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ネット通販戦国時代(下)ヤマダやセブン&アイも苦戦――試される参入の本気度。

[ 2012年5月3日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 「ネット戦略を抜本的に見直せ」――。ヤマダ電機の山田昇会長が最近、社内でこんな檄(げき)を飛ばしている。

 ヤマダは2010年11月、モール型通販サイト「ヤマダモール」を開設。主力の家電のほか、家具や衣料品、食品など計120万品目をそろえた。実店舗のカード会員など顧客基盤を生かせば、楽天などからシェアを奪えると踏んだ。

 だが読みは甘かった。当面の目標は売上高1000億円だが、まだ300億円強。モールへ出店する企業の数も伸び悩む。同社のネット関連の担当者はわずか数人で、山田会長は「人員を増強し、戦略を立て直す」と話す。

技術者を増強

 セブン&アイ・ホールディングスもネット通販事業を再建中だ。今年度からネットスーパーや、グループ各社の衣料品や書籍などの通販サイトを一本化。専門技術者を現在の70人から100人規模に増やし、システム開発は2年以内に内製化してノウハウ構築を急ぐ。

 同社は14年度にネット事業の売上高を現在の2・5倍の5000億円に伸ばす方針。だが統括するセブンネットショッピングの鈴木康弘社長は「専業に比べればサービスや技術面で10年は遅れている」と認める。

 スーパーは売上高が15年連続で前年割れ。家電量販市場も中核の薄型テレビが失速するなかで、大幅な縮小は免れない。2桁成長が続くネット通販市場へ実店舗を持つ小売り大手が食い込みをはかるのは当然だ。

 大手メーカーも新販路を開拓する。専門店など既存の販路への配慮からネット通販を長年見送ってきた資生堂。4月、100人の専任担当者を配し、ネット通販事業に本格参入した。自社サイトでは大半のブランドを販売し、チャットによる美容相談サービスも提供。並行して開設した仮想商店街は女性客に照準を絞り、美容家電でパナソニックなど有力ブランドを集積した独自性が話題を呼ぶ。

 ただ小売り2位のセブン&アイと3位のヤマダさえ苦戦するのが現状。品ぞろえ、価格、そして使い勝手も重視されるネット通販で専業大手が蓄積したノウハウ・技術の壁は高い。米アマゾン・ドット・コムによる利用者の検索・購入履歴から気に入りそうな商品を紹介するレコメンド(推奨)機能はその代表例だ。

 楽天はサービス改良に向け、12年12月期にサーバー増強やソフト開発に前期比3割増の125億円を投資。「ゾゾタウン」のスタートトゥデイも125億円をかけ物流を強化するなど、専業企業はサービス水準をさらに高める。

脱「副業」がカギ

 ドイツ証券の風早隆弘シニアアナリストは小売りやメーカーの参入について、「ネット企業としてゼロから事業をつくり上げるつもりで投資や人材育成に真剣に取り組むことが必要」と指摘する。知名度頼りの「副業」として臨むと、消費者の厳しい比較の目にさらされ、伸び悩む。規模や利便性で勝る専業と差異化できる事業はどうしたらつくれるのか。新規参入者の本気度合いが試されている。

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