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連載コラム

第49回「今年も目に舌に「魅せるディスプレイ」は、主婦のハートをわしづかみ」

[ 2008年1月8日 ]

●ディスプレイは一番の看板?! 色に動きにうっとり
 新年になり、今年もますます、いろいろなサービスや商品がお店に出てくるのだろうなあとワクワク。先日もウインドーショッピングをしながら表参道方面を歩いていたときのこと。昨年から、自分のクリスマスプレゼントの物色も兼ねてブラブラしていたときから気になっていた、あの赤い館を見つけた。おいしそうな匂いが漂ってきそうな、目に痛いほどの赤い実の連なり。そう、ここは「Berry cafe 青山本店」という旬の厳選フルーツを中心としたスイーツショップなのだ。他の地区に店舗展開をしているかどうかは定かではないが、青山本店は、1階でテイクアウト、2階でケーキを食して楽しむことができる。

 

 実際に食べられる、といえば、新宿の「クリスピー・クリーム・ドーナツ」は、いまだに長い列ができて1時間近く待たされる。ここの魅力は、飲食するスペースがあるだけでなく、実際にドーナツを作っているところが、外からもガラス越しに見ることができる、ということだ。未だに、自分で実際にドーナツを買って食べたことはないが、経験者によると、いかにも「アメリカ」のドーナツという感じで、海外暮らしが長い人には「あーなつかしい」という味だが、日本人にはちょっぴり甘みが強いかも...なんていう言葉を聞いた。


●作るプロセスが見えるから、食欲刺激されるのかも

 味がいまひとつ、ということなのに、オープンして一年経ってもあの行列は未だに衰えを見せない。(だから、悔しいことに、まだ私の口に入っていない。補足すると、私は関西出身ということもあり、誰よりも『列に並んで食べ物にありつくことが嫌い』=いらち、なのだ)まあ確かに、職人さんが一心不乱に作っているところを見せることを、集客の核にしている、と言えば、うどん・そばのたぐいから地方名産品の物産館まであり、製造工程を見せて、『できたて』感を楽しんでもらいつつ、商品を楽しんでもらったりするわけである。

 そういったものは、日本橋三越新館地下2階のバームクーヘン専門店「クラブハリエ B-studio Tokyo」にもあり、職人によって、一層一層、焼き重ね仕上げられたバームクーヘンを切り分けて販売していた。まるで丸太のような、巨大なバームクーヘンの成長過程を楽しみつつ、販売する人間がなんだかロボットのように感じられたものだ。なぜ私がこの味を知っているかといえば、私のように並ぶのが嫌いな人でもデパ地下にはカフェも併設されているので、こちらで焼きたてを味わうことができる。カフェからも作っている人、並んでいる人は見放題。何だかちょっと優越感。(もちろん、カフェが順番待ちだった場合にはがまんしなければならない)

 

 と、横道にそれてしまったが、こんなディスプレイをどっかで見たことがあったなあ、と考えてたら思い出した。地元サンリオピューロランドのお菓子のアトラクション・コーナー「ミニファクトリー&ミニプラント」で、人形たちがケーキやクッキーを作る過程を見せていた。大人が見れば子どもだましのようなものだが、ちびっこたちは男女関係なく、この機械仕掛けのアトラクションを楽しんでいた。私たちのDNAには、おいしそうなものやきれいなものを見ると、うれしくなって食べたくなったり買いたくなったりする因子が、小さいときから組み込まれているのではないか? なんて、思ってしまいたくなるぐらいだ。


●バーチャルシェフの世界で、目で食べる主婦たち

 調理しているところの手さばきを見るっていう意味では、かつてラブラブ時代に彼氏と座ったカウンターで見た、バーテンダーのシェイカーを振る手つきや、値段のないすし屋でにぎる、花板さんの包丁さばきなどを覚えている方も多いと思う。そして、主婦になった私たちは、まだまだ探究心は旺盛だ。
 そんなニーズを察して、最近はファミレスごときもオープンキッチン方式が増えているそうだ。そういや、宴会おやじと縁が切れて、すっかり遠のいていた温泉旅館の夕食でも、オープンキッチン方式という形で「温かいものは温かく、冷たいものは冷たいうちに」のコンセプトで、目でも舌でも味わうお食事処が人気だとか。シェフの包丁さばきや隠し包丁の技、パンやドーナツのこね方やデザートの盛りつけ方など、やっぱりテーブルに出る前のプロのマジックハンドを見たいものね。

 しっかし、ファミレスなんかオープンキッチンにしたら、電子レンジでチンの「オープンチン」になっちゃうんじゃないの? って、勝手に心配してるのは私だけ? 次回以降のネタとして、セルフからゴージャスに変わりゆくファミレスも、久々に取材しなくっちゃ。
 究極の魅せるディスプレイで、カップルだけでなくファミリーや主婦も集客しちゃう飲食店は、今年も要チェック。ここだと思って入ったら、おばちゃん集団がてんこ盛りで、本命の彼女から「場違いだ!」とひんしゅくをかわないように、若者のみなさま、どうぞ事前にしっかりロケハンしておいてくださいね。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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