日経メッセ > リテールテックJAPAN > 連載コラム > 今どき主婦のShopウォッチ > 鉄道のジオラマが目玉。でもそれだけじゃない「鉄カフェ・レトロ」

連載コラム

鉄道のジオラマが目玉。でもそれだけじゃない「鉄カフェ・レトロ」

[ 2010年1月27日 ]

子どもから大人まで、幅広い客層が集まる鉄道カフェ

 「店内に鉄道模型のジオラマがドーンと展示してあるカフェレストラン」と聞いて、鉄道ファン、電車好きの子どものいるパパ、ママ以外に関心を持つ人がどれほどいるだろう。しかしあるのだ、大阪に。鉄道ファンならずとも夢中になってしまう鉄カフェが! 子どもの喜ぶ顔が見たくて足を運んだだけなのに、いつのまにか自分自身がファンになってしまう魔法の空間。そんな店「鉄カフェレトロ」を紹介しよう。

「鉄カフェ・レトロ」 「鉄カフェ・レトロ」

「目の前を電車が走る」その迫力が大人気

 入り口のドアを開けるとまず、店内の大半を占める大がかりな鉄道のジオラマに圧倒される。間口に比して奥行きのある45坪の縦長スペースに設置されたこのジオラマ、一番長い路線は約40メートルもあって、1周するのに約4分! 鉄道系の博物館でもそうそう見られないほどのスケールだ。初めて来店したという年配のお客さんが私のとなりで「これは孫が喜ぶわ!」と目を細めていた。確かに、博物館でのジオラマのほとんどは、少し離れたところから、あるいはガラス越しに見学するだけ。だけどここはすぐ目の前を電車が走るから、電車のすれ違う様子や車輪の動きなどがばっちり見られる。30分で300~600円と有料だが、コントローラー(スピード調節ができるだけのもの、走行音やブレーキ音など音も出るものなどタイプによって料金が異なる)で走行を操作することだってできるのだ! お気に入りの車輌を持ち込んで走らせることもできるから、電車好きにはたまらない。
 夢中になった子どもが(笑)ひっくり返らないように、カウンター席の椅子も固定されている。それに椅子の後ろ側は広くスペースを取って、子どもたちでもぶつからずに通れるようにと配慮。客の7割が子ども連れというのもうなずける。

「鉄カフェ・レトロ」 「鉄カフェ・レトロ」

 細部までていねいに作られたジオラマをよく見ると、学校の周りには桜の木が植えられ、駅で電車の到着を待つ人のポーズはそれぞれ違う。何より私が感激したのは駅のホームの天井に付けられたライトだ。青白く光ったライトはホームを幻想的に照らしている。覗き込んで見なければ分からないような高さなのに、リアリティを追求するジオラマ作りの完成度にうなった。これ、見れば見るほど、作業の楽しさ、大変さが想像されるのだけど、この模型を夢中になって作っている大人の姿を思わずにいられない。ついニヤニヤしてしまった。
 また、店の入り口の横に設置されているのは本物の電車の先頭部分。この車両は2001年まで70年以上、大阪と堺を結ぶ足として愛されたチンチン電車だ。現在でも同型の車両が2台運行されているとか。丸みを帯びたフォルムはレトロな雰囲気をかもし出し、店の名前とぴったり。運転台部分には店内から入ることができるので、そこで1時間近く(!)遊んでいく子どももいるそうだ。ああ、残念。子ども連れでくるんだった......。

「鉄カフェ・レトロ」 「鉄カフェ・レトロ」

 ちなみに車両の切断から塗装、搬出、設置作業の様子は店のホームページで詳しく紹介されているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。車両を買い取るより、設置作業にかかる料金の方が高かったとのことだが、さもありなん、だ。

味だってこだわり! レシピはホテルシェフ直伝

 鉄カフェレトロは、鉄道ファンや電車好きの子どもだけのお店ではない。食事を楽しみにくる人もいるのだ。
 店内に入って驚いたのは、20代後半から30代前半と思われる女性ばかり8人のグループが楽しげに食事していたこと。この店の客は、てっきり子ども連れと鉄道ファンが主だと想像していた。鉄道模型が店のスペースの多くを占めていると聞けば、味なんて二の次、というイメージを持っていた。が、意外......と言ったら失礼なのだが、実は料理がおいしいと評判なのだとか。ホテルシェフ直伝のレシピを基にした料理は旬の食材を使い、ソースなども1日じっくり煮込んで作る。私が今回いただいたトマトパスタもなかなか。味もさることながら大きめにぶつ切りされたなすの食感を十分に楽しむことができた。
 なるほど、初めは子どもが喜びそうだから、と来店したママが、次は、子どもとではなく友だちを誘ってやってくる。鉄道ファンでなくても料理を目当てにできるクオリティだからだ。そして、横目で鉄道模型を見ていると、子どもの喜ぶ顔をつい想像し「また行こう」と子どもを誘うのだ。これぞ鉄カフェ・スパイラル!?

「鉄カフェ・レトロ」 「鉄カフェ・レトロ」

 ジオラマの周囲にカウンター席が設けられているので、電車の走行を眺めながら料理を食べるのもよし、コントローラーで電車を操作するのもよし。ただし、カウンター席のテーブルは少し狭い、というのも事実で、奥行きはパスタ皿が置けるぐらいしかない。ゆっくり食事や会話を楽しみたい場合は、店の一番奥の一段高くなったスペースに2つある、8人がけのテーブル席を利用するのがおすすめ。

「好き」だけでない配慮で、客があつまる!

 オーナーの電車好きが高じてオープンしたこの店では、月1回程度イベントも開いており、鉄道ファンとの交流の機会を大切にしている。ジオラマを眺めながらドリンク1杯で粘る常連だっているわけだ。店内の壁はギャラリーとして利用することもできるため、鉄道をモデルとした写真が飾られており、鉄道ファンを対象とした店であることは間違いない。

「鉄カフェ・レトロ」

 それに、「鉄道オタク」ではなく、「明るい鉄道ファン」向けに感じるのは、この店の味へのこだわりと、オシャレ感ただようスペースの工夫なのだろう。ジオラマが店の多くを陣取っているのに雑然とした印象を受けないのは、真っ白な壁と天井のなせるワザ。明るく、かつ適度に洗練された雰囲気(実は店内はあまり「レトロ」なイメージではない)で心地よくくつろげる。子どもが電車を操作して遊んでいる間、親がテーブル席から子どもの様子を眺めている、という光景もよく見られるそうだ。オーナーの「好き」がコンセプトなのに多くの客から支持を集めている鉄カフェ・レトロ。見習うところが多そうだぞ。
 さーて、次は、鉄カフェの写真を見て狂喜していたわが子を連れてこようか。いや、連れてきたら最後、閉店まで粘られそうだ。でも、人のことは言えないかな。もしリカちゃんカフェなんてあったら、私も子どもをよそに遊んじゃうかも? 着せ替えをさせたり、リカちゃんハウスでおままごとしたり......うーん、じっとしていられなくなってきた! リカちゃんカフェを見かけた方、堤まで情報をください!


今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

バックナンバー

PAGE TOP