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連載コラム

第57回「子どもがいると」なんて言わせない!? キッズスペースでファミリー集客!

[ 2008年9月2日 ]

 平日は仕事で忙殺状態な私でも、休日は子どもと一緒の時間を過ごしたい。だけど子どもがいると、出かけた先でゆっくりできない! 飽きる、疲れる。眠くなる! 食事一つとっても大問題。お店に入るときには、まず子どもが入れそうかどうか雰囲気を偵察。その後、子どもが食べられるものがあるかどうかチェック。できることならオープンスペースで、声が響かないところがいい。眠くなったときのために、ベビーカー持ち込み可ならなおよし。
 そんなこんなでやっと決めた店にいざ入ろうとしたとき、遊び飽きたおもちゃしかバッグに入ってないことに気付いてこれからの食事タイムに暗雲が立ち込める。頼む、食べる、出る! 早い話が、ゆっくりするひまなんて、ないのよね。
 だけど!!! 最近はキッズスペースが設置された店が結構あるっていうじゃない。

 ところで、キッズスペースの配色って、どうして子どものテンションを上げるんだろう。「あそこにいっていい?」目ざとく見つけてはしゃぐ子ども。「走らないで」と注意しながら内心「助かった」と胸をなでおろす私。でも、その子ども配色が、逆にオトナのテンションを下げるんだよね。「キッズスペース付き」ってやたら子どもメインな雰囲気だったりして、オンナとしてのプライドがちょっぴり傷ついたりしてさ。子どもがいるとおしゃれな店は行けないのよね、と割り切る若いママの嘆き声をよく聞く。私も同感。
 ところがどっこい、最近はおしゃれなお店も増えているってことで、最近のキッズスペース付きショップをリサーチしてみた。

やっぱり目が届く距離がいい! お店の一角にキッズスペース『タリーズコーヒー 青葉台店』

 多摩から車で行くと意外に近い、横浜のタリーズ青葉台店。お店の一番奥の一角に、キッズスペースが用意してある。店内は広いし、入ってすぐ「キッズスペースここにあり!」という感じじゃないから、いかにも子ども向けという雰囲気はナシ。
 キッズスペースにはちょっとした玩具や本が置いてあるから、近くのテーブルに座れば子どもの様子も一目瞭然。よそのお子さんとの絡みもさりげなくチェックできて、人間関係もお勉強。しかも親は座ってリラックス。無線LANだって対応してる。気付けば、PC開いてるのは私だけじゃなかった!
 ちょっとしたこの開放感が、母親にとってはホッとする瞬間なんだよね。何たってポイントは、子どもがガマンしてないこと。「待ってなさい」「静かにしなさい」って言うの、ホントに辛いもの。

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 店内中央には、コミュニティーノートなんてのがある。傍にあるマジックで、お客さんが思い思いにコメントやイラストを書いている。昔、白馬のペンションにあって盛り上がったよね、こういうの。日頃PCのキーボードばかり触っている私、手についたマジックの汚れを見てたら、ちょっぴり子どもの気持ちに近づいた気がする。これからは「もーまた手にマジック?」なんて言わないよ。それに何? タリーズの絵本が置いてある。タリーズって絵本のコンテストやってたよね。どうやら受賞作品を製本化し、販売しているようだ。今年は10月末が募集の締め切りみたい。
 ここ、無料の駐車スペースも豊富にあるから「この店に来て、ゆっくりしていきたい」と思わせる心地よさがある。駅前と違って、せわしないという言葉が全然似合わない。コミュニティーボードには「絵本の読み聞かせ会」や「コーヒースクール」なんていうイベントの告知などが貼ってある。地域も子どもも、仕事しているお父さんたちまで受け入れてくれるってことだよね。うんうん、まわりのお客さんを見てもわかるよなぁ。

大人が満足してどこが悪い? 親子でおしゃれにティータイム! 「スターバックス玉川高島屋S.C店」

 扱うものは同じだけど、キッズスペースとしてはちょっと違う。二子玉川にある玉川高島屋のスターバックス。スタバと言えば、1階にあって待ち合わせに使うお店のイメージがあるけど、ここは7階、レストラン街。「わざわざくる」スタバなんですよ。7階に上がってでも人が集まる理由は、「トドラーズラウンジ」。子どもと一緒に気軽にお茶が飲めるから。私は頼まなかったけど、キッズプレートもあるとか。

 イスやテーブルの高さも低く作られていて、ベビーカーに寝ている子どもの顔をテーブルがふさぐことがない。子どもが座ってちょうどいいイスの向かい側には、大人がくつろげるソファーが置いてある。高くて固いイスじゃない、低くて柔らかなソファー。無理なく子ども目線になれるこの空間、まさに親子の為にセッティングされた「ラウンジ」。このトドラーズラウンジのスペースだけで、小さいスタバ1店舗くらいの広さは確保されているから、座席数も余裕がありそう。お昼寝あけのちびっ子は、すぐ目の前の屋上庭園でイキイキすること間違いなし。それにトドラーズラウンジだけじゃなくて、屋上庭園に面した外の席もいいかも。

 考えてみれば、子どもができたからってやたら子どもに合わせるのも疲れるし、かといって子どもを大人の世界に引きずり込むのも無理がある。このスタバ、親と子が自然なカタチで一緒にくつろげる場所だ。いやむしろ大人の満足度が高いかも!?

