるのがいいみたい。セルフ方式でプチ店員気分!」

[ 2007年11月14日 ]

 国内ではまだ、それほど馴染みのない「セルフレジ」。でもここ最近、「イオン」「カインズホーム」の店舗を中心に、導入しているスーパーやホームセンターが増えつつあるようだ。海外出張の多いサラリーマンは「セルフなんて別に海外じゃ珍しくないよ。日本では、まだあまり採用されていないだけさ」と言うけど、ここのところ、客自らが清算する“セルフ方式”は、日本人の生活にもジワジワと浸透してきているようなのだ。「便利なの? 早くて快適なの? これはやはり体験してみないとね!」というわけで、セルフレジを導入してまもない、カインズホーム・町田多摩境店に出かけてみた。

●初体験! 慣れれば簡単? ルールを覚えないとね

 セルフレジは4台。まだ導入5日目ということで、セルフだというのになぜか、店員がしっかりと4人もレジ付近を取り囲むように待機していた。「最初は客も慣れてないから仕方がないか」と思いつつ、並んでみる。すると、すかさず店員が操作方法の説明をしに寄ってきた。商品のバーコードを読み取り機(スキャナー)にかざすとピピッと反応し、前のパネルに商品名と金額が表示された。おお! これでOKなのね。簡単だ。なんだか、プチ店員になった気分だぞ。

 続いて、同じ商品を2個購入したので、再度、読み取り機にかざそうとしたら、店員から「バーコードを通したら、こちらの袋に入れてくださいね」と注意された。同じ商品2個なら2のボタンを押せばOK! だと簡単でいいのに…と思いながら横を見ると、すでにお店のレジ袋がセットされていた。この中に入れる、ってことらしい。って、持参したマイバックは使えないんかい? と質問したかったけど、後ろに人も待っていたし、そのまま続ける。

 いくつか商品を入れていくうちに、やっと理解できた。このセルフレジは、清算前と清算後の商品の重さで検知するシステムだということなのだ。読み取った商品は即、清算後の袋に入れていかないと、次の商品を読み取ることができない。商品によっては「あれ? バーコード、どこ?」と探さなくてはならないものもあるし、店員さんみたいに両手を使って、さっさとスピーディにピッピッピッと読み取っていきたかったけど、最初からは無理か。でも、何回も使えばじきに慣れるよね。

 もう一つ戸惑ったことがあった。実は、食洗機用の洗剤コーナーで展示販売をしていて、試供品のおまけをもらったのだけど、これはどうするのさ? ってこと。店員が「あ、それは後から袋に入れていただければよいので…」と言ってくれたのだけど、今後、店員の助けなしのセルフで行うときには、ちょっと気まずいかも、と思った。このオープンな空間のセルフレジで、ズルをする人は滅多にいないだろうけど、小心者は袋詰めのあとで手に試供品をひらひらさせながら、「これは試供品だからいいのよね〜」なんてまわりの人にも聞こえるような独り言を言ってしまいそうだ。これからは試供品をもらったらカゴには入れずに、その場でマイバックにしまおうっと。

 セルフレジの利用には、「10点以内の買い物で」「割引商品は除外」「量り売りは除外」などの注意点があった。購入点数が多くなると、有人レジより時間がかかってしまうし、割引シールを機械は認知してくれないのかな? まとめ買いをする人や割引好きの主婦には、セルフレジは向かないように思えてきたぞ。


●さらに進化したセルフレジが、カワチにあった!

 その後、多摩ニュータウン内のカワチ薬品にもセルフレジが導入されて、私の疑問や戸惑いは解消した。買い物の点数はとくに制限なし。割引の場合、お店側独自のバーコードをかざせばOK! とセルフレジも進化していた。

 会計は現金の場合、自動販売機と一緒だから、とても簡単。スムーズにできる。カインズの場合、クレジットカードを利用すると店員がやってきて、確認の上、サインを要求される。でも、カワチの場合、カード払いでもサインレスでOK、領収書も発行された。

 こんなに簡単にクレジットカードを利用できるとなると、自分のカードを紛失したときに不正利用されたら? と心配する人もいるかもしれないけど、店内には監視カメラもあるし、逆に安心かもしれない。カインズの場合、通常のレジだと「Edyカード」や「商品券」も使えるので、ゆくゆくは、セルフで電子マネーや商品券が使えるようになると、もっと便利だなぁ、と思う。でも日々、進化しているセルフレジならきっと、利用客の多様な要望にも応えられるようになっていくんじゃないかな、と期待感も高まるのだ。

 それになんたって、セルフレジではプチ店員気分を味わえる。ウオッチング中、小さい子ども連れの客がいたのだが、「ピッピッてやりたいっ!」と目を輝かせている女の子。連れ添って一緒に商品をスキャンしている親の方もいきいきとして嬉しそうだった。ワクワク感は子どもだけのものじゃない。オトナだって妙にハマる楽しさがあるのだ。

 それともう一つ。なんとなく、店員に見られると気恥ずかしい商品ってあるよね。女性の生理用品、ダイエットフード、サプリメントなどなど。こういうのを買うときは、男性の店員を避けて並んでしまう私。セルフレジなら、そういうデリケートな気持ちにも応えてくれるわけだ。


●セルフスタンドは、いまや主婦にも常識!

