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リテールテックJAPAN 2017 | 2017年3月7日(火)〜10日(金) 東京ビッグサイト

第86回「親しみやすさ」のラッピングが、高級品を身近にする! 女の子なら、だれもが大好き! LUSH人気の秘密

「親しみやすさ」のラッピングが、高級品を身近にする!
女の子なら、だれもが大好き! LUSH人気の秘密

 まるでお菓子のような、カラフルな見た目、甘い香りにひかれてふらふらと店に入ってみると、なんとそれは石鹸! という経験をしたことはないだろうか? 私はある。それも比較的最近だ。
 その話をスタッフにしたところ、「それ、LUSHでしょ? 私、大好きでよく行ってますよ」「うちは娘が大好きで、友だちへの誕生日プレゼントもいつもLUSHだなあ」と、ほとんどのスタッフが認知していた。そっか、そんなにポピュラーな店なんだ。うちは、子どもも男ばかりで、縁がなかったけど、どうも女の子のいる家庭では、「LUSH」は、知る人ぞ知る店らしい。
 「娘がいるかどうかは関係ないですよ。マム世代にだってLUSHのファンは多いんですから」とスタッフから言われ、LUSHの魅力を探るべく、私はもう一度LUSHに向かった。調べてみると、事務所から一番近いのは、昨年秋にオープンしたアリオ橋本店のようだ。よし、行ってみようじゃないの!

どう見てもアイスクリーム! なフェイスパックはアイキャッチ効果抜群!

 フロアガイド片手に、広い広いアリオ橋本店の中を歩いてLUSHに向かう。あった! 通路の遠く離れた場所から見るその店は、黒を基調にした外観で意外とシックな感じだ。私がお菓子屋さんと間違えた店とは雰囲気違うかも~と思いながら、近づいてみると...。店の入り口のいちばん目立つ場所にあったのが、ステンレス製の丸い什器だ。そこにはクラッシュアイスが敷き詰められていて、その氷の上には、ステンレスのボールに入った色とりどりのアイスクリーム! 女の子に大人気のスイーツバイキングなどによくありそうな、なんともおいしそうなアイスクリームバーだった。いや、そんなはずはない。たしかここは「石鹸」を売っている店なのでは? よく見てみると、これはアイスクリームではなく、「ウルトラフレッシュフリッジ」というフェイスパックなのだ。パック! こんなにおいしそうなのに? 近づいてみるとその香りがまたいい。チョコレートあり、バナナあり、レモンあり。見た目もほんとにアイスクリームそのものなのだが、これがパックとは! いや、この商品がこんなにアイスらしく見えるのは、このディスプレイの力も大きいに違いない。だって、クラッシュアイスの上に並んでいるんだもの。ステンレスボールに入っているんだもの。はじめからそれなりの容器に入れて並べられていたら、さすがにアイスとは間違えないだろう。が、この見せ方が、より商品をアイスらしく見せているのだ。その結果、このフェイスパックの売りである、新鮮さや素材の良さを感じさせるという効果をあげているのだ。

