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リテールテックJAPAN 2020 | 2020年3月3日(火)〜6日(金) 幕張メッセ
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コンビニ定価販売が転機に、ローソン、ポイント還元で実質値引き、食品廃棄減、本社も利益。

 ローソンは11日、販売期限の迫ったおにぎりや弁当などを購入した利用客に共通ポイントで代金の一部を還元する実験を始めた。効果を検証し、対象地域の拡大を検討する。セブン―イレブン・ジャパンも今秋から同様の取り組みを全店で始める方針だ。定価販売が一般的だったコンビニエンスストアのビジネスモデルが変わりつつある。

 「このプログラムで廃棄が減れば、店舗の利益にもプラスになる」。ローソンの竹増貞信社長は10日、ポイント還元の実験地域となる那覇市内でこう話した。

 同社は11日から愛媛と沖縄の計約450店でポイント還元の実験を始めた。共通ポイントサービス「dポイント」と「Pontaポイント」を活用。おにぎりや弁当の計約45品目を対象に目印をつけ、会員の来店客が午後4時以降に購入すれば、通常のポイント加算(税抜き100円につき1ポイント)とは別に、同100円につき5ポイントを付与する。

 コンビニのフランチャイズチェーン(FC)加盟店では、商品が売れると、仕入れた代金を差し引いた粗利益を本部と分け合う。売れ残った商品は廃棄するため仕入れた代金は損失となる。

 FC契約では人件費は加盟店が負担するため、人件費と食品の廃棄に伴う損失が加盟店にとって2大コストになっている。人手不足に伴う人件費上昇で加盟店の収益は厳しくなっており、2月には大阪府のセブンイレブンの加盟店が営業時間の短縮を強行し、24時間営業を巡る問題が表面化した。食品廃棄を減らすことは加盟店の支援にもつながる。

 ローソンでは通常の販売に伴う共通ポイントの原資は加盟店側が負う。今回の取り組みでは、加算するポイントは本部が負担する。本部としては通常の販売と比べると付与するポイント分の持ち出しは増える。ただ廃棄に伴う損失の一部は本部も負担しているため、売れ残りを減らすことは本部にとっても収支改善につながる。

 税抜き価格が100円、仕入れ代金が70円のおにぎりで試算してみた。この場合の粗利益は30円で、それを本部と加盟店で折半する。廃棄に伴う損失は本部側が25%を負担すると仮定する。

 ポイント還元で売れれば、消費者には通常の1ポイントに加えて5ポイントが付与され、税抜きベースで実質94円で購入できる。

 1ポイントを1円とみなすと、加盟店の利益は共通ポイントを差し引いた14円と変わらない。売れ残った場合に加盟店が負担する損失(52・5円)と比べて収支は計66・5円改善する。

 本部は5ポイント分の原資を負担するため、粗利益から原資を差し引いた取り分は10円になる。商品が売れれば、売れ残った場合と比べると収支は27・5円改善する。またポイントでの還元のため、再来店も期待できる。

 ローソンは鶏の唐揚げなどの総菜で20〜50円の値引きを推奨しているが、値引きに伴う負担の大部分を加盟店が負う。今回のポイント還元策の付与分のすべてを本部が負担するという点で従来の値引きとは異なる。

 ローソンのポイントを使った代金の還元実験は8月末までだが、竹増社長は「実績を検証し、対象地域拡大が望ましいと確認できれば、8月末を待たずに広げたい」と話す。セブン―イレブンも今秋から約2万900店の全店で、販売期限まで4〜5時間に迫った弁当やおにぎり、麺類などの購入客に対し、電子マネー「nanaco(ナナコ)」のポイントを数%還元する取り組みを始めることを検討している。

 コンビニ業界では、食品スーパーなどのような値引き販売が行われてこなかった。FC契約に基づいて粗利益を本部と加盟店とで分け合うため、厚い利幅を確保する必要があった。

 全国に張り巡らした店舗網や24時間営業といった利便性を提供することで、値引きしなくても消費者から受け入れられてきた。さらに24時間営業が原則で閉店しないため、営業時間に切れ目がなく、販売期限の間際まで販売できた。

 ただ、好採算の医薬品や化粧品で利益を確保して食品を安く販売するドラッグストアが店舗網を広げるなど、業界環境は変化している。

 ポイント還元策を活用することで、柔軟に価格を設定しやすくなる。今回の還元策では還元率が数%にとどまり、閉店前の食品スーパーの値引き幅などと比べると小さい。今後は大幅な還元率を設定したり、対象品目を広げたりすることもできる。ポイント還元はコンビニ各社が社会変化への対応を一歩進めることにもつながりそうだ。(矢尾隆行)

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