 こういうセルフレジ方式、今後も増えていくんだろうか。日本でのセルフ式の導入で、パッと思い浮かぶのは「ガソリンスタンド」。これも導入当初は「え? 自分でガソリンを入れるの?」と困惑気味だったものだけど、最近は、多くの人が経験済なんじゃないか? ガソリン価格の高騰もあるのだろう。数円でも安いガソリンを、と思ったら、やっぱりセルフ式スタンド。やってみると、そんなに操作も難しくないし、カードで支払いができるのも便利。ガソリンスタンドで窓を拭いてもらい、ゴミを捨ててもらう心地よさより、「洗車はいかがですか?」「車検やタイヤ交換もやっていますよ〜」といった営業が苦手、わずらわしいという人が、最近増えているらしい。

 マム会員に聞いた話では、自動車教習所でも、セルフ式スタンドの使い方を教えてくれるところがあるんだって。日野市・百草園にある多摩ドライビングスクールでは、免許取得後、希望者に高速実車教習の無料サービスを行っているそうだけど、教習のラストに、セルフスタンドでガソリンの入れ方実習もしてくれるそうだ。セルフ未経験の女子大学生たちは、「へえ〜、結構、カンタンにできるものなのね!」と感心しているとか。

 そうそう、DPEショップのセルフもあるね。デジカメで撮影した画像をプリントしてもらう際、客が自分で操作して印画紙にプリントできる「セルフ端末」。画像そのままのプリントだけでなく、トリミング加工ができたり、証明写真を作成することができたりするのだ。ネット対応の携帯電話の待ち受け画面用に、画像を配信することも可能だそう。デジタル画像のDPE注文から支払いまでをセルフ操作で行えるから、他人に見せにくい・見せたくない写真もここで現像できちゃう、ってわけだね。DPEショップだけでなく、ヨドバシカメラやTSUTAYAなどにも設置されているから、買い物ついでに気軽に寄れるのもいい。セブンイレブンなどの24時間営業のコンビニにもあるから、夜中にこっそり利用する客もいたりするかもね。


●くら寿司がファミリーに人気な理由

 セルフという定義からいうと、昔からあるファミレスなどのドリンクバーもそうだ。自由に好きな飲み物を選べる。コップやカップも置いてあるから、店員の手を煩わせることもない。子どもたちも自分で好きな飲み物をチョイスできて楽しさ倍増。店側もその分の人件費をかけずにすむメリットがある。

 外食産業でおもしろい試みをしているのが「くら寿司」。ここは、「待たずに食べられる携帯予約」のシステムもあり、これもかなり好評なのだが、注文方式や会計方式にも独自の工夫がある。

 インターフォン越しで聞き取りにくいために大きな声を出したり、気難しい職人さんに気を使って注文するというわずらわしさを解消したタッチパネルでネタを選んでプッシュ、これで注文OK。また、フツーの回る寿司屋だと、食べた数だけ皿を積み上げ、会計のときまで置いておかないといけないけど、このジャマな皿を回収してくれる「皿ポケット」がカウンターに付いているのだ。ここに皿を入れると自動的に皿が回収されて、その数が目の前のパネルにデジタル表示される。この表示をみれば、支払う金額も一目瞭然。会計時に店員を呼んで、数を数えてもらう手間もない。これまた客にも店側にもメリットがある、というわけだ。

 この、清算時にお客様を待たせない「皿カウンター」というのは、特許取得のシステムだそう。マムの会員にもここの常連がいるのだけど、あの皿ポケットに入れて、「ビッくらポン!!」という、ガチャガチャがやりたいがために、無理やり「あともう1皿!」とお寿司を食べたこともあるそうな。「ビッくらポン!!」をするには、皿を入れなければならない。5枚入れればゲームモードになって、ここで当たればキャラクターグッズがもらえるのだ。子どもたちが「皿を入れるのが楽しい!」と言っていたのは、ガチャガチャがしたかったからかー。子どものハートをとらえた戦略だな。

 

 店側からすると人件費の削減、省スペース効果、客にとってはレジ待ち時間の短縮のメリットがある「セルフレジ」だが、あえて、導入の計画はない、と言っているスーパーもあるようだ。対面販売がほとんどなく、レジ以外はセルフが当たり前になっているスーパーだからこそ、最後の出口となるレジでは、お客様を直接送り出したい、笑顔で見送りたい、という気持ち、それはとてもステキなポリシーだと思う。でもその反面で、セルフレジの導入で人件費の削減ができた分、どんな質問をしても期待に応えてくれるスーパー店員とか、専門知識に長けているスタッフの養成に力を入れてくれたら…という期待もむくむくわいてきたりもする。

 セルフレジの今後の動き、目が離せそうもない。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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