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連載コラム

第78回 「妥協はしない!」愛知県魂に支えられた奇跡のイタリアンレストランは満足度120%!

[ 2010年6月3日 ]

外食嫌いの夫を魅了した愛知県発イタリアンレストランとは?

 わがキャリア・マム本社から20分ほど車を走らせた八王子市・鑓水(やりみず)に「キャナリィ・ロウ」というイタリアンレストランがある。いや、かなり前からあったのだが、正直、最近まで私の周りではあまり話題になっていなかったのだ。しかし、ここにきて突然、人気に火がついている。
 発端は、あるスタッフのダンナ様。彼女が興奮して言うには「外食にはあまり興味のない夫が珍しく激賞してるレストランが鑓水にあるんです。この前、行ってみたらこれがほんとにステキな店なんですよ~!」だそうだ。しかし、鑓水って彼女の家からは車で10分くらい。そんなにステキな店なら、なぜ今まで気づかなかったの? その疑問をぶつけてみた。「そうなんですよ。もう何年も前からあるんです。でも、いつも走っている道路からは外観も満足に見えなくて、あまり聞いたことのない名前だし。入ってみようと思わなかったんです。うかつでした......。」
 そんな目立たない店を、外食に興味のないダンナ様がなぜ知っていたの? それも気になった。「夫が愛知に出張で行ったときに、向こうの人に連れて行ってもらったら、すごくおいしかったらしくて、チェーン店だと聞いて東京にもないか調べたそうなんです。そしたら、なんと! 東京都内には鑓水にだけあるって! うちのすぐ近くじゃん! と夫が興奮して教えてくれたんです。」なるほど! 聞いたことのない名前だと思ったら、どうも愛知県発祥の外食チェーン店らしい。
 スタッフは続ける。「ぜひ一度行ってみてくださいよー! 一度行けば、とりこになりますよ~。ランチタイムは混みますから、早めに行ってくださいね。子どもさん連れて行けば、ママの株もきっとあがりますよ~」......そうなのか。そこまで言われちゃあ、行くしかないじゃん! なんせ車で20分もかからない場所だもの。行ってやろうじゃないの!

イタリアのおばちゃん家に遊びに行った気分になる外観・内装の魅力

 噂のキャナリィ・ロウに私が向かったのは、結局、平日のランチタイム。なので、子どもを連れて行くのは断念してスタッフのNさんと2人で行った。「混むから」という忠告に従って、開店の11時より前に駐車場についたが、並んだりはしていない。「なんだそれほど混んでないじゃない」とほっとして駐車場でのんびりしていると、オープン時間を狙ったようにあれよあれよという間に主婦のグループがつめかけてきた。こりゃ大変......大慌てで車を降りて、開店待ちの列に並ぶ。
 慌てながらも店の外観はしっかりチェック! これが、なかなかステキなのだ。たしかにこの店は、教えてくれたスタッフの言うとおり、面している幹線道路からだと外観があまり見えない。塀に仕切られているし、この手の店舗にありがちな道路に面したガラス張りの壁がないのだ。そして、なによりも建物の背が低い。塀の上にわずかに屋根が見えるくらいの高さしかないのだ。これでは道路を走っている車から見ただけで入ろうとは思わないのも無理はない。
 しかし。いざ駐車場に入って、建物の正面に回ってみると、すごくかわいい建物なのだ。イタリアの田舎町に住むお友だちの家に遊びに行ったような、そんな気分になる外観とエントランスだ。ファミレスにありがちな無機的な階段ではなく、土の風合いのあるアプローチを通って店に入るのだが、店の入り口のドアも店名の入ったガラス扉ではなく、ますます「お家にお邪魔しました」感がある。
 この時点ですでに、「これはいい店だ」そんな期待が膨らんできた。

 店内に入ると、やはり天井が低い。さらに、テーブル間もかなり狭い。通路も狭い。......これは、普通なら店の欠点にもなりかねない特徴だが、この店に関しては、これもすべて計算の上、という気がした。レストランとしては、「狭さ」はメリットではない。しかし、この店は、この狭さでアットホームさを演出しているように思えるのだ。
 天井や壁を見上げると、ワインや調味料のびんなど、イタリアのおばちゃんの家に無造作に貯蔵してありそうな小物類が雑然と飾られている。スタイリッシュとか洗練されているとかではない、しかしこの雑然とした感じが、「あたたかみ」につながっている。ここはそういう店だ。

外観・内装の魅力1 外観・内装の魅力2

ドリンクバー、サラダバーにも手作り感がいっぱい!

