リテールテックJAPAN

リテールテックJAPAN 2019 | 2019年3月5日(火)〜8日(金) 東京ビッグサイト
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ユナイテッドアローズ社長竹田光広さん――海外進出、アジアから(トップの戦略)

顧客の満足度で成長を

 セレクトショップ大手のユナイテッドアローズ(UA)の業績が好調だ。競合が伸び悩む中、2013年3月期は2期連続で最高益を更新。昨年4月に創業メンバー以外で初の社長に就任した竹田光広社長は今春、2020年を見据えた長期ビジョンを策定し、慎重だった海外展開にも意欲的だ。目指すのは顧客満足を高めて売り上げを増やすファッション小売企業だという。(聞き手は日経MJ編集長 下原口徹)

新マーケットに

商品政策で対応

 ――アベノミクス効果で足元の売れ行きに好影響は出ていますか。

 「高額品、輸入車が売れているとの報道がありますが、株の投資家が恩恵を受けているとの認識です。店頭での手応えとしての実感はありません。輸入アクセサリーの『クロムハーツ』は為替の影響で値上げしましたが、売れ行きは大きく落ちてはいません。婦人服では最高級の『ドゥロワー』もいい感じの売れ行き。高いものだからではなく、ブランド価値を認めてもらえる商品への購買意欲は下がっていません」

 ――今春、開業したグランフロント大阪に7店同時出店して話題を呼びました。自社競合の懸念はなかったですか。

 「グランフロントは大阪におけるまれにみる大型商業開発です。館の考え方も我々とマッチしたため、グループの7店を出しました。もっともお客様はUAグループ7店という理解はないでしょう。関西ではビームスの方が知名度が高い。大阪の認知度を上げたいという思いもあります」

 ――高速道路のサービスエリア(SA)といった一風変わったエリアにも出店していますね。

 「新しいマーケットへの出店には抵抗はありません。民営化に伴い、トイレ休憩の場所だったSAが地域の憩いの場に変わりました。ただ通常のショッピングセンターとは違い、季節要因に伴う交通量の変化に左右され、繁閑の差が大きいのも事実。お客様が求めるものにMD(商品政策)で対応していきます」

 ――インターネット販売ではゾゾタウンとの協業が目立ちます。

 「ネット通販に占める売上比率はゾゾタウンへの出店分が65%で自社EC(電子商取引)分が17%です。自社ECもバックルームや配送をゾゾタウンに委託しています。ゾゾ以外のモールにも出店しています」

ネットとリアル

融合した販売を

 ――今後、ネット販売をどう成長させますか。

 「売上高に占めるネット販売の比率は11%で、中期的に12〜13%を目指します。今後は自社ECで、米国で主流となってきた(リアル店舗とネットを融合させた販売手法である)オムニチャンネル化を進めたい」

 ――オムニチャンネル化によって顧客の利便性は高まりますか。

 「例えば、お客様がECで見た商品を仮予約して、店舗で試着してサイズを合わせる。しかし受け取る場所は自宅や自分の望む店舗でもいい。ネットだからとか、リアル店舗だからとか、そういった垣根をなくします。すでに店舗で商品を見て、比較検討したうえで、夜中にクリックして購入する顧客が多い。日本のお客様にもきっと浸透します」

 ――UAは既存店が底堅い。強さの理由は。

 「増収減益に陥った時は商品部門と販売の連携が崩れた時期でした。だから商品の仕入れ・生産から販売計画、営業までを一貫して管理するプラットフォームをこの3年間、構築してきました。週次、月次、シーズンごとの売れた物、仕込んでいる物を照らし合わせ、その都度判断して、クイック転換できるかが重要です」

 ――セール分散化への意見を聞かせて下さい。

 「昨夏、セールが後ろずれしました。総論では正価販売の期間を長くすることは賛成で、セールが長期化してお客様に迷惑をかけるのは反対です。アンケートでは一度に比較検討できるためセールは同時がいいという声があり、デベロッパーにはその声は伝えました。冬は正月期間中の初売りセールが消費者マインドに組み込まれており、こちらの都合で分散化するのはいかがかなと思います。お客様の便利のいい形にすべきです。ただ、セールの長期化は困ります。店頭での商品鮮度が落ちるからです」

 ――海外も含めて2200億円を売り上げる2022年ビジョンを策定しました。

 「長期ビジョンでは時代対応と自己改革を進めながら、既存事業を成長拡大していきます。対応できない分野で新規事業の開発育成、さらに海外進出を始めていこうと思います。海外一号店は近隣アジアになります。もともと欧米の商品をセレクトした店ですから、本場の欧米にも挑戦していきたい」

 「当社が目指すのはお客様満足度日本一のファッション小売企業です。お客様にごひいきにされる企業。満足度=ご購入ということになるため、満足度を高めれば高めるほど成長できるのです。我々が培ってきた『ヒト』『モノ』『ウツワ』、つまり半歩先を見据えて、商品調達してコーディネート提案する店舗空間。これを突き詰めれば、世界に通用する企業になれると思います」

業績データから

3期連続 最高益へ

 2014年3月期の純利益は6%増の77億円を見込み、3期連続の最高益更新を目指すユナイテッドアローズ。今期は、グループ全体で前の期より8店多い49店を新規出店し、売上高は前期比9%増の1255億円を見込んでいる。衣料品チェーンのなかでも高収益体質が際だつUAだが、09年3月期までの3年間は「消費者のニーズに合わない商品づくり」(竹田光広社長)で減益傾向に陥っていた。

 09年4月には創業メンバーの重松理会長が「降格」する格好で社長に復帰。創業期からの強みであった「商品・販売・宣伝」の連携を密にした経営戦略を徹底して、現在の成長軌道に乗せた。重松氏を支え続け、社長のバトンを受けた竹田社長にとって、創業精神の復活で復調した業績をさらに伸ばせるかの手腕がこれから問われる。(遠藤邦生)

 たけだ・みつひろ 1963年(昭38年)福岡県生まれ。86年大分大経卒、兼松江商(現兼松繊維)入社。05年ユナイテッドアローズ入社、10年取締役、11年取締役副社長執行役員。12年代表取締役社長執行役員。ふるさとの福岡で慣れ親しんだ趣味の海釣りは今も続けており、社内の「釣り部」で社員との交流を深める。

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