全館キッズスペース!? 究極の子ども空間「ACTUS KIDS 自由が丘」

 ところ変わって自由が丘の「ACTUS KIDS」。インテリアのACTUSが出している、子どもと大人のためのライフスタイルショップ。ガラス張りの外観から見えるビビッドな店内に、私を押しのけて先に入るのはやっぱり子ども!

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 1階は雑貨や小物。子ども用の本やCD、もちろんキッズウェアも。マタニティママから赤ちゃん、トドラーまで、誰でも吸い寄せられるようなグッズばかり。大人の私が見てもワクワクするおもちゃのキッチンセットや、キッズ用の時計。親子で一緒に見ながら、手に取って商品のよさを確かめられるのだ。
 一角に子ども部屋のモデルルームみたいなキッズスペースがあった。そろそろこういう雰囲気は卒業かなと思うウチの子どもでさえ、吸い込まれるように中に入っていく。ベビーゲートがついているので、赤ちゃんだって安心。壁には丸い窓が不規則についていて、遊び心がくすぐられる。
 2階に上がるとすぐに、プレイスペース。子どもが真っ先に飛びついたのは、動物のぬいぐるみでできたソファーだ。ライオン、ゾウ、トラ、イヌやネコやサメ、色々な動物のぬいぐるみを縫い合わせて作られた、ふかふかのソファー。ママに叱られたときだって、きっとこの動物たちがなぐさめてくれるはず。あ、叱るママって私? それはさておき、跳び箱型の台や段ボールハウスなど、とにかく子どもにはたまらないものばかり置いてある。天井からぶら下がったふわふわの地球儀は、国名や魚などをくっつけて楽しめる、学びグッズ。

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 中央にあるソファーには、絵本がいくつも置いてある。「ここで読んでていいの?」と聞く子ども。勿論そのためのスペースなんだけど、本屋でもないのにゆっくり本が読める店というのが、子どもには相当新鮮だったみたい。後で知ったけど、ここはキッズライブラリーといって、会員に本の貸し出しをしてくれるサービスもあるとか。さらに土日はミルクバーと称してドリンクの無料サービスがあるらしい。ちょっと、居心地よすぎない!?
 それにしても、さすがライフスタイルショップ。子どもと大人を心地よくさせるための不思議な空間。スタイリッシュな大人向けインテリアと違和感なく馴染む子ども向けインテリアが、不自然でなく同居して、お手本のように置いてあるんだものね。こんな生活もアリなんだなって、ある意味目からウロコ。
 お店と称する場所に行くと、いつもは私か息子どちらかが「もう行こうよ」と言うんだけど、今回はどっちからもそれが出なかった。満足してた証拠かもね。

はばたけ子連れ! 世間はそれを待っている!?

 キッズスペースと聞くと、黒ずんだぬいぐるみとジャングルジムみたいなのをイメージしてたんだけど、何か所か回って、つくづく「時代は変わったんだぁ!」と思ったね。昔みたいに、子連れが小さくなって公園と家とを往復する時代じゃなくなったんだなあ。エレベーターが当然のように設置してある駅を通るたびに、汗だくで子どもを抱きかかえて階段を上ったあの頃を思い出す。ここ10年で、日本は変わった! キッズスペースだって変わった! ママたちも変わった!
 考えてみたら、キッズスペースを利用する世代の、バイタリティーある若い親たちのパワーを見逃してたら、日本はどんどん老化しちゃう。買いたいものも、行きたいところも、小さい子どもがいるからって諦めちゃいけない。小さいこの子がいるからこそ一緒に行きたい、楽しみたいって気持ちは、そのときその瞬間しかないんだよね。
 キッズスペースを見て歩いてると「少子化」なんて言葉を忘れそうだけど、お役所のアクションだけじゃ始まらないよ。こうやって、大人が子どもに、子どもが大人に無意識に歩み寄れる空間を提供するのって、先陣きってやらなきゃいけないことだよね。エイジフリーすべての世代が心地よく共存できるしくみを、そろそろ日本も本気で考えていかなきゃね、皆さん!!

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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