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連載コラム

第90回 祝・東北新幹線全線再開!「そうだ、青森へ行こう!」 古きよき日本と超・おしゃれゾーンが共存する青森駅前ワンダーランド「AUGA」&「A-FACTORY」

[ 2011年6月1日 ]

地下におりるとそこは「昭和」! 「AUGA」でタイムスリップ気分を味わう

 青森駅前にあるファッションビル「AUGA」は、一見どこにでもあるファッションビルだ。地上階には、これまた全国どこに行っても入っているようなテナントショップが入っている。なんの変哲もないビル......かと思いきや。
 地下の「新鮮市場」に降りると、世界が一変する。いわゆる「デパ地下」みたいなもの、を想定して降りたら、そりゃあもう驚くこと間違いなし。そこには、昔むかし見たような光景が広がっているのだ。食品を扱うフロアに「市場」とつけることは、珍しくない。だけど、それは「食料品売り場」的な意味で使われていることが多い。ところが、ここには「本場モンの市場」があるのだ。

ごろごろ横たわる海産物 BGMはド演歌......「ここはどこ?」な驚きがある

 青森だけに海産物がほとんどだが、スーパーなんぞではなかなかお目にかかれないような、水揚げしたばっかり感漂う1尾まるごとの魚類が、ごろごろと並べられている。店のつくりも古臭く、おしゃれ感は皆無だ。しかし、これこそ「市場」! という感じにあふれている。
 それにしても、こうも「昭和感」が漂っているのはなぜなんだろう? と考えながら、ほたてやうにやまぐろの合間をぬいながら市場を探索してみると、BGMがド演歌なことに気がついた。今どきこんな......な演歌が、延々と店内に流れているのだ。忘れそうになるが、たしかこのビルの地上はファッションビルだったぞ。多分、青森の若いおしゃれさん達が集まるビルなんだろうに。地下には、ド演歌の流れる市場があるとは......。
 ものすごいミスマッチだが、私のような観光客にとってはかなりありがたい場所だ。
 せっかく青森まで来たんだから、新鮮な海の幸を楽しみたい、とは思う。しかし、だからと言って朝早く起きて、本物の市場に足を運んでみるかというと、さすがにそこまでの根性はない。せいぜい、どこかの土産物店で買い物するくらいだ。
 それが、この「新鮮市場」に来れば、早起きして市場に出かけた気分が味わえる。なんせ、朝5時から開いているのだ(その分、閉まるのも早いが)。青森によく行く友人によると、駅近くの安いホテルに朝食なしで泊まって、朝からこの新鮮市場で朝食をとるのが、青森上級者なんだそうだ。

新鮮な海産物を無駄なく味わえるリーズナブルな食事処も!

 よく見ると、市場のあちこちに、カウンターだけ、のような簡素な定食屋がいくつかある。どこも刺身定食や、いくら丼、ほたて丼など海の幸自慢のメニューを掲げている。その1つで、ほたて丼を食べてみたところ、これがもう「許してください」と言いたくなるほどほたてが山盛り! ほたてを一生分食べたような気になった。しかも、新鮮なのでプリプリだ。店の造りが簡素なことも、これだけおいしいものを安く(!)出してくれると納得できてしまう。いわゆる築地市場で食べる食事みたいなものなんだろう。
 地下フロアには、「田」というレストランもある。こちらはさすがにカウンターだけではなく、広いフロアもあるが、ここも学食みたいなシンプルな造りの店だ。それでも、海鮮もののメニューは充実しているし、安い。そして、おいしい! 
 ガラス張りの店内から、外を見ると、これまた昭和気分満載の雑貨屋などが並んでいて、BGMは津軽三味線だ。この地下フロア全体が、「昭和の青森」をコンセプトにしているのだろうか。たしかに、これだけタイムスリップした気分になれるのは、すごいと思う。「なるほど、青森って、昔ながらの雰囲気を大事にしている土地柄なのね」......新鮮市場にいるとそう思った。 
 のだが、青森新幹線開通後、駅近くに新しい人気スポットができていると地元の人に聞いたので、そちらにも行ってみることにした。「AUGA」よりも、海沿いにあるというその新スポットは、「A-FACTORY」というマルシェ&レストランだ。

おそらく青森最先端! 海が見えるおしゃれなスポットが登場!

 昭和気分漂う「新鮮市場」から徒歩で5分かかるかどうか、しか離れていないのだが、
ここはまさに平成!最先端のおしゃれ感漂うスポットだった。海に面しているため、どうかすると横浜あたりにいるような錯覚を覚えてしまうおしゃれ~~~な建物、そして立地だ。三角屋根が6つ並んだ形の建物は、函館や横浜のおしゃれな倉庫街を模しているようにも見えるが、真っ白でシンプルな壁面だけに、建物の下部とデッキに使われている木の風合いがよいアクセントになっていて、センスのいい建物だ。

 AOMORIのAとりんごをデザインしたロゴマークがかわいらしく、入口のよいアイキャッチになっている。店内は2階がレストランになっているが、入口近くのマルシェ(物販コーナー)は2階まで吹き抜けになっているので、天井が高く、広々とした造りになっている。
 壁面の上のほうには、この店のロゴマークを側面に焼き付けられたりんご箱を積み上げているような装飾があり、外観や天井の高さとあいまって「倉庫」的な雰囲気を演出している。マルシェ(物販コーナー)のわきには、ガラス張りになったスぺースがあり、そこはシードルの工房になっていた。ガラス越しに工房見学ができるような造りで、これは子どもにもウケそうだ。

 レストランカフェは、文句なしのおしゃれっぷりで、当然、演歌も津軽三味線も流れていない。天気のよい日は、外のデッキでも飲食できるようだ。目の前が海のこのデッキで食事、というのはデートならかなりポイント高いのではないだろうか。この日は平日の昼間だったが、それでもかなり混み合っていた。オープンして間もないとのことだったが、かなりの人気のようだ。

 しかし。青森駅からそれぞれ徒歩5分もかからないところに共存する「新鮮市場」と「A-FACTORY」、どちらにも共通しているのは、「青森のプライド」だ。獲ってきたままみたいに新鮮な魚介類を、素っ気なくてもおいしく提供するのが青森ならでは。自慢の美しい海が堪能できるデッキのある、ハイセンスなレストランも青森ならでは。距離はこんなに近いのに大きくテイストが違う2つの店だが、どちらも「青森、いいでしょ!」と胸を張っているように感じた。

 たしかにどちらも「また行きたくなる」店ではあった。雪に閉ざされる前に、また行ってみようかな、青森!

今どき主婦のShopウォッチ
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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