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連載コラム

第61回「自宅ショップは、究極の『モニターセールスショップ』だ!」

[ 2008年12月27日 ]

 年末年始は、子持ち家庭は「おもちゃ」のチラシが気になる季節だ。スーパーやトイザらスなどのチラシも、子供が見るテレビ番組にも、ここぞとばかり照準を合わせてきた新作おもちゃが勢ぞろい!
 でも、よく見ると、みんなDS、Wii、PSPなどなど、画面でピコピコか、お子ちゃま番組の○○ムーンや、××レンジャーの合体セットや人形シリーズなどなど...。なんかこう、贈った人のセンスが感じられて、心温まるおもちゃってないのかしらね、とぼやいていた私。そしたらなんと、「木のおもちゃ」を専門で扱っていて、かつ、自宅でショップをやっている、という女性に遭遇! こりゃあ行くしかない、と、さっそくクリスマスのピークシーズンにお邪魔することにした。

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自宅ショップだからこそ、本物のアットホームなやすらぎを

 最寄りの駅からはバス利用になるが、駅から車で走ること15分足らず。閑静な住宅街の中に、そのショップはあった。っていうか、ここ、普通の一軒家なんだけど...。でも、ちゃーんと表には「チッタ」の看板。それに、クリスマスリースの玄関ドアまで私をいざなうWELCOMEボードと箱庭ロード。いわゆるゴテゴテしたクリスマス商戦のディスプレイを見慣れた身には、目にも優しいアットホームなエントランス。あ、そうか、自宅だから、アットホームなのも当たり前か。

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 で、普通に自宅の玄関を入ってすぐの部屋が、横尾オーナーいわく、いわゆる「お店」エリア。日当たりの良い部屋の四方に、普通のおもちゃ屋さんではなかなかお目にかかれないようなカラフルな木のおもちゃから、ちょっとしぶい寄木細工の日本のこま、白木のかわいい赤ちゃん用のおもちゃまで、ところ狭しと展開されているではないか。クリスマスシーズンだということもあり、アドベントカレンダーや、ヨーロッパの手作りクリスマスツリーなど、数千円からウン万円近くまで、値段の幅もいろいろなおもちゃが、その場で遊んで試せるように展示されているのだ。

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 実は、横尾さんは元々保育士さん。「子供たちに良質なおもちゃとの出会いを作り出したい」という思いから、今から4年前に『おもちゃコンサルタント』という、全国でも2000人程度しかいない資格を取って、そのままの勢いで自宅ショップを開業したとか。10:30から17:00の間に、予約してから来店してもらう方式をとっているのだが、やっぱりピークシーズンは、他のお客様同士がかちあってしまうこともあるそうだ。でもそこは、木のおもちゃを愛する親子同士、自然と仲良く遊びながらおもちゃを楽しんでいるのだとか。というのも、ここでの客の滞在時間は、平均1時間半から2時間。実際に子供が遊んでいる横で、遊び方を教えてもらったり、子供の熱中ぐあいで購入するものを決める親が大半なんだって。もしかして、子供にとってはオーダーメードの遊びのスペースなのかもしれないね。大人でいう、エステか整体とかの『癒しの空間』ってところかな。

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物を売るだけでない、試せる、聞ける、安心感

 そうは言っても、やっぱり一個あたりの単価が高いのが、木のおもちゃの特徴。簡単なメイド イン アジアンなおもちゃに慣れていると、「ええ、こんなもんが、こんな値段するのぉぉ!」と、心の中で叫ぶママが多いのも事実。でもって、自宅ショップだと、何か買って帰らないと、これだけ子供がむちゃくちゃに遊んでしもうて...、と、帰るタイミングを計りかねてるお客様もいるとか、いないとか。ぶっちゃけ、そんなあたりはどうなんでしょうね、とお聞きしてみると、「当日決められなくて、写真だけ撮って帰って後日家族会議、というお客様もいらっしゃるので、普通の店と同じウィンドウショッピングも大歓迎なんですよ!」とのこと。後からでも、電話やFAXでの注文をちゃんと受け付けてくれるから安心だ。
 自宅に上がりこんでしまうと、妙な遠慮でつい「じゃあ、一番安いやつ」となりそうだけど、それよりも、本当に子供が楽しんでいるか、とか、逆に年齢が上がっていくと、どんな遊び方ができるのかな、なんていう風に、質問や相談をしてもらった方が嬉しいのだそうだ。なんたって横尾オーナーは、「おもちゃコンサルタント」だから、そのあたりもドーンとこいってことで。

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我が子がサンプルクライアントとして、大活躍

 彼女が自信を持ってお客様にアドバイスできるのも、自宅ショップだからこそ。つまり、彼女自身の5歳と3歳の2人の子供が、お客様のオフの日に、お店のおもちゃで様々な遊び方を展開してくれるのだとか。特に下の子どもは、ショップオープンとともに成長してきたので、0歳でできる遊び、1歳になると広がる遊びなど、子どもが大きくなる中で、どれだけこの優しい木のおもちゃたちが成長の手助けをしてくれるのか、身をもってサンプル事例を見てこられたということだ。生き証人がいるんだもん、セールストークも説得力が増すよね。
 そんな中で見つけたのが、おしゃれな都心のお店では手に入れにくい、息を吸っても音のでるシンプルな白木のラッパや、積み上げる楽しさのある忍者シリーズや、保育のプロたちが自分用に欲しがるリングウェーブなど、たぶん普通のおもちゃ流通店だと置いてあっても目立たない商品たち。実際に触って遊べるからこそ、その商品のよさや遊び方の伝授ができるのだ。

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 こだわり木のおもちゃを扱っている店は、全国でもそんなに多くないのが現実。彼女も、「まずは木のおもちゃの楽しさを知って欲しい」と、現在はショップでの販売を中心にしているが、全国のお客様の声にこたえるべく、WEBショップの展開も視野に入れているそうだ。とにかく、自宅の一室でもこんなこだわりの展開ができるとしたら、立地やスタッフに恵まれなくても、ショップを始められるんだぁ、と実感した、「木のおもちゃチッタ」。とりあえずネットショップから、という人の多い中で、家族をも活用した究極のモニターセールスショップのコンセプトは、消費者に優しくて正直なショップだなあ、と思った、2009年初回であった。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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