ふぞろい感=ハンドメイド感=安心感 石鹸量り売りに企業ポリシーが見える

 この店頭のディスプレイにいたく感動し、さらに店内を探索してみた。店の奥にディスプレイされているマッサージクリームも、いかにもアイスクリームらしい容器に入って、冷蔵ケースに並べられている。このケースだけ見ると、やはりここは高級なアイスクリームショップなのではないかと思ってしまう。あと、なんと言ってもインパクトがあるのは、「みつばちマーチ」という石鹸のホール売り! これは、どこからどう見ても、チーズに見える。アルプスの少女ハイジに出てきた、つくりたてのチーズだ。それがそのまんまの形と大きさでどんと置いてある。ホールで買うと、114,000円らしい。今どきはケーキの代わりに石鹸に入刀する「ソープカット」なるものを好む若者もいるんだとか。なんておしゃれなの! ......でも、こうしてホールで見せていることのインパクトは大きい。ハイジの世界でしか知らなかった、つくりたてチーズを初めての見たとき、確かに胸が躍ったもの。これを見たら、「ホールでは買えないけど、少し買ってみようか」と思う人は多いだろう。現に「みつばちマーチ」は、はちみつの甘い香りが人気でLUSHの定番人気商品なのだという。
 ほかの石鹸も、大きめの塊と、いかにもそれを切り崩しました、という感じの小さな塊が並べてディスプレイされている。同じ石鹸でも1個の重さや形が微妙に違っているのでグラム単位の量り売りになっているのだ。きちんと形のそろった石鹸を製造できないわけはない。あえて、このふぞろい感を見せているのだろう。そして、このふぞろい感が、いかにも手作り、いかにも安心、という感じを強調している。
 LUSHの商品は、石鹸にしても、ボディバターやマッサージクリームにしても、決して安くはない。ただ、もちろん、モノはいい。値段なりの安心、効果のある商品を数多くそろえている。その商品力がまず、LUSH人気の重要ファクターであることは間違いない。
 しかし、この値段と商品ラインナップで、もしももっと高級感漂う店舗デザインや容器というパッケージで展開していたとしたらどうだろう? 今のように、小学生の女の子がおこづかいで買いに来るとか、女子高校生のグループがわんさか詰めかけるということになっていないだろう。お肌によいもののためなら、お金は惜しまないというタイプのマダムたちだけのものになっていたはずだ。

ポップさ満点のギフトボックスが女子のプレゼントを変えた

 LUSHが幅広い層の女子(あえて女子と呼ぼう!)に支持されているのは、贅沢さとポップさのバランスが絶妙だから、ではないだろうか。店内を探索していてそう感じた。LUSHは商品のラベルをはじめ、店内POPすべてが手書き風文字だ。そこからも手作り感、親しみやすさが漂ってくる。商品の容器やラッピングも過剰でない。昔、昔、スーパーではなく肉屋さんで肉を買うと、蝋紙のようなものでくるくるっと巻いて渡してくれた。あの感じだ。必要なものを必要な量だけ、最低限の包装で販売する。その余分のなさが、「商品そのもの」への自信と、商品を大事にしている姿勢を表しているように思える。
 同時に、必要以上に高級感を出さない⇒私たちでも買える、という印象を与えることに成功していると思うのだ。さらに、LUSHが小中学生女子にまで人気な理由は、ギフトボックスの充実にあると思う。とにかくカラフルでかわいいギフトボックスが店内いたるところにディスプレイされているのだ。アリオ橋本店でも、棚2面を使って、ギフトボックス、ギフトセットを並べていたが、この吸引力はすごい。だれかへのプレゼントを探しているときに、このギフトコーナーを見てしまったら、たいていの女子は「ここで選ぼう」という気持ちになるに違いない。そういえば、うちのスタッフたちも、子どもたちの誕生日プレゼントや、発表会のときのお花代わりのプレゼントでもらうことも多いと言ってたっけ。ま、うちには娘がいないから、もらったことないけどね。
 石鹸のように単価が安い商品から揃っていること、ティーンにもウケそうな仕掛け(アイスクリームのようなディスプレイやギフトボックスの充実)があること、それでいて、マダムにも十分アピールできる高性能な商品も揃っていること。がLUSHが女子全般に高い人気を獲得した要因ではないだろうか。
 さらに無視できないのが、スタッフの接客の見事さだ。LUSHでは店内に入ってきたお客にはスタッフがかなり声をかけてくるのだが、驚くほどその接客に押しつけがましさや圧迫感がないのだ。それは、商品の説明を熱心にしてくれても、それが「売らんかな」ではなく、「私の大好きなLUSHの商品のことを知ってもらいたい」という熱意からだと感じられるからだろう。
 というわけで、感じのいいスタッフさんのトークにのせられて、私は、入門編で「みつばちマーチ」の石鹸を1個買ってみた。うちの男どもには使わせず、自分だけのお楽しみとして入浴タイムにちまちま使ってみよう。そして更なる女子力アップのため、近いうちに必ず、あのアイスクリームと見まがうフェイスパック「ウルトラフレッシュフリッジ」を手に入れにこようと心に決めたのだ!

堤 香苗
執筆者:堤 香苗

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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