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連載コラム

第69回「ただいま!」な気分でちょいと一杯やれる、マイホームタウン居酒屋の魅力

[ 2009年8月31日 ]

多摩ニュータウンの「寄り道好適飲み屋」

 若いころ、独身だったころ、「飲みに行く」といえば、六本木、渋谷、新宿? いわゆる繁華街(死語だな~)に繰り出したもの。お店だってとびっきりのおしゃれをして出かけるような非日常的な空間か、または「一気一気」の声が店中に響くような大手チェーンの居酒屋! ものすごいおしゃれ感、猥雑感、若いころはどちらも楽しかった。

 が、しかし。今は? 都心で飲むことなんてめっきり減った。たまに行くとしたら地元のママ友達や、職場の仲間と。となれば、当然、店も地元でってことになる。私が住んでいる多摩ニュータウンは、いわゆる「ベッドタウン」だ。都心に勤めている人達が帰ってきて寝るところ......として開発されてきた。そんな街に果たして「いい飲み屋」なんてあるのか? 「寝るための街」なんだったら、飲み屋なんかに寄らずに家に帰れよって感じなんじゃない? と思っていたんだけど、それが案外あるんだなあ~。

おしゃれ感とあったか味が同居するくつろぎ空間「炎の介」

 最近、とくにお気に入りなのが、事務所の隣駅・京王堀之内にある「串焼Bar 炎の介」! 駅から徒歩3分という立地も、まさに「駅から家に帰る途中」で、つい寄り道したくなる店なのだ。

 道路に面して格子戸のような風情の目隠しがあり、クラシカルな雰囲気をかもし出している。店の前にはなぜか古めかしい自転車が停められているが、これは姉妹店である橋本店にも共通していて、炎の介のトレードマークらしい。オレンジ色の照明のおかげでなんだかほんとうに炎がともっているように見える。ベッドタウンにあるには意外におしゃれ~な雰囲気だが、中に入ると、威勢のいいおやじさんとスタッフから「いらっしゃい!」と声がかかる。

炎の介 炎の介

 店内にはカウンター席、テーブル席、座敷とあるが、テーブル席は仕切りによって、個室的な感覚で中規模な宴会にも対応できるようになっている。座敷は、なんと板の間! なんだか道場のようにも見えるが、これがなかなかくつろげて居心地がいい。この座敷だと30人くらいまでなら宴会もできる。座敷全体に一体感があるので、ここでの宴会は盛り上がりそうだ。卓の配置もゆったりしているので、少人数で来ても隣のテーブルが気にならないあたり、帰り道にちょっと寄るにはポイントが高い。

炎の介 炎の介

 「ちょっと寄り道」だと、1人にで立ち寄ることになりがちだが、そんなときはカウンター席もおすすめ。調理場が目の前なので、「旨いものを出す」というこだわりをもったおやじさんやスタッフのきびきびした仕事ぶりを見ながら飲むのも悪くない。アットホームな雰囲気の店なので、おやじさんが話しかけてくれたりもするから、1人ゆえの居心地の悪さがまったくないのだ。

「マイダイニング」感覚の満足感たっぷりメニュー

 なんと言ってもこの店は、「おいしいものをお腹いっぱい食べられる!」のが最大の魅力! 自慢の串焼きはどれも具材が大きい。名物のつくねは5種類あってどれもおいしいが、とにかく大きい! 何種類か試したい人は連れと分け合って食べないと、つくねだけでお腹いっぱいになってしまいそうだ。

炎の介 炎の介

 通勤帰りに寄りたくなる店=夕飯が食べられる店、なんだな、と炎の介に来るたびに思う。私なんて、車で出かけた帰りで、お酒は飲めないとわかっていても「ご飯食べさせてください~」と寄りたくなる(現に寄ってうどんを食べさせてもらったことあり)。飲み屋と言っても、子どもも連れて行きたくなる、そんな店なのだから。若いころによく足を運んだ気取った店や騒がしい居酒屋ではこうはいかない。

 寄り道することで「ほっとできる」そんなくつろげる雰囲気の店がまえやスタッフの対応、そして、お腹と心が満足できるメニュー構成。これがあるからこそ、仕事帰りの疲れた体でも、つい寄りたくなるのだ。

炎の介

くつろげないから寄りやすい、も新しい魅力に。

 また、一方で「そんなに長くくつろげないし、お腹いっぱいにはなりそうもない」のに、繁盛している店もある。炎の介からさらに1駅西に移動して南大沢駅で降りると、改札を出て斜め前のビルの入り口にあるショットバー「ハイボール酒場」だ。

 ここには、以前はおでん屋があったと思うのだが、とにかく狭い店。立ち飲み席しかないし、メニューもいわゆるかわきものがメインだ。飲み物の種類も少ない! これでは、ほんとに「ちょいと一杯」くらいしかできそうもないが、ベッドタウンの寄り道居酒屋の最大のニーズにはこれで十分応えているとも言える。「サザエさん」で波平さんやマスオさんが、「一杯やっていきませんか」と言うあの感じ。まっすぐ家に帰るのはちょっとさびしいから、一杯! という人にとっては、はじめから長居しないことを想定しているようなこんな店が入りやすいとも言えそうだ。

 ちょっとレトロでおしゃれな外観も功を奏してか、この「ハイボール酒場」、なかなか繁盛している。寄り道したいな、一杯飲みたいな、というときに、気軽に入れる店というコンセプトが、ベッドタウンにマッチしたということだろう。

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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