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連載コラム

第84回 アクティブシニアのスタバ? コメダ珈琲の魅力を探る

[ 2010年12月1日 ]

 このところ、うちのスタッフたちの間でちょっとしたブームなのが、株式会社コメダが運営する「珈琲所コメダ珈琲店」だ。
数年前から関東にもぽつぽつと増えてきた喫茶店のチェーン店だが、なんだかここの評判がやけにいい。

 コメダをよく利用するスタッフに言わせると、「とにかく落ち着ける」のだそうだ。また、「モーニングサービスがおトクなんですよ。朝早くからやってるし」と、出勤前に寄るスタッフさえいる。そして、みんなが共通して言うのは「なんかなつかしい感じのする店なんです」......コメダ、そこにはどんな魅力があるのか、探ってみたくなった。

 私の生活圏でいちばん早くできたコメダのお店に行ってみた。3年前にできた当初は、「こんな場所でやっていけるのかな?」と思ったことを思い出す。ニュータウンの中、大きな幹線道路にも面していないのだ。いわば地元民しか来そうにない店。しかし、3年たっても健在だ。年々繁盛しているとも聞く。
 ある日曜の朝、そのコメダのお店に行ってみた。

朝食=コメダ族が増殖中? モーニング+新聞で男性客をキャッチ!

 私が店についたのは、朝7時5分。開店時間を5分過ぎただけだったが、
すでに店内には5組のお客さんがいた。すべて男性で、全員が新聞を読みながら
モーニングを食べている。「え? これが日曜の朝?」とちょっと驚いてしまった。
店内は、しーんとしている。まるで図書館のような静けさだ(BGMがかかっていないと思ったけど、実はBGMは静かにかけているそうだ)。私も席を確保して、噂のモーニングを注文してみた。
 コメダでは、朝11時までにドリンクを注文すると、無料で「トーストの1/2+ゆで卵」がついてくる。これが「モーニング」だ。
 あらためて店内をじっくり見渡してみる。とても広々としていて清潔感のある店内だ。入口正面に、会計用のレジがあるが、レジカウンターの前には、新聞や雑誌がずらりと並べてある。まず気づくのは、その新聞の多さだ。一般紙、スポーツ紙さまざまな新聞を数多くとりそろえている。朝の時間に関しては、この新聞が集客に一役かっていることは、今のこの店内の光景を見てもわかる。コメダにとって新聞は欠かせない集客ツールなのだろう。

 コメダはたいてい郊外にあるので、店舗はかなり広めだ。ファミレス程度の広さを確保している店が多い。それだけに店内は広々していて、通路が広い。さらに、テーブルとテーブルの間も広く、隣があまり気にならない造りになっている。この広さが居心地のよさにつながっていることは想像に難くないが、じつは違う効果もある。

コメダ店内.jpg

広々バリアフリーな造りが高齢者にもファミリーにもやさしい!

 実は、この日コメダのモーニングタイムの繁盛ぶりに驚いた私は、数日後、今度は午後2時というもっとも空いていそうな時間を選んで、もう一度、コメダに行ってみた。するとそこには、高齢者やベビーカーを押したママたちが大勢いたのだ。2時といえば、飲食店にとってはアイドルタイムのはずなのに、その時間でもコメダは大盛況。それも、某スタバだとちょっと入りにくいだろうな、というような客層でにぎわっていたのだ。これはコメダの「バリアフリー感」のなせる技ではないか。
 コメダの広々とした店内は、車椅子でもベビーカーでも入ってこられる。テーブルの横にベビーカーを置いたままでも、隣のテーブルのじゃまにならないくらいの間隔もある。だから、ほかの店なら「じゃまだな」と思われそうな人たちも気軽に入れるのだ。
広さだけではない、大きなBGMが流れていないことも、高齢者にとってはいいようだ。おしゃべりを楽しみたくても、若い人向けのうるさい音楽が流れていたら、お互いの声も聞き取りにくい。しかし、コメダにはそんな心配はない。
 一度来てみれば、コメダは、幅広い客層(いや、むしろ高齢者や子ども連れなどほど)を歓迎しているのがわかる。だから、「あそこなら安心」と繰り返しやってくる
人が多いのではないか。

コメダ入り口.jpg

ちょっとレトロなおしゃれ感が、親しみやすさや安心感をアピール

 ではどうやって「ここに入ってみよう」と思わせるか。その秘密は、コメダの外観にあると思う。
 まず、駐車場が広い。これによって、物理的に入りやすい。そして、なつかしいひと昔前の「おしゃれ感」のある建物。これがいいのだと思う。山小屋風だったり、ログハウス風だったりする赤い屋根のコーヒーショップ。この建物には、私が子どもだったころ、まだ家屋も和風の建物がほとんどで、洋風建築の家がそれだけで「おしゃれ」に見えていた時代の「おしゃれな建物」の風情がある。ペンションなんてものがはやり始めたころに、こういう外観のペンションも多かった。だから、ホッとするのだ。

コメダ外観.jpg

 店内に入るドアを開けると、右手にショーケースがあり、そこにはメニューのサンプルが飾ってある。今どき少なくなっている食品模型が並んでいる。昔、家族で行ったデパートの食堂を思い出す、このショーケースを見ても、そこにはなつかしさと親しみやすさがある。
 これを見れば、おそらく高齢者でも安心して入ってこられるのではないか。今どきのカフェのように、注文してもどんなものが出てくるかわからないというようなことは、コメダにはないし、そのことは外観を見ただけでも感じとれる。店内で出されるメニューにも写真がついているという親切さ。これなら、一度来た人が、「あそこなら」とリピーターになるのもわかる。もういい年齢になったうちの両親だって、近所にこんな店があれば、きっと通うだろう、そんな風に思った。もちろん、私もだが。

 若いときは、とんがったおしゃれさが何よりも大事だったりもする。が、子育て中や年齢があがってくると、そうとばかりは言っていられない。独身のときはスタバが大好きだったとしても、ベビーカー押しては入りにくいし、おばあちゃんを連れては行きにくい。コメダなら、子どもからお年寄りまで、すべての人をあたたかく迎えてくれる。そこに、コメダが関東でも増殖しつつある要因があるのだろう。

 高齢化の進む日本では、コメダはますます増えていくのではないか。コメダを必要としている街は日本中どこにでもきっとある。


今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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