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価格比較アプリへ実店舗情報、店への客誘導ねらう、生産者情報やクーポン付与。

[ 2012年4月23日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)を使い、店頭でインターネット通販の価格を調べる人が目立つ昨今。専用アプリを使った価格比較サービスも進化中だ。一部チェーン店が店頭価格の情報などをアプリ運営会社に提供、価格比較アプリはネットからお客を店舗に誘導する新たな武器になる可能性が出てきた。

 ネットサービス会社、コードスタート(東京・目黒)の「ショッピッ!」。楽天やアマゾン、ヤフーなど大手ネット通販のほか、カクヤスやタワーレコード、紀伊国屋書店など40サイト、計7万店が扱うネット通販の価格を比較できる。

 商品のバーコードをスマホのカメラで読み取ると、ネット通販サイトの価格が安い順に表示される仕組み。簡便さがうけて、アプリのダウンロード数は累計60万件を突破。利用件数は月間15万件に達する。

 ショッピッ!では5月から実店舗の価格もネット通販の情報にまじって表示されるようになる。大手家電量販店やドラッグストアなど全国チェーン10社程度が順次参加するという。「店舗の情報がなければ価格比較サービスとしては不十分だ」(加藤陽一コードスタート取締役)

 ネット通販の価格比較はカカクコムのサイト「価格.com」が大きく先行する。差異化するためにも、店舗の価格情報が欠かせなかった。また、スマホアプリの特徴は全地球測位システム(GPS)を使った位置情報の機能を活用できること。利用者の現在地に近い店舗の情報が表示できれば、「小売業者は、消費者を店舗に誘導できる可能性が高い」と加藤取締役は訴える。

 小売業にとって、店舗の価格情報をネット上に公開することへの抵抗感は根強い。消費者が他店と比較して値下げを求めてくることを警戒するためだ。ただ、携帯電話を使いネット通販の価格を調べることに慣れている消費者は多いうえ、スマホの普及はさらにこうした行動に拍車をかけるとみられる。

 グーグル日本法人(東京・港)は2011年9月から店頭価格をネット上で公開するアプリの配布を始めている。東急ハンズやヨドバシカメラ、良品計画など10社が参加する。

 積極的にネット上で露出を高めたほうが得策と判断する企業は少しずつ増えているのは確か。ショッピッ!への店頭価格公開を検討しているある酒類量販店チェーンは「店頭価格を公開することで安いネット通販に客を奪われる恐れはあるが、当日配達などリアル店舗の強みをアピールすれば新たな顧客開拓につながる」と話す。

 ショッピッ!では新サービス開始にあたり、価格以外の情報についても、実店舗側から発信してもらう計画。たとえば、スーパーなら食品のレシピやアレルギー表示、生産者情報などを提供。来店客へのクーポン配布やポイント付与などのサービス機能も追加する。

 「もはや売り場の価格をネット上で伏せておく意味はない」(ヨドバシカメラ)。スマホ片手に店頭でネット通販の価格を調べる人が増えている現状を新たな商機につなげることができるか。価格比較アプリの普及は、売り手側に発想の転換を迫っている。

(古山和弘)

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