 さらに、特徴的なのは、ファミレスではおなじみのドリンクバー。ここにもドリンクバーがあるのだが、冷たい飲み物のサーバーはガラス製、ドリンクのグラスもストローも色違いで何色かそろっている。氷を入れてあるのも、シルバーのおしゃれなバケツ風容器。ファミレスで見かけるあの無味乾燥な「ドリンク供給所」とはまったく趣きが違っているのだ。ドリンクバーにもちりばめられたほどよい「不ぞろい感」「ハンドメイド感」がこれまた、「お客さんがたくさん来ちゃったから、ありったけのグラス出してきたわ~、好きなものついで飲んでね~」とイタリアの陽気なおっかさんに言われているような気分になる。
 もちろん、優れているのは店の造りだけではない。いちばん人気のサラダバーは、単に生野菜を並べてあるだけではない。ひと手間もふた手間もかかっている野菜中心のヘルシーなお惣菜が10種類近く並んでいるのだ。なかにはピラフやペンネ、パンなど十分食事になるものも並んでいる。そして、このお惣菜、どれもとてもおいしいのだ。私のいちばんのお気に入りは「かぼちゃのマリネ」! かぼちゃがこんなにさっぱり食べられるなんて知らなかったよ~!
 このサラダバーも、おいしいだけじゃなく、手作り感たっぷりに演出されている。いちばん驚いたのは、大きなチーズがどかんと置いてあって、好みでそれを自分で削り取ってかけるようになっていることだ。横一列にアルミの深いバットに並べるのではなく、1つ1つが大皿に盛ってあり、店内に入っていちばん目につく場所にあるサラダバー。この店いちばんの売りなんだということがよくわかる。もしも、このサラダバーの評判を知らないで来店した人でも、これなら間違いなくサラダバーにとびつくだろう。そして、それは客単価のアップに直結するだろう。うまい戦略だ! しかし、こんなにおいしくて目も楽しませてくれるのなら、うまい戦略になんの文句もございません。

ドリンクバー、サラダバーにも手作り感がいっぱい ドリンクバー、サラダバーにも手作り感がいっぱい

デザートワゴンの魅力にくらくら~!

 おいしい戦略はそれに終わらない。女性ならだれもが惹かれるデザート。でも、ダイエットのことを考えると、控えておこうかなという気持ちにもなるし、ましてやサラダバーでお腹いっぱいになっていれば、「デザートはいいや」となりがちだろう。しかし! この店のドルチェ(デザート)は2種類で280円! この値段も魅力だが、提供の仕方がふるっている。毎日、6~7種類のドルチェが用意されていて、注文するとすべてのドルチェをワゴンで運んできてくれ、説明をしたうえで好きな2種類を選ばせてくれるのだ。一つひとつはそれほどボリュームはないが、もともとお腹はいっぱいなのだから、十分だ。このワゴンサービスは、注文した側の満足感も高いが、なによりも、そのアピール効果が絶大。実際にドルチェを注文してみると、私の席につくまでの間、ワゴンの通り道にあたった席の人たちはもれなくこの魅惑的なワゴンを見る。そして、隣の席の人は説明にまで耳をそばだてている。ここで、この通路や席間の狭さがまた生きてくる。
 これをやられたら「デザートはがまん」なんて決心はもろくも崩れるに違いない。しかも、ボリュームはそれほどないので、「あのくらいなら入るよね」と思える。そして、なんと言ってもおいしいのだから!

デザートワゴンの魅力にくらくら~ デザートワゴンの魅力にくらくら~

サービスにも妥協しない姿勢に感服!

 同行したスタッフNさんも感動と感嘆の声を上げ続け、大満足のランチタイムとなったが、帰りの車の中でしみじみ語り合ったのは、店の造りや演出、提供しているフーズ、すべてのレベルが高いうえに、あんなに忙しそうな店(噂どおり12時には満席になり、外で並んで待っている人もいた)なのに、店員さんたちの働きぶりがすばらしいということだった。いつも笑顔。さらに、テーブルの上に空いた皿があればすぐに下げる、サラダバーに一度使った皿を使おうとしている人がいれば、「新しいものをお使いください」とすぐに声をかけて取り替える、2人でパスタやピザを1人前しか頼まなければ、なにも言わなくても取り分け用の皿をセッティングしてくれる。充実したサラダバー、おしゃれなドリンクバーに味もボリュームも満点のパスタのセットで、1400円前後。魅惑のドルチェをつけても1500円ちょっとという値段で、これだけの上質のサービスが受けられるというのは、チェーン店ではなかなかないように思う。
 愛知県ではかなりの人気店で、この八王子の店もこれだけ繁盛しているにもかかわらず、出店ペースは決して早すぎない。おそらくきちんとした運営ができるという見通しがなければむやみに出店はしないのだろう。お客がシビアで商売が難しいことでは知られている愛知県を勝ち抜いてきただけのことはある。その底力を感じさせる店だった。

サービスにも妥協しない姿勢に感服

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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