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電子チラシで店舗の集客策進化、お薦め・配信時間、客ごとに。

[ 2013年11月13日 / 日経MJ(流通新聞) ]

誰が見るか、しっかり把握 顧客情報から購買品予測

 パソコンやスマートフォン(スマホ)でスーパーなどの折り込みチラシを閲覧できる電子チラシ。従来は近くの店の特売情報の提供が主な機能だったが、最近では利用者一人ひとりの関心に合わせた内容のチラシや、利用者の生活時間に合わせたタイムリーな配信が始まっている。小売店舗の集客力の向上につながる取り組みは今後、さらに進みそうだ。

 11月上旬の平日夕。東京都葛飾区の鎌田菜津美さん(28)は、自宅のパソコンで近所のスーパーの電子チラシを見比べ、野菜が安いスーパーに出かけた。4カ月前に結婚したばかりで、それまでチラシは見たことがなかったが、「簡単に見られるので2日に1度は使う」という。

 凸版印刷が運営する国内最大級の電子チラシサイト「Shufoo!(シュフー)」は、チラシを見たい地域の郵便番号を入力しておけば、パソコンやスマホに電子チラシがプッシュ配信で届く。現在、イオンやイトーヨーカ堂など大手スーパーのほか、ドラッグストアや家電量販店など約2200社の9万4000店のチラシを掲載。月間530万人が利用する。

 チラシを発行したスーパーなどへの課金は、消費者が受け取ったチラシをスマホなどに表示すると発生する仕組みだ。金額は1ページビュー(PV)あたり10円。従来の折り込みチラシは1枚6円程度だが、実際にチラシを閲覧する消費者は全体の3割程度にとどまるという。費用対効果が把握しやすいことも、掲載企業数の押し上げにつながっている。

 シュフーでは、利用者が最初に住所を入力するため、ある店舗の商圏ごとに利用者数や分布が把握できる。凸版印刷は掲載企業にこのデータを無料提供している。小売業者は、従来の紙のチラシと組み合わせた効果的な販促も検討できる。電子チラシ事業推進部の亀卦川(きけがわ)篤部長は「主婦は小売店を2〜3店使い分ける。競合対策にも使える」と話す。

 「カルビーのポテトチップス69円」。6日、食品と日用品の特売情報だけが掲載された5日間限定の電子チラシが配信された。実は配信元は家電量販最大手のヤマダ電機だ。同社は医薬品と日用品だけの電子チラシも扱う。もちろん、これらと同じ紙のチラシは存在しない。紙のチラシに交ぜると目立たなくなる分野の商品も電子チラシならコストや手間を抑えて配信できる。

 こうした電子だけのチラシの活用は広がっている。西日本のあるスーパーは毎週の特売日の翌日にクーポンチラシを配信。そうすることで、特売日の翌日の落ち込みを抑えるようにしている。メーカーと小売りがタイアップして、新しい商品をアピールする形のチラシを配信する事例も増えているという。

 新しい取り組みも進めている。昨年10月、シュフーは朝1回だったチラシ配信を朝夜の2回に変えた。主婦は夜に買い物を計画するためだ。前日夜にチラシを届けることで、ある企業のチラシ閲覧数は1.3倍に増えた。今春には「Tポイント」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と販促事業で提携。10月からCCCの会員データを使って、利用者ごとにチラシの配信時間を変える試みにも着手した。シニアや若年層などに分け、効果がより高まるタイミングを探っている。

 今後はこうした様々な販促策を打つなかで、実際に店舗にどれだけの利用者を呼び込めたか検証できるかどうかが課題となる。凸版印刷は近くシュフーの利用者の来店を確認できる仕組みも検討している。「買い物情報とクーポンを組み合わせて店舗に顧客を呼び込んでいく」(亀卦川部長)という。

 01年から大日本印刷(DNP)が手掛ける電子チラシサイト「オリコミーオ!」。同サイトはPOS(販売時点情報管理)データを基にマーケティングを手掛ける「アイディーズ」(沖縄県豊見城市)と連携。お薦めの商品と特売情報のチラシを電子メールで消費者に送るサービスを提供している。

 スーパーのポイントカードの顧客情報を結びつけて利用者ごとに購買予測をしたうえで、7〜8点の特売商品の情報を掲載する。2〜8月、愛知県の食品スーパーで実証実験したところ、「紙のチラシの商品よりメールで薦めた商品の売り上げが大きく伸びた」(DNPのC&I事業部の岡田陽一リーダー)という。

 6月から北関東のスーパーが本格導入するなど現在は3社程度でサービスを展開する。岡田リーダーは「より予測精度を高めていくことに加え、クーポンなどの販促法とも組み合わせていきたい」と話す。

(名古屋和希)

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