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リテールテックJAPAN 2019 | 2019年3月5日(火)〜8日(金) 東京ビッグサイト
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青山商事社長青山理さん――紳士服、残るのは2社(トップの戦略)

1千店とネットを融合

 縮小する国内スーツ市場でシェアを伸ばす青山商事。創業者の故青山五郎氏の長男である青山理社長は、国内で生き残れる紳士服専門店は2社しかないとの危機感を抱く。カジュアル衣料「アメリカン・イーグル」の出店、ネットの強化など時流に対応した成長戦略を進めながら、M&A(合併・買収)も視野に、縮む市場に挑む。(聞き手は編集委員 中村直文)

M&A前向きに

量販の部門候補

 ――スーツ市場は団塊の世代の大量退職もあり、逆風が続きます。

 「スーツ市場はピークが1350万着といわれ、リーマン・ショックにクールビズとマイナス要因が続き、今年は900万台まで落ち込みそうです。大量退職問題は雇用延長で今のところマイナス影響は出ていませんが、2014年には顕在化しそうです」

 「百貨店が20年以上紳士服の売り上げを落とし、量販店もスーツの取り扱いを減らした結果、当社は残存者利益を得ています。実はシェアはこの10年で20%から27%まで高まりました。礼服になると40%にまで達しています」

 ――アベノミクス効果で購入価格に影響は出ていますか。

 「効果なのかどうか分かりませんが、3月で1千円、4月400円とスーツ単価が上昇したのは事実です。中でも『ヒルトン』などの6万〜7万円の高価格帯の商品が全体を押し上げています。市場は縮小していますが、スーツの乱売競争は沈静化しています」

 ――今後の経営戦略は。

 「グループで1千店あります。これからはネットと実店舗をどのように結びつけていくのかが課題です。消費者にとっては近所に店舗があることの安心感があります。店舗ですそ直しもできますので、こうした機能を使いネットの売上高を上げていきます。アメリカン・イーグル・アウトフィッターズもネット通販を7月に始め、若者向けの『ザ・スーツカンパニー』と『洋服の青山』も別々だった電子商取引(EC)を統合しました。売り上げで100億円規模に育てていきます」

 「紳士服業界は最終的に2社しか残れないでしょう。M&Aは紳士服関連でいい案件があれば、前向きに検討したいです。例えば、量販店の紳士服部門や、非上場のセレクトショップなど候補はたくさんあります」

 ――地方の人口減など郊外市場は飽和しています。今後の出店戦略は。

 「郊外は現状維持で、都市型やショッピングセンターへ出店を集中しています。洋服の青山では、コンビニエンスストアと近いサイズの小型店を出していきます。昨年、首都圏の私鉄駅前に出店した184平方メートルの三軒茶屋北口店(東京・世田谷)と303平方メートルの溝の口駅前店(川崎市)は初年度から黒字を達成しました」

 ――小型店はコスト管理が難しそうですが。

 「09年に100億円かけて開設した千葉の物流センターが力を発揮しています。これまでバックヤードでこなしていた商品仕分けや値付け、縫製作業などもすべて物流センターで手がけ、そのまま店舗に納品しているからです」

 「センターは約100店をカバーしていて、稼働率は65〜70%と余力があります。小型店は5年で約20店出店し、従来型のスーツカンパニーも商業施設に20店ぐらい出せそうです。さらに都心には『ユニバーサルランゲージ』という業態が武器になります」

都心需要深掘り

若者向け新業態

 ――ユニバーサルランゲージを出した理由は。

 「スーツカンパニーを卒業したファッション感度の高い30代にとって、『ビームス』や『ユナイテッドアローズ』などは価格が高いです。スーツカンパニーで1万9千〜3万9千円で、ユニバーサルランゲージは3万9千〜6万9千円と買いやすい。3月に大丸札幌店(札幌市)と大丸心斎橋店(大阪市)に出しました。今後は『ルミネ』など駅ビルにも出したいです」

 ――都心戦略ではスーツカンパニー、小型店、ユニバーサルランゲージの3本の矢ですか。

 「ショッピングセンター向けの業態がまだ足りないので、そこは今開発中です。アメリカンイーグルは好調で、店舗数で米ギャップに追いつこうと言っています」

 ――婦人スーツが好調ですね。

 「きっかけは男性向け就活用スーツの販売で大学生協と提携した際、生協から女子用スーツの開発を依頼されたことです。正直もうけはないと思いました。男性用の素材をベースに開発したのですが、何度着ても形崩れしないことが受け、ヒットしたのです。就活と入学式用を柱にすでに年間170億円まで成長しており、これからはキャリア向けも増やします」

 ――生産地として、消費地としての中国事業をどのように考えていますか。

 「昨年と一昨年を比較すると中国の人件費は17%上がりました。今の生産比率は68%ですが、ベトナム、ミャンマーなど産地の多様化で今期中に62%、いずれ50%まで低下しそうです。出店は中国にある『洋服の青山』を14店から今期中に24店まで増やしたいです」

業績データから

脱「安売り」で好調

 青山商事の2013年3月期の売上高は前の期比6・2%増の2124億円、営業利益は同16・4%増の212億円で2期連続の増収増益を達成した。主力の紳士服事業で「リーマン危機後の安売り競争から脱してきた」(青山理社長)こともあり、紳士スーツの平均単価は同2・1%増えた。シワのできにくいスラックスなど機能性商品の拡充も奏功し、既存店売上高も同2・7%増と堅調だ。

 株高の影響で消費意欲の向上に期待が高まるが、景気回復期は「紳士スーツにお金が回るには時間がかかる」のが業界の定説。新規出店や新商品開発で消費者の需要を取り込めるかが今後の成長を占う。14年3月期は7年ぶりに25店を出すほか、婦人スーツの販売増にも力を入れることで3期連続の増収営業増益を目指す。(遠藤邦生)

 あおやま・おさむ 1959年(昭34年)広島県生まれ。81年日大商卒、青山商事入社。88年取締役。常務、専務を経て2005年に社長就任。広島県福山市の本社と東京本部、協力工場のある海外などを回りながら、陣頭指揮を執る。休日に大学生と高校生の息子と風呂に入ることが「心身のリフレッシュにつながっている」。

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