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リテールテックJAPAN 2020 | 2020年3月3日(火)〜6日(金) 幕張メッセ
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ユニーグループHD会長前村哲路さん――新体制で独自性追求(トップの戦略)

コンビニ再生、積極投資

 ユニーとサークルKサンクスなどグループ企業17社を傘下に置く純粋持ち株会社、ユニーグループ・ホールディングス(HD)が発足した。新体制移行を機に、トップ企業と差が開いたスーパーとコンビニエンスストアの間で商品開発や物流の作業統合を進め、収益力の立て直しに取り組む。前村哲路会長兼最高経営責任者(CEO)はグループの継続的発展に向け「早期に効果を生み出す」と強調。独自性を追求し、販促などに積極的に資金を投入する姿勢を示した。(聞き手は日経MJ編集長 三宅耕二)

シェア拡大は

中部を起点に

 ――大変失礼ですが、先行する大手小売業に比べ戦略の独自性が乏しい気がします。

 「それは心外だな(笑い)。売上高5兆円規模の企業のまねをしても(ユニーのような)1兆円企業は成り立ちません。これからは総合小売業のユニーとコンビニのサークルKサンクスの互いの資源を組み合わせて他社にはできない経営を実現します。ここ数年の間にコンビニの利用者層が広がり、スーパー同様、日常消費の場になりました。相乗効果は大いに期待できます」

 ――改めて、新体制移行に踏み切った理由は。

 「この5年ほどでサークルKサンクスが追い込まれました。同業大手とここまで差が付いたら、もう放っておけない、となった。6年前、ユニー社長に就いた時の体験もありましたから」

 「当時、グループの呉服店、さが美が120億円の最終赤字を出し、ユニーの連結も赤字になりそうでした。監査法人からは『そうなればユニーは上場廃止です』と言われた。結局、4億円の黒字になり現実にはなりませんでしたが、これがトラウマになってまして。同じ事態がサークルKサンクスで起きたら大変だということで、昨年2月にTOB(株式公開買い付け)を決め、持ち株会社制を採用しました」

 ――ユニーグループの経営資源の強みとは。

 「商品の調達力、開発力はあると思います。例えば衣料品は、他社より歴史も実績もある。分野によっては100%近い商品を企画開発しています。ユニーが長い間に培った販売促進力、店舗開発力も今後、サークルKサンクスに相当供与できると思います」

 「中部4県(愛知、三重、岐阜、静岡)の店舗数はサークルKサンクスが約1800店で1位。この圏内に約160店展開しているユニーと合わせた食品のシェアは15%もある。これが20、30%になれば圧倒的な力になります。まず中部を出発点として、広告宣伝費も惜しみなく使ってシェアを高めます」

GMS強化は

モールに活路

 ――逆に、弱みについてはどうみますか。

 「40年前までは小売業界3位だったのに、なぜ今、(イオンとセブン&アイ・ホールディングスの)売上高5兆円と大きな差がついてしまったのか、ということです。それは、他社には5兆円になるための戦略があって、ユニーにはなかったからでしょう。大きなチャンスはあったはずですが、少し中京圏で安穏としていたのかもしれません。ここが弱みだと思います。やはり企業は成長拡大あってこそです」

 ――サークルKサンクスは業績低迷が著しい。

 「第一の問題は日販です。セブン―イレブン・ジャパンとサークルKサンクスの日販の差は18万円も開いています。このうち7割の12万円を米飯、おつまみ、総菜などが占めています。商品力に加え、売り場の体制が劣っているのが原因でしょう。なかなか集客が伸びませんでした」

 ――再生は可能でしょうか。

 「再生できるまでやるんです。そのために800億円も使ってTOBしたのですから。サークルKサンクスはユニーグループの企業価値を高める存在です。コンビニは小売業の中で最も収益力が高く、成長力がある業態で伸びしろも大きいはず。これを再生できれば、必ずグループ全体の収益体質が改善します」

 「私自身も今後6カ月間はサークルKサンクスの再生に専念します。東京・晴海の本社に私の机を置き、重要な会議や全国の加盟店のセミナーにも出席する予定です」

 ――具体的な施策は。

 「最優先に取り組むのは店舗の標準化です。2015年2月期までに売り場のケース類など既存店投資に80億円ほど投じます。商品力の強化も同時に進めて、5年間で日販を60万くらいに引き上げたい」

 ――総合スーパー(GMS)も環境は厳しい。

 「GMSを見る目は厳しいですが、最近、変化を感じます。『モール化』という施策による解決策が少し見えてきた気がします。ユニーは今後出す大型店を全て3万3千〜5万平方メートル規模のモールにします。これなら利益も出せます。いかにトップライン(売上高)を上げるかが課題です」

 ――M&A(合併・買収)や資本提携は。

 「働き掛けはしてはいますが、まだ独自路線を望む企業が多いですね。手薄な関東と北陸で、ユニーグループの理念や取り組みに賛同する企業に入ってもらいたい。まず物流センターや食品加工センターを共用する手などが考えられます」

業績データから

既存店の苦戦続く

 ユニーグループHD(旧ユニー)の2013年2月期連結業績は経常利益が前期比12%減の374億円になる見通し。17年連続でユニーの既存店売上高が前年実績を割り込みそうなうえ、前期に営業利益の4割を稼いだサークルKサンクスの既存店売上高が12年3〜11月期に同4・6%減と計画以上に落ち込んだため。

 14年2月期から商品、商流、物流でスーパーとコンビニの作業統合を進め、5年間で100億円の利益改善効果を見込む。グループの持続的成長には、こうした効率化に加え、集客力を高める相乗効果の発揮も欠かせない。すでに商品面ではプライベートブランド(PB=自主企画)の新製品投入を加速。15年2月期にはPBを含む独自商品で5500億円の販売を目指す。今後は店づくりなどでの新施策が焦点となる。

(糸井夏希)

 まえむら・てつろ 1949年(昭24年)鹿児島県生まれ。72年鹿児島大教育卒、ユニー入社。2001年取締役、06年常務、07年社長。13年ユニーグループHD会長兼最高経営責任者に就任。趣味はウオーキング。近年は休日となれば自社・他社を問わず、様々な小売店を歩いて見て回るのが習慣となっている。

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