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連載コラム

第79回 進化する、変化するコンビニのPOPから目が離せない!

[ 2010年7月2日 ]

 この原稿を書いている今、現在、サッカーのワールドカップで日本はまだ勝ち残っている。正直、まさかと思っていた決勝トーナメントに進出したのだ。
 いやあ、今回のワールドカップの盛り上がりのなさはすごかった。たしか、4年前は店内をサムライブルーで染めていた、うちの近所のコンビニ・Fも、今回はさほど目立ったブルーのPOPはなく、ひっそりとしていたのだ。

 が、しかし。さっき行ってみたら、その同じFが、駐車場に面したガラス面にでかでかと「日本代表チーム」のポスターを何枚も並べて貼っていた。「応援ありがとう」みたいな文字も入っている。これ、何日か前までなかったよね? 店内のサムライブルー濃度も上がっていた。レジ前には、「日本代表チップス」......わかりやす~い。
 なんにせよ、ワールドカップ、盛り上がってよかったです。4年前、ドイツ大会で1勝もできなかったときも、Fのサムライブルーはどうなっているか検証したことあったっけなあ。諸事情あって記事にはできなかったけど。

 ワールドカップの時期に限らず、じつは私、コンビニ好きなのだ。それが高じて、じつはコンビニのPOPにはなみなみならぬ関心をもっている。「コンビニのPOP」なんて言っても、それほど目新しいものはないんじゃないの? メーカーや本部から支給されたポスターやPOPを貼ってるだけだよね? と思う方、ふっふっふ。それはひと昔前の話。今、コンビニのPOPは飛躍的に変化し、進化しているのだ(あくまでも私調べ)。

店内にいるだけでうなぎが食べたくなる......ローソンのうなぎ攻勢はすごい!

その店のスタッフの作品と思われる、個性豊かなPOPを掲げているコンビニは確実に増えている。チェーンによる差はあるのかもしれないが、私の中で最近、POPの評価がとくに高いのは、ローソンとセブン-イレブンだ。

 Fは比較的店内がスッキリしたところが多いように思う。対してローソンは、店にもよるのだが、外観からして賑やかな印象の店が増えているのだ。うちの事務所の近くのある店舗などは、ガラス面いっぱいてんこ盛りになにやらPOPを貼っている。よく見てみると、この時期のイチオシ商品らしい「うなぎ弁当」のPOPだ。そして、その貼り方が半端ない。店内の壁一面ぐるっと「うなぎうなぎうなぎうなぎ」。柱にも縦並びに「うなぎうなぎうなぎうなぎ」......店内滞在時間が長いと、「そうだ! うなぎ食べなきゃ」と洗脳されそうなほどだ。

 この「うなぎ弁当」、ローソンはかなり力を入れているようで、別の店では、お弁当コーナーにうなぎのイラストが切り抜いて貼ってあった。コーナーのまわりににょろにょろと......。このイラストがなかなか上手で、切り抜いたことで動きも出ていて、秀逸なのである。ここまで推されれば、うなぎ、食べるでしょ。

多摩境の巨匠の作品が楽しめる、セブン-イレブン町田小山ヶ丘4丁目店

 さて、もう一方の雄はといえば、セブン-イレブンだ。セブン-イレブンといえば、コンビニの代名詞。それだけに、以前は、どの店に行ってもセブン-イレブンらしいスマートさがある反面、店による個性は薄かったように思う。
 それがここ数年、目に見えて変わってきた、ように感じるのだ。うちの事務所の近くのセブン-イレブンをまわるだけでも、その傾向は顕著だ。たとえば、最近の話題作、「たまごかけ風ごはん」おにぎり。これが発売されるやいなや、あるセブン-イレブンのおにぎりコーナーには段ボール紙を切り抜いて作ったにわとりの飾りものがあった。

また、アイスクリームの什器の上の空間を利用して、天井からすだれを下げて、そのすだれに夏のギフト品のカタログ写真を貼り付けていた店もあった。それも商品の写真だけではなく、店のスタッフによる試食会の様子なども写真入りで紹介。スタッフごとのおすすめ商品をあげている。これはほんとうによくできていて、ついつい読み込んでしまった。あまりに熱くすすめられている商品は、つい買ってしまいたくなる、それだけの力をもったPOPだし、すだれを利用していることで夏らしさも演出できている。うまい!
 が、しかし。じつは、私にはときどきPOPをチェックするために、あえて立ち寄るお気に入りのセブン-イレブンがあるのだ。それは、町田小山が丘4丁目店! 広い駐車場があることと、立地のよさも手伝って、かなりの繁盛店のようだが、この店の吸引力はこのPOPにもあるのではないかと、私はにらんでいるのだ。

 スタッフに、きっと絵心のある人がいるのだろうが、大胆に筆を使って描かれたイラスト、文字ともとても目を引く。そして、書いてある文章も気がきいている。けっこうタイムリーに変えているので、このPOPを見ると、「今、これが人気あるのか」「新しく推している商品なんだな」など、伝わってくる。そして、ほんとにおもしろい名作POPが多いので、見ているだけで楽しくなってしまうのだ。いったい誰が描いているんだろう? 私はこのPOP製作者のことを、ひそかに「多摩境の巨匠」と呼んでいて、これからもこの味のあるPOPで楽しませてくれるといいなあ、と願っている。

 少し調べてみたところ、セブン-イレブンで店による独自のPOP掲示が多く見られ始めたのは、2007年ころのようだ。以前は、こんなに特色のあるPOPはなかったという私の記憶は間違ってはいなかった。とくに推奨しているわけでもないようだが、やはりどこかにユニークで効果的なPOPの事例があれば、「うちもやってみよう」と思う店も増えるのだろう。
 そういった創意工夫をする店が増えていけば、かつては清潔ではあっても無味乾燥な印象だった「コンビニエンスストア」が、店ごとに違う顔のあるいい意味での猥雑さを醸し出すようになってくるだろう。そこには、地域に密着した温かみもきっと生まれてくるに違いない。きっと「商店街」的な要素が、コンビニにも求められているのだろう。今後のコンビニPOPが、ますます楽しみになってきた。


今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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