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日経の紙面から

ショールーミング、日本でも?――価格差広がれば進行、日用品、じわりネットへ。

[ 2015年2月20日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 お店では商品を見るだけで、ネット通販で商品を価格比較して購入する、ショールーミングという消費行動が話題です。欧米では家電量販店や書店などがデジタル化のうねりに飲み込まれて破綻に追い込まれる事態になっています。日本でも同じ事が起きていくのでしょうか。主婦の消費花子さんも気がかりのようです。今週はショールーミングについて田中陽編集委員が説明します。

 花子さん 2月上旬に米家電専門店第2位のラジオシャックが破綻したことを新聞で読みました。破綻の原因の1つがショールーミングだそうですね。日本でも起きているのですか。

 田中さん ネット通販の攻勢で日本の大手流通業が破綻に追い込まれたケースはありません。でもスーパーやコンビニが米国で誕生して日本に上陸した小売業発展の歴史を考えると、ネット通販の存在感が高まるのは間違いないです。米国では14年に小売販売額に占めるネット通販の割合は6%超で、日本ではまだその半分程度と見られます。

 花子さん この差は何ですか。

 田中さん 米国ではスーパーが誕生する以前からネット通販の前身であるカタログ販売が消費生活を支えていました。1872年、モントゴメリー・ワードが商品名と価格を表示したカタログを作成して、郵便で注文を受け付けて商品を発送したのが始まりと言われています。広大な国土に消費者が点在する米国ならではの事情があります。

 国土が狭く、通勤や通学の生活動線上に商業施設が多くある日本では気楽に買い物が可能です。

 ケーズホールディングス(店名ケーズデンキ)の遠藤裕之社長は「(ネット通販を)積極的にやる理由が見当たらない」と常々、語っています。同社は全国に約440店を展開しており、「出店エリアなら車で30分も走れば自店に到着する。来店してもらい多くの品ぞろえから選んでもらう方がいい」というのが理由です。

 花子さん じゃあ、日本ではショールーミングが起きないということですか。

 田中さん そうではありません。買いたい商品が決まっている家電製品や日用雑貨、食品などの場合は、なるべく一番安く販売しているところで買いたくなりますよね。実店舗での販売価格より安い価格で提供するネット通販業者がいたら、消費者はそこから買う方がお得になります。

 ショールーミングになるのはリアルとネットの間で相当程度の価格差が存在する時だと考えられます。米国で大手家電量販店の多くがこの10年で破綻に追い込まれたのはネット通販に比べて価格競争力が劣っていたのが原因の1つです。

 花子さん アパレル業界がショールーミング化の動きがあると聞きましたが。

 田中さん スタートトゥデイが一昨年秋から一部のアパレルなどと組み、店に並ぶ商品のバーコードを読み込み、ネットでその服が買える仕組みを作りましたが、約半年でその実験を終えました。ネットでの割安感を打ち出せなかったのが理由とされています。

 花子さん ネット通販と親和性のある商品はどんなものがありますか。

 田中さん 特性がよくわかっていて、繰り返し使っている商品はネットで購入するケースが増えそうです。ユニ・チャームの高原豪久社長は「赤ちゃん用紙おむつはネット経由が顕著に増えている」と2014年12月期の決算会見で話し、ライオンの浜逸夫社長も決算説明会で「想定より早くネットシフトが進んでいる」と言っています。

 花子さん 小売店にとっては中抜きされるわけで厳しい時代になるのは間違いないですね。

 田中さん ネットと実店舗のバランスが大事になります。いくつかの大手小売業がネットとリアルの融合を目指すオムニチャネルという取り組みに熱心なのはそのためです。

もっと分かる
家電・書籍でせめぎ合い

 アマゾンの2014年の日本市場での売上高が円換算年平均で8400億円程度、前年比14%増でした。また楽天市場の14年の国内ECの流通総額は2兆円超で前年比14%増。国内の小売販売額が約140兆円で伸び悩む中にあって、ネット通販の存在感が増しているのは確かです。

 アマゾンは世界中のあらゆる商品を品ぞろえすることを目指していますが、日本では大手メーカーの家電製品の扱いが意外と多くありません。家電量販店への影響を考慮してか、大手メーカーがアマゾンとの取引に積極的でないと見られています。また、書籍の分野でもアマゾンとの取引に難色を示す出版社もあります。

 商慣習をたてに小売りとメーカーが対立するのは世の常。これまでも時間をかけながら対立の構図は解消されてきました。最後は消費者が望む利便性によってどちらかに軍配が上がるでしょう。

クイズ豆知識

アマゾン・ドット・コムの本社がある都市は?
(1)サンフランシスコ(2)シアトル(3)シリコンバレー(4)ニューヨーク((2)はえ答)

今週の先生
 田中陽編集委員

消費花子
 小学校1年の娘がいる専業主婦。36歳

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